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On the Production
by 井口健二
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■ルイスと不思議(生きてる、Merry Christmas、宇宙の法、モダンライフ、ポルトの、MAKI、アンナ、シシリアン、第三世代、暁に祈れ)
人女性を繋ぐ宿命と呼べる物語。250年前の男性は鍛冶の腕
を持つが身分は奴隷で、女性を愛したことが主人の不興を買
う。そして現代の男性はポルトガル人妻と暮らす日系ブラジ
ル人の工員、ポルトガルギターの演奏家でもあったが、勤務
先はリストラを進めていた。そんな状況下で復讐劇が展開さ
れる。出演は柄本佑、2013年公開『熱波』などのアナ・モレ
イラ、2017年2月26日題名紹介『ママは日本へ嫁に行っちゃ
ダメと言うけれど』などの中野裕太。2つの時代の主人公が
共に技術を持つのに不遇というのには、監督の想いも感じら
れる。結末は時の流れの結果かな? 公開は11月10日より、
東京はシネマート新宿他で全国ロードショウ。)
『MAKI』
(ニューヨークの歓楽街に勤める日本人女性を描いた作品。
主人公は語学留学と称しているが、日本人向けクラブのホス
テスでは英語も学べていない。そして職場の決まりで従業員
同士の恋愛は禁止だが、彼女はバーテンダーと付き合ってい
る。こんな話は歌舞伎町でもありそうだが、そこにアメリカ
ならではの事件が関ってくる。ただ事件の背景などが不明確
で、全体としてはメリハリに欠けるかな。特に主人公の心理
面の葛藤などはもっと描き込まないと、観客には現象としか
受け止められない。出演は、モデルでユニクロのCMなどに
登場のサンドバーグ直美、東京出身でブロードウェイの舞台
にも立つというジュリアン・スィーヒ、それに原田美枝子。
脚本と監督は、イラン出身で2011年10月紹介『カット』など
のアミール・ナデリ監督に師事したというナグメ・シルハン
の長編第2作。公開は11月より、東京は渋谷ユーロスペース
他で全国順次ロードショウ。)
『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』
“Анна Каренина. История Вронского”
(トルストイの名作をモスフィルムが再度映画化した作品。
同社では1967年タチアナ・サモイロワ主演版も記憶に残る。
2013年1月紹介のジョー・ライト監督版も構成がトリッキー
だったが、本作ではヴロンスキーがアンナの息子に語る回想
という形式。しかも語る場所が満州という、これはかなりの
展開だ。しかしこれによりアンナの内面が浮き彫りにされ、
悲劇の結末に向かう状況もより理解できる感じがした。なお
満州のシーンは、日露戦争に従軍した軍医で文人のヴィケー
ンチイ・ヴェレサーエフの原作に基づくとされる。出演はマ
クシム・マトヴェーエフとエリザヴェータ・ボヤルスカヤ。
2人は実生活で夫婦だそうだ。監督はカレン・シャフナザー
ロフ。競馬や観劇、舞踏会のシーンなども豪華に再現され、
モスフィルムのロゴとロシア語の台詞が、これぞ本物という
感じを与える。公開は11月10日より、東京はヒューマントラ
ストシネマ有楽町他で全国順次ロードショウ。)
『シシリアン・ゴースト・ストーリー』
“Sicilian Ghost Story”
(1993年に起きた実話に基づくとされる作品。主人公は13歳
の少女。彼女は同級生の少年に恋をするが、彼女の母親はそ
れを許さない。それは少年の一家がマフィアであるからだ。
しかし少年の後を追う少女は、少年のバイクで向った馬場で
彼が馬術に興じる姿なども楽しむ。ところがその場所で少年
は姿を消し、以来登校もしなくなってしまう。だが大人たち
はその事実に見て見ぬ振りをするばかりだった。そして時が
流れて行くが、そんなある日、少女は幽霊に導かれるように
少年が閉じ込められている場所を目撃する。それは幻だった
のか…? 脚本と監督は、デビュー作の『狼は暗闇の天使』
がカンヌ国際映画祭批評家週間でグランプリに輝いたファビ
オ・グラッサドニア&アントニオ・ピアッツァ。出演はいず
れも新人のユリア・イェドリコウスカとガエターノ・フェル
ナンデス。とは言え強烈な作品だ。公開は12月22日より、東
京は新宿シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)
『第三世代』“Die dritte Generation”
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09月23日(日)
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