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On the Production
by 井口健二
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■皆はこう呼んだ鋼鉄ジーク、こどもつかい、ラストコップ THE MOVIE
(2015年公開『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』から
主なキャストもそのまま再演した続編。ただし監督は前作か
ら変更になっている。原作は女性に評価されたSM小説との
ことで、男性の身では中々が評価し難い。前作の時は試写は
観たが、紹介は遠慮してしまった。ただし女性監督が撮った
前作は描写がかなり生々しかったが、男性監督になった今回
はそれなりに落ち着いて観られたかな。その辺は観客の見方
も含めて評価は分かれそうだ。でも前作と同じセットが登場
するとやはり思い出しては仕舞うものだ。出演はダコタ・ジ
ョンスンとジェイミー・ドーナン。監督は1997年『チェンバ
ー 凍った絆』などのジェームズ・フォーリーが担当した。
公開は6月、全国ロードショウの予定。)
『裁き』“Court”(インド映画)
(前々回題名紹介『アムール、愛の法廷』に続く、刑事裁判
の法廷を舞台にした作品。被告席に座るのは老歌手。常々反
体制的な歌を歌っている彼が自殺を勧める歌を歌い、それに
よって自殺者が出たという罪状で逮捕されたものだ。しかも
彼はマラーティ語しか喋らず、若い弁護士は裁判自体の不当
性を訴えるが、貧富の差や民族の差別などで、裁判は良い方
向には向かわない。文化の違いとは言え、それだけでは言い
切れないようなインドの現状(?)が描かれる。監督は短編
映画で数多くの映画祭で受賞しているチャイタニヤ・ターム
ハネー。長編第1作の本作でヴェネツィア国際映画祭で作品
賞などに輝いた。公開は7月より、東京は渋谷ユーロスペー
ス他で全国順次ロードショウ。)
『まるでいつもの夜みたいに』
(2005年4月16日に急逝したフォーク歌手高田渡が、その死
の16日前に高円寺の居酒屋で行った最後のワンマンライヴの
模様を記録した作品。撮影の経緯は良く判らないが、三鷹の
自宅を出てから電車に乗り会場に着くまでの様子も写されて
いる。しかし会場での撮影もカメラは1台だけで、しかも演
奏者の横からというのが、会場の狭さもあって妙な臨場感を
生んでいる。それは稀有な作品だ。そして歌われるのは初期
の名作「しらみの旅」から後期の作品まで網羅されており、
1970年以前に生で観ていた僕には懐かしさも込上げてきた。
さらにその間の語りも絶妙で、今更ながらその才能を再認識
することもできた。公開は4月29日より、東京は渋谷UPLINK
他で全国順次ロードショウ。)
『VIVA! 公務員』“Quo vado?”
(2017年2月26日題名紹介『日々と雲行き』と共に、Viva!
イタリア vol.3として上映される同国で史上最高興行記録を
打ち立てたというコメディ作品。公務員天国と言われた国が
政変で人員削減に乗り出す。それに抵抗する一人の職員との
すったもんだが描かれる。政権側は退職金を吊り上げる一方
で、彼を国内の僻地から北極圏まで転勤させるのだが…。そ
の先々で彼は満足を得てしまう。そしてついに任地はアフリ
カ奥地、それでも彼は巧みに困難を切り抜ける。主演は共同
脚本も手掛けるケッコ・ザローネ。海外のコメディは国情が
合わない場合もあるが、本作は日本でもありそうな話で、手
放しで楽しめた。公開は5月27日より、東京はヒューマント
ラストシネマ有楽町他で、全国順次ロードショウ。)
『パーソナル・ショッパー』“Personal Shopper”
(多忙なセレブに代って衣装などの調達を行う女性を描いた
作品。主人公はパリとロンドンを行き来しながら高級ファッ
ションブランドの選択をして行く。そんな彼女はある連絡を
待っている。それは先に病で亡くなった双子の兄が冥界から
連絡をすると言い残したものだ。そして彼女の携帯電話に謎
のメッセージが着信する…。主演は前回紹介『カフェ・ソサ
エティ』などのクリスティン・スチュアート。監督のオリヴ
ィエ・アサイヤスとは2014年『アクトレス』に続いてのコラ
ボレーションとのことだ。女優が次々に華麗なファッション
に身を包むのも魅力的だが、ミステリアスな物語も気になる
作品だ。公開は5月12日より、東京はTOHOシネマズ六本木ヒ
ルズ他で、全国ロードショウ。)

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04月16日(日)
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