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On the Production
by 井口健二
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■チワワちゃん、グリーンブック(サムライ・M、こどもしょくどう、ソローキン、洗骨、がんになる、ライズダルライザー、サタデーナイト・C)
家』などの日向寺太郎が監督。公開は2019年3月23日より、
東京は岩波ホール他にて全国順次ロードショウ。)

『ソローキンの見た桜』
(1904−05年の日露戦争。その際に捕えられたロシア兵士は
当初は愛媛県の松山に収容され、その人数が増すにつれ各地
に送られた。そんな中で松山には模範とすべく俘虜に対する
条約の順守が求められた。そして物語の始まりは現代。松山
では異国で亡くなった兵士の追悼が今も行われている。その
取材にきた主人公はさらにロシア取材を依頼される。そこに
は彼女の曾々祖母に関る悲恋の物語が隠されていた。出演は
2017年11月19日題名紹介『孤狼の血』でヒロイン役の阿部純
子。その脇を斎藤工、イッセー尾形、山本陽子、六平直政、
ロデオン・ガリュチェンコ、アレキサンドル・ドモガロフら
が固めている。脚本と監督はアレクサンドル・ソクーロフ監
督『太陽』のメイキングなどを手掛けた井上雅貴。2016年に
ロシアでSF作品を撮っての長編2作目だそうだ。物語には
謎解きの味付けもあり、巧みだった。公開は2019年3月16日
から愛媛県で先行の後、22日より全国順次ロードショウ。)

『洗骨』
(2018年12月紹介『岡本太郎の沖縄』にもあった一部離島で
は今も行われている?とされる風葬の儀式を描いた作品。と
言っても、基本はよしもと映画だから内容は暗いものではな
い。因に脚本・監督の照屋年之はガレッジセール・ゴリの本
名で、自身が2016年に発表した短編映画を基にした作品だ。
物語は一家の中心だった母親が死んで4年後の出来事。家に
は妻の死後は腑抜けになった父親だけが残り、息子と娘は本
土で暮らしている。それでも風葬した遺骨を洗うために子供
らは帰ってくるが…。息子の家族は同行せず、娘は未婚だが
臨月間近の大きなお腹を抱えていた。出演は奥田瑛二、筒井
道隆、水崎綾女。他に鈴木Q太郎、筒井真理子らが脇を固め
ている。儀式自体は少しグロだが克明に描かれ、そこには監
督の地元愛も感じられる。ユーモアや笑いのバランスも良い
作品だ。公開は2019年1月18日から沖縄県で先行の後、2月
9日より東京は丸の内TOEI他で全国ロードショウ。)

『がんになる前に知っておくこと』
(国民の2人に1人は罹るとされる病気・癌。少し前までは
死の病とされた癌だが、現代では「共に生きる」ための様々
な対処法がなされている。それらを紹介して癌になった時の
無用な焦りなどを解消しようという作品。自身が検査で乳房
にしこりを発見され、一時は絶望的な気持ちだったという女
優・鳴神綾香をナビゲーターに、専門医からカウンセラー、
さらには患者でありながら会社を立ち上げて患者のための商
品の開発や、NPO法人で情報提供を担っている人たちへの
インタヴューを通じて、様々な分野での癌と共に生きる取り
組みが紹介される。ただしインタヴューという形式が、個々
の人物のことは判るが、癌に直接踏み込んだ説明ではないた
め、何か歯痒いというか、違和感は残った。敢えて苦しみを
描けとは言わないが、これでは重要なポイントが聞き流され
てしまうような危惧も持った。公開は2019年2月2日より、
東京は新宿K's cinema他にて全国順次ロードショウ。)

『ライズ ダルライザー−NEW EDITION−』
(福島県白河市のご当地ヒーローが町の支配を狙う悪と戦う
アクション映画。主人公は東京で挫折した俳優志望。恋人の
妊娠で田舎に還り再起を図るが父親には疎まれる。しかし自
らデザインしたご当地ヒーローで少しずつ認知されるように
なるが…。一方、町では謎の団体が陰謀を進めていた。その
危機を察知した主人公は町の武術家を師と仰ぎ、会得した技
で悪との戦いを決意する。原案・製作・主演は地元出身の和
知健明。脚本と監督は日活芸術学院卒で現在は大学で教鞭も
執る佐藤克則。さらに武術指導を『バットマン ビギンズ』
などに採用された武術 KEYSIの創始者フスト・ディエゲスが
初来日で担当し、出演もしている。陰謀の主軸にはSF的な

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12月23日(日)
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