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On the Production
by 井口健二
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■風をつかまえた少年、ジョナサン(暁闇、トールキン旅のはじまり、JKエレジー、グッド・ヴァイブレーションズ)、「フランス映画祭2019」
東京は渋谷ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)

『トールキン旅のはじまり』“Tolkien”
(『指輪物語』の原作者が、その物語を書き始めるまでを描
く作品。第一次世界大戦に出征した作家が欧州戦線の塹壕で
過ごした日々と、アフリカから母子家庭で帰国し、名門校に
入学したものの周囲と馴染めなかった若き日の作家が仲間と
出会うまでの経緯などが語られる。監督は2019年5月19日題
名紹介『トム・オブ・フィンランド』のドメ・カルコスキ。
出演は2018年11月25日題名紹介『ライ麦畑の反逆児』などの
ニコラス・ホルトと2014年3月紹介『シャドウハンター』な
どのリリー・コリンズ。他に2016年6月12日題名紹介『ペレ
伝説の誕生』などのコルム・ミーニー、2017年8月6日題名
紹介『ダンケルク』などのトム・グリン=カーニー、2011年
1月紹介『英国王のスピーチ』などのデレク・ジャコビらが
脇を固めている。塹壕の中で作家に付き添う兵士がサムとい
う名前なのはニヤリとしたが…。公開は8月30日より、東京
はTOHOシネマズ日比谷他で全国ロードショウ。)

『JKエレジー』
(群馬県桐生市を舞台に、学業は優秀だが家族の事情で未来
を閉ざされた女子高生の焦燥の日々が描かれる。母親とは死
別で父親はギャンブル狂、生活保護を受けている一家はニー
トの兄の同居も隠している。そんな中で大学進学を諦めてい
た主人公は、同級生の支えで奨学金を得られそうになるが、
ある事情からその道も閉ざされる。出演は2018年2月25日題
名紹介『聖なるもの』に出ていた希代彩。他に舞台『刀剣乱
舞』などの猪野広樹、2017年12月紹介『野球部員、演劇の舞
台に立つ!』などの芋生悠。同じく2017年12月紹介『ホペイ
ロの憂鬱』などの小室ゆら。2018年9月2日題名紹介『栞』
などの前原滉。さらに山本剛史、森本のぶ、阿部亮平、川瀬
陽太らが脇を固めている。脚本と監督は大阪芸術大学出身の
松上元太。少し前ならここまでは…と思えたが、今は現実に
もありそうかな。そんな気分になる作品だ。公開は8月9日
より、東京はテアトル新宿他で全国順次ロードショウ。)

『グッド・ヴァイブレーションズ』“Good Vibrations”
(1977年に北アイルランドのベルファストでレコード店を開
業し、そこを基盤に多くのアイルランド・パンクのバンドを
デビューさせたテリー・フーリーの実話に基づく作品。当時
のベルファストは、アイルランド共和軍(IRA)による武力
闘争の最中であり、映画にも爆弾テロの様子などがアーカイ
ブ映像で挿入される。しかし主人公らは音楽を愛し、同時に
金を稼ぐことを目標にレコード出版やツアーを続けて行く。
とは言え彼らのパンクは容易には評価されなかったが…。そ
れでも対立する社会の間を縫って彼らの活動は続く。出演は
2006年9月紹介『ヘンダーソン夫人の贈り物』に出ていたリ
チャード・ドーマー。2011年12月紹介『善き人』などのジョ
ディ・ウィッテカー。同日紹介『戦火の馬』などのリーアム
・カニンガム。主人公は正直に言って馬鹿野郎(肯定)だが、
その生き様は見事だ。公開は8月3日より、東京は新宿シネ
マカリテ他で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。

 今週は、6月20日から23日まで横浜みなとみらいホール、
イオンシネマみなとみらい他で開催される「フランス映画祭
2019」での上映作品のマスコミ試写も行われた。その中から
日本公開未定の作品を中心に鑑賞したので以下に紹介する。
        *         *
『愛しのベイビー』“Mon Bébé”
夫の浮気で離婚した女性が、女手一つで3人の子供を育て上
げる。その末の娘の巣立ちを切っ掛けに様々な思いが描かれ
た作品。
長女と長男はすでに独立しており、残っていた末娘が高校卒
業を機にカナダの大学への留学を希望する。そんな娘と母親
の残された日々が、娘の成長の記録と共に描かれる。
しかもそれをいくつもの時制を交錯させて巧みに描き切る。

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06月09日(日)
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