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On the Production
by 井口健二
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■火口のふたり、アポロ11(熱帯魚、米軍、葬式の、チャイルドP、王様、パリに、守護教、影に抱かれ、ロケットM、命みじかし、帰れない二人)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『火口のふたり』
実父の故白石一郎と共に、二代に亙る直木賞作家白石一文の
原作を、2013年7月紹介『共喰い』などを手掛けた脚本家の
荒井晴彦が脚色・監督した作品。
主人公は東京暮らしだが、妻に離婚され、子供にも会えなく
なり、職も失ってしまったという男。そんな男の許に故郷の
秋田に住む父親から、幼馴染みの女性が結婚するという電話
が来る。その連絡に男は帰郷すると答えるが…。
帰ってきた男を出迎えたのはその女性で、彼女は新居に置く
家電の運搬などを男に依頼する。彼女との関係はそんな気さ
くなものだったようだ。そして2人は食事なども共にし、自
衛官の新郎が出張から戻るまでの逢瀬が始まる。
作品はR+18指定のもので、かなり際どい描写が繰り広げられ
るものだ。その間に主人公と彼女との過去の経緯が明らかに
されて行く。『共喰い』の時にも書いたが、本作では他の要
素も含めて実に巧みな脚本だ。
出演は2019年3月31日題名紹介『柄本家のゴドー』などの柄
本佑と、2017年6月4日題名紹介『彼女の人生は間違いじゃ
ない』などの瀧内公美。他に電話の声で柄本明が出演し、最
後の方に数人の子供の台詞はあるが、全編はほぼ2人だけの
芝居で物語は展開される。
いやこの2人芝居が、かなりの部分がR+18指定とは言うもの
の実に巧みで、その間に徐々に明らかになる2人の過去が、
それはもう切なさで一杯のものになっている。それがR+18の
指定を凌駕して青春を感じさせてくれる作品だ。
そして本作では、最後に途轍もない結末が待ち受けていた。
これはここまでの改変は脚色では出来るものではないので、
恐らくは原作にある通りなのだろうが、僕にとってはかなり
衝撃の展開だった。
ただしこの記事を書くに当って原作者を調べていたら、父親
が1981年から徳間書店「SFアドベンチャー」誌で発表した
伝奇シリーズ「黒い炎の戦士」は、実は息子の原案によるも
のだったそうで、息子は続編も書くと語っている。
つまりこの原作者にはSFの素養もあると認められ、そう考
えると、この結末には納得もできるものだった。とは言えか
なり唖然とする結末には、個人的には思わずニヤリとしてし
まったものだ。
ついでにVFXでもあれば云うこと無しだが、そこまでやる
必要はこの作品にはないだろう。でもこの原作者には興味が
湧いてきた。
公開は8月23日より、ロケ地の秋田県ではルミエール秋田、
東京では新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺他にて全国順次
ロードショウとなる。
『アポロ11 完全版』“Apollo 11”
アメリカ航空宇宙局(NASA)が、1969年の人類による初の月面
探査を記録した70mmフィルムが発見され、50年周年に合わせ
て公開されることになった。
実は当時のNASAでは、探査の成功後にその記録を一般公開す
る目的で撮影を行っていたようだが、公開に向けた映画制作
の予算が認められず、そのまま撮影されたフィルムも所在が
不明になっていた。
そのフィルムが50周年を前に発見され、ディジタルで修復さ
れて一般公開となったものだ。さらにその記録には1100時間
に及ぶ音声データも残されており、それらが編集されて作品
が完成されている。
それはまずアポロの司令船などを載せたサターンロケットを
発射台に運ぶシーンから始まる。その巨大なキャタピラーの
付いた台車が静々と進む様子は以前から見てはいたものの、
70mmの鮮明な映像に圧倒される。
そして乗員の乗り込みなどのシーンがあっての発射シーン。
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06月30日(日)
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