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On the Production
by 井口健二
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■500ページの夢の束(インクレディブル・F、爆弾処理班、寝ても、ゲンボとタシ、わがチーム、きみの鳥は、モアナ、ヴァンサン、クレFM)
ロードショウ。)

『わがチーム、墜落事故からの復活』“Nossa Chape”
(2016年11月、南米クラブ選手権コパ・スダメリカーナで決
勝戦1stレグに出場のためコロンビアに向っていたブラジル
1部リーグのチーム・シャペコエンセを襲った悲劇と、その
後を追ったドキュメンタリー。この事故では、僕には2012年
6月紹介『ユナイテッド』を思い出させ、同じことが繰り返
されたという思いが鮮烈だった。しかも被害に遭った選手や
監督の中にはJリーグに関係した人も多く、日本のサッカー
ファンにも大きな衝撃だったと思う。そういう出来事だが、
その背景やその後のことはあまり知らなかった。しかもそれ
がホームタウンが地方の小都市であったり、チームに特徴的
なコンセプトがあるなど、チームカラーも含めて自分の応援
しているチームと重なる部分が多く、僕には自分のことのよ
うにも感じられてしまった。特に事故から再建までの道のり
には、全く共感できるところの多い作品だった。公開は7月
6日より、東京は新宿ピカデリー他で緊急ロードショウ。)

『きみの鳥はうたえる』
(2010年9月紹介『海炭市叙景』、2014年2月紹介『そこの
みにて光輝く』、2016年7月17日題名紹介『オーバー・フェ
ンス』に続く佐藤泰志原作による映画化の第4弾。原作の舞
台は東京だそうだが、映画化では原作者ゆかりの北海道函館
を背景に、刹那的に生きる若者たちを描く。出演は、2017年
12月17日題名紹介『素敵なダイナマイトスキャンダル』など
の柄本佑と、2018年6月紹介『パンク侍』などの染谷将太。
それに2017年3月19日題名紹介『夜空はいつでも最高密度の
青色だ』などの石橋静河がヒロインを務める。他に渡辺真起
子、萩原聖人らが共演。脚本と監督は2012年『Playback』な
どの三宅唱。佐藤原作の映画化では、上記の3作があまりに
壮絶だったのに比べると主人公らの年齢層が若い分少し甘い
かな。でも前3作が多少ノスタルジックだったのよりは、現
代に通じるところは多いとは感じた。公開は9月1日より、
東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)

『モアナ 南海の歓喜』“Moana with Sound”
(ドキュメンタリー映画の父とされるアメリカ人のロバート
・フラハティと妻のフランシスが1926年に発表した無声作品
を基に、1980年に娘のモニカ・フラハティが現地の人々の会
話や民謡を録音して付け加えた作品。夫妻の作品では1922年
の『極北の怪異(極北のナヌーク)』は以前に特集上映で観
ていたが、本作は多分初見だと思う。ただカットにデジャヴ
もあって…、でもまあサウンド版は間違いなく初見だ。その
作品は、正にポリネシアの当時の様子を見事に撮影したもの
で、その各シーンには当時のポリネシアの人たちがここまで
心を開いて撮影に協力していることに驚きと感動さえ覚える
ものだった。正しくドキュメンタリーの開祖と呼べる作品。
因にドキュメンタリーという単語は、本作を紹介するアメリ
カの新聞「ニューヨーク・サン」の記事に使われたのが最初
なのだそうだ。公開は9月15日より、東京は岩波ホール他で
全国順次ロードショウ。)

『ヴァンサンへの手紙』
   “J'avancerai vers toi avec les yeux d'un sourd”
(2014年“Edmond, un portrait de Baudoin”という作品で
映画祭受賞も果たしている女性ドキュメンタリー監督レティ
シア・カートンの第2作。聾者であった友人の自死を切っ掛
けにフランスの聾コミュニティの現在を描いた作品。2016年
3月紹介『LISTENリッスン』の牧原依里監督が配給を手掛け
る。1880年にイタリアミラノで開かれた国際ろう教育者会議
において手話が禁止され、以来130年間、2010年にその決議
が全面的に否定されるまで、日本を含めた世界中で、公式に
は手話教育は行われていなかったのだそうだ。その事実を僕
は初めてこの映画で知った。実際に手話が各国独立であり、
世界共通の手話がなかった理由もそこなのだと判った。そん
な迫害された手話だが、本作の中ではその原語としての素晴

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06月24日(日)
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