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On the Production
by 井口健二
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■ヴァレリアン、ガッチャマン(ばぁちゃんロード、男と女、しあわせの絵の具、15時17分、ラーメン、Oh Lucy!、犯罪都市、キング)
(カナダ・ノバスコシア州のプリンスエドワード島で生涯を
過ごし、ガスも電気も水道もない4m四方の小さな家で絵を
描き続けた素朴派女性画家を描いたドラマ作品。画家は若年
性関節リウマチで身体が不自由だったが、絵に対する情熱は
尽きることなく、晩年は雑誌やテレビでも紹介されてニクソ
ン米大統領からも作品の依頼があったとされる。そんな女性
画家と彼女を支えた夫の姿を、2017年11月紹介『シェイプ・
オブ・ウォーター』などのサリー・ホーキンスと、『ヴァレ
リアン』にも出演イーサン・ホークが演じている。他にカナ
ダ人女優のカリ・マチェットとガブリエル・ローズが共演。
脚本はカナダのシェリー・ホワイト、監督はアイルランドの
アシュリング・ウォルシュが担当した。映画では画家の描い
たアートハウスが見事に再現されている。公開は3月3日よ
り、東京は新宿ピカデリー他で全国ロードショウ。)

『15時17分、パリ行き』“The 15:17 to Paris”
(2015年8月21日、アムステルダム発パリ行きの高速列車タ
リスの車内で発生したイスラム過激派によるテロ事件。その
犯人に立ち向かった3人のアメリカ人青年を描いたクリント
・イーストウッド監督による実話に基づく作品。映画は幼馴
染であった3人の幼少期から説き起こし、事件に遭遇するま
での足跡が描かれる。それは最初は作品を間違えたかと思う
ような展開で始まるが、映画の終盤になると、なるほどそう
れが言いたかったかのかと納得できる。しかも主役の3人を
事件の当事者本人に演じさせているのだから、この大胆さは
イーストウッド監督ならではのものだろう。いやはや脱帽の
作品だ。前作2016年9月紹介『ハドソン川の奇跡』では主役
以外の救護者たちに本人を起用していたが、それは本作への
前哨戦だったのかな。公開は3月1日より、東京は新宿ピカ
デリー他で全国ロードショウ。)

『ラーメン食いてぇ!』
(ページ閲覧数が100万回を超えるという林明輝原作ウェブ
漫画の実写映画化。群馬県高崎市と中央アジアのキルギスを
舞台に、閉店したラーメン店の再興と食を通じた異文化交流
が描かれる。中央アジア篇では実際に現地ロケが敢行され、
雄大な風景と素朴な遊牧民の生活振りが紹介される。一方の
高崎篇では落ち毀れ気味の女子高生と親友との友情とラーメ
ン修行が語られる。この修行ではかなりの薀蓄が披露され、
特にヒロイン2人が挑む平かごを使った湯切りなどは、相当
の練習の跡が見えるものだ。他に高崎とキルギスを繫ぐ食材
の話なども納得の行くものだった。出演はNHK朝ドラ『ま
れ』などの中村ゆりかと『わろてんか』で主演の葵わかな。
他に片桐仁、石橋蓮司。脚本と監督は、2018年1月21日題名
紹介『ROKUROKU』の脚本を務めた熊谷祐紀。公開は3月3日
より、東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)

『Oh Lucy!』
(寺島しのぶ、南果歩、忽那汐里、役所広司、ジョッシュ・
ハートネットの共演で、英会話を学び始めたことから自分を
変えて行く女性の姿を描いた作品。脚本と監督の平柳敦子は
長野県生まれ、千葉県育ちで、高校2年生時に渡米してロサ
ンゼルスの高校を卒業。州立大学で演劇の学位を得た後に、
奨学金を受けてニューヨーク大学大学院で映画制作の修士号
を取得。そして桃井かおりを主演に迎えた修了作品の短編映
画でカンヌ国際映画祭の学生映画部門の第2位を獲得した。
その短編を自ら長編化したのが本作とのことだ。因に本作は
脚本段階でサンダンス・インスティデュート/NHK賞を受
賞し、同賞の支援で本作が製作されている。内容的には南カ
リフォルニアの様子など実態に則したものだろうが、お話自
体は意外な展開の割には真面な感じで、もっと弾けたものが
欲しい感じもした。公開はゴールデンウィーク。)

『犯罪都市』“범죄도시”
(1990年代、ソウルに定着した中国同胞は中国街を形成し、
そこではいくつかの組織が縄張りを作っていた。そんな中に

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02月11日(日)
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