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On the Production
by 井口健二
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■虐殺器官、パッセンジャー
嬢様学校の文芸サークルを舞台に、メムバーの死の謎を各自
が書いた小説の朗読によって解き明かして行く。それは視点
の変化によってメムバーの違った側面が現れ、それぞれが異
なる犯人を糾弾するものだ。確かに嫌な感じの描写が続く。
でもまあ結末は僕等からすると想定内かな。それが目新しく
感じる人もいるのだろうけど。出演はいずれも雑誌モデル出
身の清水富美加と飯豊まりえ。他のメムバーに清野菜名、玉
城ティナ、小島梨里杏、平佑奈。脚本は2013年8月紹介『あ
の日見た花の名前を僕達はまだ知らない』などの岡田麿里。
公開は4月1日より全国ロードショウ。)
『花戦さ』
(華道池坊の源流を描く作品。戦国末期、岐阜城に招かれて
織田信長に生け花を献じた池坊専好は、豊臣の世になっても
京都で隆盛を誇っていた。ところが秀吉の横暴が影を落とし
始める。そして千利休が不興を買って切腹を命じられ、次に
は池坊に魔手が伸びるが…。その秀吉の横暴に専好は生け花
を持って諌めに掛る。どこまでが史実に則ったものかは判ら
ないが、秀吉の茶会に登場する黄金の茶室や生け花の技法な
ど、見ものはいろいろある作品だ。出演は野村萬斎、市川猿
之助、中井貴一、佐々木蔵之介、佐藤浩市。鬼塚忠の原作か
ら2011年7月紹介『こち亀』などの森下佳子が脚色。2006年
8月紹介『地下鉄(メトロ)に乗って』などの篠原哲雄が監
督した。公開は6月3日より全国ロードショウ。)
『ブルーハーツが聴こえる』
(1995年に解散したロックバンド「THE BLUE HEARTS」の楽
曲を、飯塚健、下山天、井口昇、清水崇、工藤伸一、李相日
の各監督がそれぞれにインスパイアされた物語で映像化した
オムニバス作品。さらに出演者には尾野真千子、市原隼人、
斎藤工、優香、永瀬正敏、豊川悦司らの面々が並んでいる。
作品はそれぞれに監督の特色を出したもので、中でも下山監
督はVFXも多用したSFもの、井口監督もらしさを出して
いる。その一方で李監督の作品は正に今を描いた作品で、そ
れを忘れ去らせないようにする意識が感じられた。この作品
に関しては、このテーマで別のオムニバスを作っても良いと
も思えたものだ。公開は4月8日より、東京は新宿バルト9
他で全国ロードショウ。)
『日本と再生 光と風のギガワット作戦』
(3・11以降の日本の電力事情と世界の動きを追ったドキュ
メンタリー。巻頭では福島原子力発電所の爆発の様子が紹介
され、その衝撃の映像で世界中の原子力政策が転換したこと
が報告される。しかし日本では何故か政策は転換せず、寧ろ
放射能被害を受けながらも世界中で唯一とも言える原発推進
が堅持された。その理由が絵解きで紹介されるが、何ともそ
れが不明瞭で、やはりこの点はタブーなのだと再認識もさせ
られた。その一方で世界の風力発電の大半が中国企業の手で
進められているという事実が紹介され、これでは却って日本
の風力発電は進み辛いなとも思わせる。その他の海外取材は
すでに他でも紹介されたものが多く、日本独自の視点が物足
りなかった。公開は2月25日より全国ロードショウ。)
『お嬢さん』“아가씨”
(「このミス」で1位に輝いたイギリスの小説「荊の城」か
ら舞台を日本統治下の韓国に移して映像化した作品。孤児の
韓国人女性が日本人の家に女中として潜入。その家督を狙う
詐欺事件の顛末が描かれる。そこに濃厚なエロスも描かれ、
カンヌ国際映画祭で韓国人初の芸術貢献賞を受賞したのも頷
ける作品になっている。因に作中では日本語も多く聞かれる
が、そこには放送禁止用語が満載で、これが韓国でどのよう
に処理(字幕?)されたかは判らないが、到底日本のテレビ
では放送できない代物。正にいやはやという感じなのも面白
かった。脚本と監督はパク・チャヌク。海外ではすでに32以
上の受賞を果たしているそうだ。公開は3月3日より、東京
はTOHOシネマズシャンテ他で全国ロードショウ。)
『スレイブメン』
(『ブルーハーツが聴こえる』の一編も手掛けた井口昇監督
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02月05日(日)
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