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On the Production
by 井口健二
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■青の帰り道、INGRESS(栞、飢えたライオン、あの頃、エリック・クラプトン、クレイジー・R、恐怖の報酬、人魚の眠る家、ブレイン・G)
た日本映画。1990年代の地方都市の高校を舞台に、優等生に
認められたことから、学業に目覚めて行く若者の姿を描く。
実はこの作品のオリジナルも公開当時に試写を観ていて、そ
の時には台湾の高校の様子が馴染めなかった。その違和感は
日本映画になって薄められたが、胸に学籍番号の入った制服
をそのまま採用したのは何の意味があったのかな。ただ背景
を30年近く過去に置いていることで、いろいろノスタルジー
は感じさせたいのだろうが、その分のリアルさが失われてい
るようにも感じた。監督は、2016年3月紹介『探偵ミタライ
の事件簿』などの脚本家の長谷川康夫。ただし今回の脚本は
ノータッチのようだ。公開は10月5日より、東京はTOHOシネ
マズ日比谷他で全国ロードショウ。)

『エリック・クラプトン 12小節の人生』
           “Eric Clapton: Life in 12 Bars”
(ギターの神様とも称されるギタリストが、自らの人生を語
る音楽ドキュメンタリー。映画は2015年に他界したブルース
の巨人B・B・キングへの追悼の言葉から始まり、クランプ
トン自身のナレーションというかインタヴューの音声で綴ら
れる。それは幼少期の家庭環境など、まあこの手のものでは
定番ではあるが、それでも壮絶とも言える人生だ。しかも家
を持たなかった音楽家が始めて家を持つところから始まる、
隣家の音楽家の妻との経緯は赤裸々というか、よくもここま
でプライヴェートを語ったかという展開にもなる。監督はリ
リ・フィニー・ザナック。ドラマの監督経験はあるが、ドキ
ュメンタリーは初めてというオスカー受賞のプロデューサー
が、「君が監督するなら」というクランプトンの信頼を得て
作り上げている。それは後半には涙必至の展開も含めて見事
な作品だ。公開は11月23日より、東京はTOHOシネマズシャン
テ他で全国ロードショウ。)

『クレイジー・リッチ!』“Crazy Rich Asians”
(8月15日に全米公開され、封切り週末から2週連続の興行
第1位を記録しているシンガポールが舞台のラヴコメディ。
主人公は苦学の末にNY大学で史上最年少の教授になったと
いうアジア系の女性。そんな彼女が古い体育館でバスケット
ボールに興じていたアジア系の男性との恋に落ち、母国で開
かれる親戚の結婚式に招かれる。ところが空港で案内された
のは個室のファーストクラス。身分の違い過ぎる状況に直面
した彼女は…。監督は2016年7月紹介『グランド・イリュー
ジョン2』などのジョン・M・チュウ。出演はコンスタンス
・ウー、ヘンリー・ゴールディング。他にミシェル・ヨーら
アジア系の俳優が脇を固めている。原作はアメリカ在住の作
家ヴィン・クワンによるもので、内容は2011年5月紹介『ハ
ングオーバー』に通じるかな? そんな大人向けのコメディ
だ。因に原作は3部作が発表されているそうだ。公開は9月
26日より、東京は新宿ピカデリー他で全国ロードショウ。)

『恐怖の報酬』“Sorcerer”
(アンリ=ジョルジュ・クルーゾーが1953年に発表したフラ
ンス映画を、『フレンチ・コネクション』で1972年オスカー
受賞のウィリアム・フリードキン監督が、1977年にリメイク
した作品。南米の奥地で油井火災が発生し、それを爆風消火
するためのニトログリセリンを陸路運搬する。その危険な仕
事に人生の賭けをする男たちを描く。実は公開当時の興行に
失敗し、日本を含むアメリカ以外は監督に無断の短縮版で配
給された作品が、オリジナル版に復元されて再公開される。
僕はフランス版は観たが、リメイク版は上記の事情も知って
いたので当時は観なかった。そんな作品だが、映画は巻頭か
ら爆発シーンが連続して、CGIもない時代によくぞ撮った
と思えるものだった。フランス版の記憶は定かではないが、
ここまで強烈ではなかったと思う。間違いなしの恐怖は味わ
える作品だ。公開は11月24日より、東京はシネマート新宿他
で全国順次ロードショウ。)

『人魚の眠る家』
(1985年作家デビューの東野圭吾が、その30周年に発表した

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09月02日(日)
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