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On the Production
by 井口健二
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■BD−明智探偵事務所−、十年 Ten Years Japan、西北西(IT COMES、ステータス、ピッチ3、いろとりどり、旅猫、ナミヤ、ザ・アウト)
製作は、2016年公開『蜃気楼の舟』などの汐田海平が担当。
また、2011年8月紹介『沈黙の春を生きて』の編集を手掛け
たジャン・ユンカーマンが特別協力と出演もしている。
自分が子供の頃は、街で外国人を見掛けることなど殆んどな
かったが、いまや東京の銀座通りなどは外国人観光客の方が
多い感じだろう。そんな「国際化」している日本だが、果た
して我々の意識は国際化しているのか? そんなことも考え
させられる。
ただし作中では、国籍や宗教への差別をあからさまに描くこ
とはせず、差別に言及、描写しているのは主に性愛の問題に
限られる。しかしその節度のある描き方が、逆に現実の差別
や迫害を際立たせている感じもして、これは巧みな表現のよ
うにも思えた。
正直に言ってボーイズラヴの作品は数多く観ているが、本作
は女性、しかも大人が主人公で、こういう物語がようやく描
かれたことにも日本映画の成長を感じたところだ。
公開は9月15日より、東京は渋谷シアター・イメージフォー
ラム他で全国順次ロードショウとなる。

この週は他に
『IT COMES AT NIGHT』“It Comes at Night”
(2015年12月紹介『IT FOLLOWS』の製作陣が仕掛ける新たな
恐怖という売り込みの作品。前作はいろいろ捻ったオカルト
作品で興味深く、本作はその続編かと思ったら独立の作品だ
った。登場するのは人里離れた家で恐怖に怯えながら暮らす
3人の一家。その恐怖の対象は疫病らしいが、具体的なこと
は判らない。そこに迷い込んできた3人の家族が加わるが、
統率の乱れなどから恐怖が忍び寄ってくる。2018年8月12日
題名紹介『クワイエット・プレイス』もそうだったが、本作
もシチュエーションは判るし、その極限状態の描写は見事な
もの。しかし実際の恐怖の対象が判らないのがもどかしい。
それが狙いでもあるのだろうが…。脚本と監督はデビュー作
が高い評価を受けた新鋭のトレイ・エドワード・シュルツ。
主演のジョエル・エドガートンが製作総指揮も務めている。
公開は11月23日より、東京は新宿シネマカリテ他で全国順次
ロードショウ。)(前回未掲載分)

『ステータス・アップデート』“Status Update”
(2007年9月紹介『ヘアスプレー』などのアダム・シャンク
マンが製作を担当、2018年5月紹介『ミッドナイト・サン』
などのスコット・スピアー監督で描いたファンタシーの要素
の強い青春映画。主人公は西海岸から東部の町に引っ越して
きた高校生。文化の違いに馴染めず苛めにも遭っていた彼が
1台のスマホを手に入れる。ところがそのスマホには特別な
アプリの入っており、それによって彼は望むもの全てを手に
入れられるようになるが…。出演は、共にテレビで人気のロ
ス・リンチとオリヴィア・ホルト。他にロブ・リグル、ファ
ムケ・ヤンセンらが脇を固めている。典型的な願望充足型の
作品だが、そこにスマホのアプリを持ち込んだのは新機軸か
な。その一方、最近のこの手の作品では段々ドツボに嵌って
行くことが多いが、そこにも多少の捻りはある。公開は11月
3日より、東京は渋谷シネクイント、新宿武蔵野館他で全国
順次ロードショウ。)

『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』
                  “Pitch Perfect 3”
(2015年に2作公開された作品の続編。学生時代に全米ナン
バー1にも輝いた女性アカペラグループの面々は、卒業して
それぞれの道を歩み始めている。しかし現実は歌うことほど
楽しくはない。そんな時、欧州駐留米軍の慰問部隊への誘い
が掛かるが…。それはとんでもない事件へと彼女らを引き摺
り込む。意外な展開は前作を知らなくても楽しめるものだ。
出演はアナ・ケンドリック、レベル・ウィルソン、ヘイリー
・スタインフェルド、ブリタニー・スノウら前作のメンバー
が顔を揃える他、エリザベス・バンクスも再び出演。さらに
2014年11月紹介『インターステラー』などのジョン・リスゴ
ー、2018年7月8日題名紹介『MEGザ・モンスター』など

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09月09日(日)
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