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On the Production
by 井口健二
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■1987(世界が愛した料理人、ボルグ、青夏、ダウンレンジ、いのちの、顔たち、リグレッション、太陽の、判決、オズランド、チューリップ)
身なのか、それとも住職の行っている活動なのか、その辺が
はっきりとせず。観終って何かモヤモヤとしたものが残って
しまった。実際に作品の中では住職の健康問題も解決せず、
相談に来た人が救われたのかどうかも判然としない。それで
も良いということなのだろうが…。公開は9月8日より、東
京はポレポレ東中野他で全国順次ロードショウ。)

『顔たち、ところどころ』“Visages Villages”
(1955年に長編デビュー作を発表、「ヌーヴェルヴァーグの
祖母」とも呼ばれる1928年生まれのアニエス・ヴァルダが、
参加型アートプロジェクト「Inside Out」で知られる34歳の
アーティスト、JRと共同監督を務めたロードムーヴィ風の
ドキュメンタリー。JRの活動は大きなカメラの絵の付いた
トラックに機材を積んでフランスの田舎を巡り、そこの住人
たちを巻き込んでアート作品を制作するというもので、その
様子がヴァルダとJRの会話を絡めて描かれて行く。それは
アートの記録としては面白いし、会話の中にはヌーヴェルヴ
ァーグ当時の思い出話などもあって興味深いものだが…。肝
心なところが僕には少し物足りなかったかな? でも本作は
2017年のカンヌ国際映画祭での最優秀ドキュメンタリー賞な
ど数々の受賞を重ねてはいるようだ。公開は9月15日より、
東京はシネスイッチ銀座、アップリンク渋谷他にて全国順次
ロードショウ。)

『リグレッション』“Regression”
(2001年12月紹介『アザーズ』などのアレハンドロ・アメナ
ーバル監督による2015年作で、1980年代から90年代初頭に掛
けてアメリカで突然巻き起こった悪魔崇拝の顛末を巡る実話
に基づくとされる作品。主人公の刑事は、少女が父親の虐待
を告発した事件を取り調べることになるが、当の少女も訴え
られた父親もどこか記憶が曖昧だった。そこで著名な心理学
者に協力を仰いだ刑事は、彼らの記憶を辿る内に事件が単な
る家庭内暴力ではないことに気付き、さらに町に秘められた
恐ろしい闇に迫って行くが…。出演はイーサン・ホーク、エ
マ・ワトスンとデヴィッド・シューリス。アメナーバル監督
の作品では『アザーズ』もかなりオカルティックだったが、
その前の『オープン・ユア・アイズ』が強烈だった。そんな
監督の新作はオカルト的ではあるがちょっと捻った内容で、
これも監督の頭の中の世界なのだろうか。公開は9月15日よ
り、東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)

『太陽の塔』
(大阪府吹田市の千里万博公園に今も屹立するEXPO'70・大
阪万博のテーマ館の一部を基に、その制作者である芸術家、
岡本太郎について描いたドキュメンタリー。僕自身が大阪万
博には何度か訪れ、思い入れもあったので本作の題名には心
が騒いだ。しかし作品は前半こそ塔の建設に纏わる話題で綴
られるが、後半は芸術家本人の思想の検証などに終始し、し
かもそのほとんどが岡本氏と面識があったかどうかも不明な
人々の勝手な想像による発言の羅列で、作品の意図が判らな
くなった。勿論、岡本氏はこのような作品の対象になるべき
芸術家だし、塔が彼の代表作の一つであることは間違いない
が、本作の内容を考えると題名はむしろ『太陽の塔/明日の
神話』ではなかったか。そしてそれをやるならば、塔の建設
の話などは省いて、もっと真剣に人物論を描くべきだろう。
これではどちらもが物足りない。公開は9月29日より、東京
は新宿シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)

『判決、ふたつの希望』“قضية رقم ٢٣”
(2018年のアメリカアカデミー賞で、レバノン映画としては
初の外国語映画賞にノミネートされた作品。レバノンは中東
の中でもキリスト教徒が多い国とされるようだ。そんな社会
環境でキリスト教徒のレバノン人男性と、パレスチナ難民の
男性との口論が裁判沙汰となり、それが全国的な事件に発展
する。監督は、過去にはタランティーノ作品に関ったことも
あるというジアド・ドゥエイリ。本作が4作目の物語は監督

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07月15日(日)
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