ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459698hit]
■シャザム!(柄本家のゴドー、鷺娘、旅の終わり、小さな恋、兄消え、ばあばは、主戦場、あの日々の話、武蔵、スケート・K、誰もがそれを)
杏奈、眞栄田郷敦。他に中島ひろ子、清水美沙、世良公則ら
が脇を固めている。音楽に励む若者たちは最近多く見る題材
だが、本作は沖縄が舞台ということで微妙な問題にもなる。
しかしその結末は、これが理想と言える風景を描いていた。
脚本は2017年4月2日題名紹介『22年目の告白』などの平田
研也、監督は2018年11月25日題名紹介『雪の華』などの橋本
光二郎。公開は5月24日より、全国ロードショウ。)
『兄消える』
(僕の世代だとヴォードヴィリアン、声優かな。元はジャズ
シンガーの柳澤愼一が、60年ぶりの映画主演を果たしたとい
う作品。高齢の父親が亡くなり、生涯をその世話に捧げてき
た次男の家に、40年前に勘当された長男が女連れで帰ってく
る。しかもその女にはいろいろ曰くがありそうで…。自分の
近親者にも似たような状況があって、それなりに納得しなが
ら見てしまう作品だった。共演は高橋長英、土屋貴子。他に
江守徹、雪村いづみらが脇を固めている。監督は劇団文学座
の西川信廣。多くの舞台を手掛けてきた演出家だが、映画は
デビュー作のようだ。劇中では柳澤が“My Blue Heaven”な
ど様々な名曲を口ずさむシーンがあり、そのセットリストを
知りたかった。ハリウッド映画だと事細かに記載されるが、
日本映画では残念ながらその習慣は無かったようだ。それと
題名は『父帰る』のもじりなのかな。公開は5月25日より、
東京は渋谷ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)
『ばあばは、だいじょうぶ』
(2017年『キセキの葉書』などのジャッキー・ウー監督が、
楠章子による2017年「児童ペン賞」童話賞受賞の絵本を映画
化した作品。前作と同様に認知症をテーマとした作品で、本
作では徐々に病状の進行する祖母の様子が幼い孫の目から描
かれる。出演は寺田心(ミラノ国際映画祭主演男優賞)と冨士
眞奈美。他に平泉成、松田陽子、内田裕也、土屋貴子らが脇
を固めている。認知症も近年多い題材だが、患者が女性の場
合は自分の体験に照らしても比較的納得して観ていられる。
ところが男性患者を描いた作品では、そんなに甘くないと思
ってしまうところが多い。これは僕の偏見かもしれないが、
男性患者の例ではきれいごと過ぎて現実的ではない感じがす
る。その点が女性患者の作品ではかなり際どい線まで描かれ
ており、僕にはその方が正しいと思えるものだ。本作もそん
な正しく描かれた作品になっている。公開は5月10日より、
全国のイオンシネマにてロードショウ。)
『主戦場』
“Shusenjo:
The Main Battleground of the Comfort Women Issue”
(日系アメリカ人でYouTuberのミキ・テザキが、2013年カリ
フォルニア州グレンデール市の慰安婦像設置から、2015年サ
ンフランシスコ市の同像設置までの期間に、日米韓の関係者
に取材したドキュメンタリー。戦時中に起きた慰安婦問題や
南京大虐殺は、日韓、日中で歴史認識の対立する問題だが、
シベリア抑留経験もある僕の父親は生前に、「人数など規模
はどうであれ、あったことは間違いない」と明言していた。
しかし今の日本の文化人と称する連中が、端から無かったこ
とにしているのが解せなかったが、本作を観るとその辺の事
情も含めてかなり広範な知識を得ることのできた。ただ途中
で論理のすり替えが見えてしまうことも事実で、その辺の甘
さというか、見え見えな感じはちょっと疑問に感じた。とは
言え全体的には両者の主張を的確に並列させ判り易く描いた
点には好感した。公開は4月20日より、東京は渋谷イメージ
フォーラムにてロードショウ。)
『あの日々の話』
(平田オリザの「青年団」に所属しながら自らも劇団「玉田
企画」を主宰する玉田真也が2016年に初演し、2018年に再演
された舞台劇を、自らのメガホンで映画化した作品。大学の
サークル活動で代表選出の行われた日。その打ち上げのカラ
オケオールに集まったOB、OGも含む男女の面々が痴話騒
動を巻き起こす。全体的には会話劇という展開の作品だが、
[5]続きを読む
03月31日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る