ID:47635
On the Production
by 井口健二
[470875hit]

■第30回東京国際映画祭<コンペティション以外>
は町中を追い回されることになるが…。2017年7月30日題名
紹介『我は神なり』などの韓国アニメーションも注目だが、
中国もその後を追ってきそうだ。

『サッドヒルを掘り返せ』“Sad Hill Unearthed”
2013年上映『ホドロフスキーのDUNE』に次いで映画祭で最も
興奮したドキュメンタリー。1967年のセルジ・レオーネ監督
『続・夕陽のガンマン』で最後の決闘シーンが撮られた墓地
のロケ地を探し出し、それを再現して50周年の上映会を開い
た男たちの記録。そこに存命のエンニオ・モリコーネらへの
インタヴューも加えて、最後の上映会のシーンは正に感涙物
の作品になっている。日本公開を期待したい。

『マカラ』“Makala”
アフリカ・コンゴの荒野で家族が暮らす家を建てるために炭
を焼き、その炭を町に売りに行く男性の姿を描いたフランス
人監督エマニュエル・グラスによるドキュメンタリー。カン
ヌ映画祭批評家週間作品賞の受賞作。前半の炭焼きまでは良
いが、その後の展開が如何にもやらせ臭く。特に最後のミサ
のシーンが延々と続くのには、何か特別の意味があるのかと
いう勘繰りもしてしまった。

『レインボウ』“Una Questione Privata”
1943年夏のイタリアを背景に、パルチザンに身を投じた青年
を描いた作品。映画の要所に映画『オズの魔法使い』の名曲
‘Somewhere Over the Rainbow’が流れ、その意味を考え続
けた。そして最後のその回答を得た。それは1974年のジョン
・ブアマン監督作品にも繋がるものだった。原題は「個人的
な事情」というもので、原作小説の映画化のようだが、そこ
にこの邦題=英題の振られた事情も知りたい。

『詩人の恋』“시인의 사랑”
短編作品に内外の数多くの賞を受賞したキム・ヤンヒ監督の
長編第1作は、韓国の全州プロジェクトマーケットで観客賞
とグランプリに輝いた。済州島で小学校の作文講師を務めな
がら詩作に励む詩人が、ふと見かけたドーナッツ屋の店員の
青年に心を惹かれ、のめり込んで行く姿が描かれる。内容的
には理解するが、最後がこの結末なのはちょっと面白くない
かな。少し期待外れだった。

 今年の「ワールド・フォーカス部門」は、リマスター作品
を除き全19作で、その内の9本を鑑賞した。今年は『サッド
ヒル…』を観られただけで満足だ。

<台湾電影ルネッサンス2017>
『大仏+』“大佛普拉斯”
題名の+は、元々の短編作品があってそれに追加して長編化
したものだそうだ。その構成は、社長の車載カメラの記録を
盗み見るというもの。それは車の前方だけを写したもので、
そこには音声だけで不倫の様子が認められるが…。やがてそ
れが事件を描くことになる。その展開が巧みで思わず喝采し
てしまった。カラーとモノクロの使い分けも良く。ホアン・
シンヤオ監督のデビュー作は見事な出来栄えだ。

『怪怪怪怪物!』“報告老師!怪怪怪怪物!”
台湾のカリスマ作家と言われるギデンズ・コーによる監督第
2作。第1作は自伝的青春映画だったようだが、本作は学園
ホラー。不良グループの走りだった少年が、突然現れた人食
い怪物と対決することになる。ジャパニーズホラーの影響も
感じられるが、スプラッター的な部分もあってかなり強烈な
作品になっている。なお監督の第1作は日本でのリメイクも
進んでいるようだ。

『フォーリー・アーティスト』“擬音”
擬音というと、日本では音響監督、音響効果の下に置かれて
決して高い位置ではないが、吹替えが主流の中国語映画では
かなり意味合いが違うようだ。その仕事ぶりが過去の名作の
映像+擬音なども交えて丁寧に描かれる。インターナショナ
ルサウンドのあるハリウッド映画などと違って、中国語の吹
替えでは擬音が演出の領域まで進出している。特に台湾語の
使い方などは納得で、その仕事が理解できた。

 この部門はリマスター作品を除く全作を鑑賞した。ヴァラ
エティに富んだ作品群はいずれも楽しめた。

<CROSSCUT ASIA部門>

[5]続きを読む

11月05日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る