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On the Production
by 井口健二
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■ダルライザー、まく子、マイ・ブックS(多十郎、ビール・S、イップ・マン外伝、12か月の、盆唄、眠る村、天国でまた、ウトヤ、バーニング)
き易さを考えるとこの順番が正しいだろう。そして3冊目は
1957年出版のもので、これは映画の時代背景にもピッタリの
ものだ。
それにしても映画の中で、老紳士が「小説を読むのに作者の
履歴などは必要ない」と称して、ペーパーバックの裏表紙を
ちぎったり、単行本のカバーを外して暖炉にくべるシーンが
あり、それに続いて最初の題名が出たのにはニヤリとしてし
まった。
ただしこの題名が、字幕で「華氏451」というのはフラン
ソワ・トリュフォー監督による1966年の映画のもの。書籍の
題名としては「華氏451度」として欲しかった。その後も
3冊目には「タンポポのお酒」と字幕が付いたが、2冊目は
字幕で無視というのも奇異に感じられた。
しかし試写会で渡されたプレス資料には、それぞれ早川書房
版の題名で紹介記事があったもので、これらの字幕は試写の
上映だけで公開までには改訂されるのかもしれない。
公開は3月より、東京はシネスイッチ銀座他にて、全国順次
ロードショウとなる。
この週は他に
『多十郎殉愛記』
(日本映画界のレジェンド・中島貞夫監督が20年ぶりに発表
した長編劇映画。幕末の京都を舞台に長州藩を脱藩した浪人
と、居酒屋を切り盛りする若い女将の困難な恋が描かれる。
浪人は剣の腕は立つが争いは避けていた。しかし奉行所の町
方に素性が知られ、新選組に対抗する見回り組が動き出す。
そこへ浪人の義弟が長州から上京、長州藩の隠れ屋敷が襲わ
れるなど、否応なしの戦いが始まるが…。出演は高良健吾、
多部未華子、木村了。多部の着物姿は2018年7月29日題名紹
介『日日是好日』に続いてだが、今回は衿を抜いた大人びた
着付けも魅力的だ。劇中からは「ええじゃないか」も聞こえ
正に大政奉還目前の時、それに伴う哀れさも描いた作品にな
っている。町中から竹林まで様々なチャンバラが展開され、
伝統を繋ごうとしてるかのような作品。そこに監督補として
2017年4月2日題名紹介『武曲』などの熊切和嘉監督の名前
があるのも気になる所だ。公開は4月12日より。)
『ビール・ストリートの恋人たち』
“If Beale Street Could Talk”
(米国の黒人作家ジェームズ・ボールドウィンが1974年に発
表した小説を、2017年2月5日題名紹介『ムーンライト』の
バリー・ジェンキンス監督が映画化。1970年代のハーレムに
暮らす黒人の男女が、警察のでっち上げによる逮捕などと闘
いながら、信念を胸に生き抜いて行く姿が描かれる。出演は
オーディションで抜擢された新人のキキ・レインと、2016年
7月3日題名紹介『栄光のランナー』などのステファン・ジ
ェームズ。他にディエゴ・ルナ、本作でゴールデン・グロー
ブ賞に輝いたレジーナ・キングらが脇を固めている。2018年
12月紹介『グリーンブック』に続く20世紀後半の人種差別を
描いた作品だが、本作がより過激な差別を描く半面、物語と
してはちょっと判り難いかな。特に時間軸を入れ替える構成
が混乱を助長している感じもした。しかし差別の深刻さは鮮
烈なものだ。公開は2月22日より、東京はTOHOシネマズシャ
ンテ他で全国ロードショウ。)
『イップ・マン外伝 マスターZ』“葉問外傳:張天志”
(2017年1月29日題名紹介『イップ・マン 継承』で詠春拳
の正統を争った張天志のその後を描いた作品。イップ・マン
を描いた作品では複数のシリーズが錯綜しているが、本作は
ドニー・イェンが製作に関る2010年11月紹介『葉問』からの
シリーズに繋がるものだ。そして本作では一旦は詠春拳を捨
てた張天志が、英国支配の香港が麻薬の脅威に曝される中、
再び立ち上がる姿が描かれる。出演は『継承』で同役を演じ
たマックス・チャン。その主人公にミシェル・ヨー、2018年
7月8日題名紹介『ブッシュウィック』などのデイヴ・バウ
ティスタ、2016年11月紹介『ドラゴン×マッハ!』などのト
ニー・ジャーらが対決する。物語は相も変わらずの勧善懲悪
だが、派手目のアクションで気楽に楽しめる。なおイェンは
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01月13日(日)
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