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On the Production
by 井口健二
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■教誨師(タリーと私の秘密の時間、バンクシーを盗んだ男、追想、19歳の肖像、詩季織々、マイナス21℃、ディヴァイン・D、祈り)
ファッションショー」と「上海恋」。公開は8月4日より、
東京はテアトル新宿他で3週間限定ロードショウ。)
『マイナス21℃』“6 Below: Miracle on the Mountain”
(スノーボードで遊覧滑走中に立ち入り禁止区域に侵入し、
軽微な装備で8日間、極寒の山中を彷徨い生還した元アイス
ホッケー選手の実話に基づくサヴァイヴァルを描いた作品。
主人公は禁止区域の看板を見ながらそこに入って行くが、そ
こでは天候によりホワイトアウトが生じるなど、想像以上の
危険が待ち構えていた。しかも携帯電話は圏外、さらに狼の
群れも現れる。そんな中で雪洞を掘ったり、水分摂取はビニ
ール袋に入れた雪を体温で溶かすなど、基本に忠実な行動が
彼の命を救う。とは言えこれは壮絶さでは究極だ。出演は、
2018年2月11日題名紹介『Oh Lucy!』などのジョシュ・ハー
トネット、2008年5月紹介『帰らない日々』などのミラ・ソ
ルヴィノ。それに2015年『ゾンビーワールドへようこそ』な
どのセーラ・デュモント。監督は2014年『ニード・フォー・
スピード』などのスコット・ウォー。公開は7月21日より、
東京は新宿シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)
『ディヴァイン・ディーバ』“Divinas Divas”
(1960年代、軍事政権下のブラジルでドラァグクイーンカル
チャーの黎明期を支えた人々の姿を描くドキュメンタリー。
独裁体制下では当然のように迫害される性的マイノリティた
ちが、女装により芸能の才を発揮させることで自らの生きる
道を見つけて行く。そんな彼らがデビュー50周年を記念して
再結集しライヴを敢行する。作品は久々のパフォーマンスに
悪戦苦闘するクイーンらの練習風景と、60年代の貴重な記録
映像によって綴られる。監督は、60年代から彼らに活動の場
を与え続けたナイトクラブのオーナーの孫娘で、女優として
も活躍するレアンドラ・レアル。幼少期に舞台の袖から観て
きたクイーンたちへのリスペクトを込めて描かれた作品だ。
映画に登場するパフォーマンス自体は、いわゆるキャバレー
芸程度で大したものではないが、彼らの生き様には見るべき
ものがある。公開は9月1日より、東京はヒューマントラス
トシネマ渋谷他で全国順次ロードショウ。)
『祈り』“ვედრება/Мольба”
(1967年、ジョージアがソビエト連邦の構成国だった時代に
同国の名匠テンギズ・アブラゼ監督によって作られた作品。
因に原題はフィルム上ではロシア語だが、母国のジョージア
語も表記しておく。物語は19世紀ジョージアの国民的作家ヴ
ァジャ・プシャベラの叙事詩を基に、ジョージア北東部の山
岳地帯に暮らすキリスト教徒とイスラム教徒の因縁の対決を
描く。そして敵味方を超えた人間の尊厳と寛容が描かれる。
映像はモノクロームで、内容は難解な作品だが、日本文化を
好み1994年に他界した監督は生前に日本人なら理解できると
思っていたようだ。確かに作品には初期の黒沢作品や小津作
品を思わせる味わいもある。その本作は製作から51年を経て
日本初公開となる。なお僕は都合により本作しか観ていない
が、上映は「祈り」3部作とされる1976年の『希望の樹』、
1987年の『懺悔』と同時に行われる。公開は8月4日より、
東京は岩波ホール他にて全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
なおこの週は他に2作品を観ているが、諸般の事情により、
紹介は次週以降に行うことにする。
07月01日(日)
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