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On the Production
by 井口健二
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■モダン・ラブ、世界でいちばん長い写真(空飛ぶタイヤ、ウタモノガタリ、エヴァ、ウインド・R、君が君で、菊とギロチン、チャーチル)
主演に招いて映画化した作品。ふとしたことから劇作家の未
発表の遺稿を手に入れた若者が自分の名前でそれを発表し成
功を収める。しかし次作の書けない若者は、偶然知り合った
娼婦に溺れて行くが…。同じ原作からは1962年製作の映画化
もあるが、本作では現代を背景にして、より現実的な展開で
若者が落ちて行く姿が描かれている。ユペールは元々好きな
女優ではあるが、1953年生まれの女性にさすがにこの役はと
思いきや、娼婦と割り切った展開から見事にこの役に嵌って
いた。本人も「物語であることを忘れる」と語っているのだ
から、相当に入れ込んだ役のようだ。公開は7月7日より、
東京はヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他で
全国順次ロードショウ。)
『ウインド・リバー』“Wind River”
(アメリカ原住民に過酷な生活を強いるインディアン保留地
を舞台に、実話に基づくが実態はほとんど把握されていない
女性失踪の謎に挑んだ、2016年1月紹介『ボーダーライン』
などの脚本家テイラー・シェリダンによる監督デビュー作。
因に本作は、合衆国の辺境を描く3部作の完結編だそうだ。
主人公は野生生物局のハンター。彼が人里離れた荒野で女性
の遺体を発見する。それは2年前に亡くなった彼の娘の親友
だった。その事件の捜査にFBIから若い女性が派遣される
が、明らかな強姦の痕跡があっても死因は殺人ではなく、専
門官の派遣は不可となる。そのため経験の浅い女性捜査官は
主人公に協力を求め、2人の捜査は真実を暴いて行くが…。
出演は、2017年3月紹介『メッセージ』などのジェレミー・
レナーと、2012年11月紹介『マーサ、あるいはマーシー・メ
イ』などのエリザベス・オルセン。公開は7月27日より、東
京は角川シネマ有楽町他で全国ロードショウ。)
『君が君で君だ』
(2017年12月24日題名紹介『チェリーボーイズ』などの松居
大悟原作、脚本、監督によるかなり毒気の強い青春ドラマ。
主人公は街角で暴漢に襲われ、その経緯で韓国人女性の優し
さに触れる。そして友人2人と共に彼女の居所を突き止めた
主人公らはその向いのアパートに住み、以後は自らの名前も
捨てて、彼女を護ると称して監視を続けてきた。しかし10年
が経ち、彼女がダメ男と一緒に暮らし始めたことから事態が
動き出す。出演は池松壮亮、満島真之介、大倉孝二とキム・
コッピ。さらに高杉真宙、YOU、向井理らが脇を固める。
主人公らの行為は明らかにストーカーであり、犯罪の一歩手
前であって、観る人によってはかなり嫌悪感を催す人もいる
かもしれない。それくらいに劇薬の作品だ。でもこれが青春
の真の姿の一つとも言えるのだろう。そんなところを巧みに
切り出した作品だ。公開は7月7日より、東京は新宿バルト
9他で全国ロードショウ。)
『菊とギロチン』
(大正から昭和に変わる時代を背景に、無政府主義者の団体
=ギロチン社の実話と、当時勃興した女相撲のエピソードを
組み合わせて巧みな青春群像劇に作り上げた瀬々敬久脚本・
監督による上映時間3時間9分の作品。関東大震災や旱魃な
どが襲う中、ギロチン社は社会改革を叫んで耳目を集める。
しかしその実態は口先ばかりで実力の伴わない若者の集団だ
った。そして彼らが女相撲の一団と行動を共にする中で様々
な事件が起こる。出演は、映画初主演の木竜麻生と、2016年
9月紹介『デスノート Light up the NEW world』などの東
出昌大。他に韓英恵、佐藤浩市の息子の寛一郎、嘉門洋子、
渋川清彦らが脇を固めている。脚本には2016年11月13日題名
紹介『バンコクナイツ』などの相澤虎之助が協力して当時の
音楽も併せた巧みな作品に仕上げられている。長尺だが観て
いる間は時間を感じさせない作品だ。公開は7月7日より、
東京はテアトル新宿他で全国順次ロードショウ。)
『チャーチル ノルマンディーの決断』“Churchill”
(今年のオスカー受賞作の後追いのような感じだが、本国で
は本作の方が先のものだ。そして受賞作はダンケルク撤退作
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05月13日(日)
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