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On the Production
by 井口健二
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■トモダチゲーム−劇場版FINAL−、じんじん〜其の二〜、シンクロナイズド・モンスター、セブン・シスターズ
人口が過剰になってしまった世界。そこで政府は一人以上の
子供を制限し、残る子供は冷凍睡眠にしていつか子供が減り
始めた時の備えにするとの法律を発令する。
そんな中で主人公は、何と七つ子で生まれた女性。しかし父
親は法律に従わず、七人姉妹をそのまま育てようとする。そ
の方法は、娘たちに曜日を振り分け、その曜日の一人だけが
外に出て、他は家の中に隠れているというものだった。
そして年月が過ぎ、娘たちが年ごろに育った時、事件が起き
る。果たして彼女たちの運命は? そして政府が掲げる政策
の裏に潜む真実とは…。
共演は、2017年4月紹介『ディストピア パンドラの少女』
などのグレン・クローズ、同年2月紹介『グレート・ウォー
ル』などのウィレム・デフォー、それに同年7月紹介『ザ・
マミー 呪われた砂漠の王女』などのマーワン・ケンザリら
が脇を固めている。
脚本は、2013年公開『バーニング・クロス』などのケリー・
ウィリアムソンと、テレビアニメ版の“Wolverine and the
X-Men”などを手掛けたマックス・ボトキン。監督は、ノル
ウェー出身で2009年12月紹介『処刑山』などのトミー・ウィ
ルコラがハリウッドデビューを飾っている。
人口過多の時代が背景のSFでは、ハリー・ハリスンの原作
“Make Room! Make Room!”を映画化した1973年公開『ソイ
レント・グリーン』が知られるし、それが曜日に振り分けら
れている物語にはフィリップ・ホセ・ファーマーが1985年に
発表した小説“Dayworld”もある。
そんな点を踏まえて本作を見ると、全体的に詰めが甘いと言
えるかな。人口過多なのに空き部屋があるとか、街中も左程
人間が多いようには見えない。この辺は政府の政策が功を奏
しているのかもしれないが、それにしても長年に亙って父親
が7人分の食料をどう工面したのかも疑問に感じる。
とは言うものの、女優にとって7人の人格を同時に演じられ
るのが魅力なのは間違いない。ラパスはそれを楽しんでいる
ように見えるし、それで本作の製作の意味はあったと言える
だろう。
ただし、映画中の人死にの多さは多少辟易もしたところで、
監督の以前の作品から仕方がないとは言え、もう少し何とか
ならなかったか、とは思えたところだ。
公開は10月21日より、東京は新宿シネマカリテ他で全国順次
ロードショウとなる。
この週は他に
『ポルト』“Porto”
(2016年に他界したアントン・イェルチンの主演で、ポルト
ガル第2の都市を舞台にしたラヴストーリー。主人公は家族
に勘当されてこの地に流れ着いたアメリカ人。町をふらつい
ていた彼が、過去に関係を結んだことのあるフランス人女性
と再会して物語が始まる。彼女は考古学者の教授と共にこの
地にやってきたのだが…。映画は3つのパートに分れて描か
れるが、その関係性は不明瞭で結局物語はプレス資料を見て
判読した。でもポルトの街が見事に美しく描写され、それを
観ているだけでも満足の行く作品と言える。共演は初主演の
ルーシー・ルーカス。監督はドキュメンタリー出身ゲイブ・
クリンガーの初劇映画となっている。公開は9月30日より、
東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『MASTER マスター』“마스터”
(イ・ビョンホンとカン・ドンウォンの共演で、詐欺師と捜
査官の攻防を描いた作品。イが扮するのは金融投資会社のカ
リスマ的トップ。派手なパフォーマンスで金を集め、その投
資先は外れがない。しかしその実態は賄賂で切り抜けている
ものだった。その尻尾をカン扮する捜査官が苦闘の末、遂に
掴むが…。舞台は国外にも広がり、大規模な金融詐欺が繰り
広げられる。脚本と監督は、2014年8月紹介『監視者たち』
などのチョ・ウィソク。詐欺事件を描くが内容は頭脳戦だけ
でなく、カーチェイスから肉体派アクションまで、正にエン
ターテインメントの塊という作品だ。公開は11月10日より、
東京はTOHOシネマズシャンテ他で全国ロードショウ。)
『ミスター・ガガ 心と身体を解き放つダンス』
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08月27日(日)
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