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On the Production
by 井口健二
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■ローマ法王になる日まで、ハイヒール こだわりが生んだおとぎ話、怪物はささやく
(2017年に結成20周年を迎えた「クレージーケンバンド」の
横山剣が本人として主演し、バンドのメムバーも出演するド
ラマ作品。登場するのは横浜で育った幼馴染の3人。1人は
音楽で成功し、1人はそのマネージャー、そしてもう1人は
地元暴力団の構成員となっている。そのバンドに横浜球場で
のコンサートが決まるが…。横浜の街には、違法在留の中国
人や組の内部抗争など、様々な思惑が渦巻いていた。共演は
中野英雄と伊原剛志。監督は2016年「FUNKY MONKEY BABYS」
のファンキー加藤が主演した『サブイボマスク』などの門馬
直人、脚本も同作の一雫ライオン。ミュージシャンの主演で
これ大丈夫か?と思うような話が展開する。公開は6月24日
より、東京はTOHOシネマズ新宿他で全国ロードショウ。)
『静かなる情熱エミリ・ディキンスン』
“A Quiet Passion”
(1886年に死去し、生前には10篇しか発表されていなかった
が、死後に1800編もの詩作が発見され、それらが今でも影響
を与え続けているというアメリカの女性詩人の生涯を描いた
作品。時代は19世紀後半、文芸は男性がするものと決め付け
られ、女性にはその端緒も掴めなかった時代。そんな中で女
性詩人は自由奔放に自分の意思を貫き通して行く。勿論そこ
には多数の障害も待ち構え、恐らくはそれによって命も縮め
ることになってしまうのだが。出演は2010年5月紹介『セッ
クス・アンド・ザ・シティ2』などのシンシア・ニクスン、
2013年1月紹介『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェニフ
ァー・イーリー。公開は7月29日より、東京は岩波ホール他
で全国順次ロードショウ。)
『ザ・ダンサー』“La danseuse”
(モダンダンスの始祖の1人とされる女性ダンサー=ロイ・
フラーの生涯を描いたドラマ作品。ニューヨークで暮らす母
親を頼って田舎町を離れた少女がオーディションで3分間の
幕間のパフォーマンスを獲得。そこで喝さいを浴びた少女は
そのアイデアを膨らます。しかしそのアイデアが盗まれ、そ
の特許権を求めて彼女はヨーロッパに進出する。特許という
のは著作権だと思うが、自分が以前に特許業界に居た者とし
ては気を曳く作品だった。出演は、フラーの激しいダンスを
見事に再現して見せたミュージシャンのソーコと、ジョニー
・デップの娘リリー=ローズ・メロディ・デップ。デップが
本気の演技を見せるのも頼もしい。公開は6月3日より、東
京はBunkamura ル・シネマ他で、全国ロードショウ。)
『歓びのトスカーナ』“La pazza gioia”
(2011年5月紹介『人生、ここにあり!』でも描かれたイタ
リアの精神病院を巡る作品。以前の作品では1998年に廃絶さ
れたとしていたが、その後も司法精神病院というのが存続し
ていたそうで、そこでは医者ではなく裁判官が病気を認定し
ていたというもの。これでは正に権力者が邪魔者を閉じ込め
るための手段に思える。実際に本作ではそんな風に取れる話
もあり、中々奥深い作品だ。と言っても描き方は前作と同様
のハートフルコメディで、精神病とされた患者が繰り広げる
温かいドラマが風光明媚なトスカーナを背景に展開される。
因にその司法精神病院も遂に今年2月に廃絶されたそうで、
日本とは違うお国柄も見える作品だ。公開は7月上旬、東京
はシネスイッチ銀座他で全国順次ロードショウ。)
『獣道』
(2017年4月2日題名紹介『ダブルミンツ』などの内田英治
脚本、監督による作品。不良や暴走族が屯する地方都市を舞
台に、宗教依存症の母親によって教団施設で育ったが、それ
が違法教団として摘発されて保護された少女と、彼女に理解
を示して見守る不良少年を主人公にした物語が展開される。
出演は、共に子役出身の伊藤沙莉と須賀健太。その脇をハー
フ芸人のアントニー、韓英恵、広田レオナ、でんでん、矢部
太郎、近藤芳正らが固めている。かなり突飛な題材で特に宗
教問題は微妙なものだが、それなりに物語は作られている。
なお撮影には、ロケ地の警察の監視の下で地元の暴走族など
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04月23日(日)
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