ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459842hit]

■ドクター・ストレンジ、モンスターストライク、クリミナル 2人の記憶を持つ男
(2013年8月紹介『ランナウェイ/逃亡者』などのシャイア
・ラブーフが中東に派遣された海兵隊員に扮する作品。映画
は妻と幼子のいる家庭の様子と派遣前の訓練の模様。それに
中東での作戦行動と上官による尋問。さらに廃墟と化した街
でのサヴァイヴァルのシーンが交互に描かれ、かなりミステ
リアスな物語になっている。しかしその実態は、あまりにも
過酷な戦争の現実が描かれたものだ。僕は以前から戦闘シー
ンのある反戦映画は成立しないと考えているが、その考えで
言うと本作は反戦映画ではない。戦争のもたらす悲劇をとこ
とんまで描き切った作品だ。共演はゲイリー・オールドマン
とケイト・マーラ。公開は2月25日より、東京は新宿武蔵野
館他、全国順次ロードショウ。)
『LIVE FOR TODAY−天龍源一郎−』
(昨年11月に現役を引退したプロレスラーの、引退発表から
引退試合までを追ったドキュメンタリー。製作総指揮を自ら
の主宰団体の代表でもある実娘が担当しているもので、言う
なれば自作自演だから悪いところは出てこない作品だ。でも
それがファンにはプレゼントであろうし、そうではなくても
最後の試合シーンには感傷も生じた。正直なところは僕自身
が天龍とは同世代で、最近のプロレスは全く見ていないから
若いレスラーの名前にはほとんど馴染みは無かったが、名の
知れた往年のレスラーたちの姿には、お互い老けてしまった
なあという感慨も湧く。その多くが今も現役というのは感動
したところだ。公開は2月4日より、東京は新宿武蔵野館、
ユナイテッドシネマ豊洲他、全国順次ロードショウ。)
『惑う After the Rain』
(静岡県三島市を舞台に、脚本作りの段階から市民参加で行
われたというご当地作品。地元の名士のような人物も出てく
るが、全体的には家族愛なども巧みに取り込んで、中々面白
い作品に仕上げられていた。ポスター写真からは三島女郎の
話かとも勘ぐったが、その辺は趣だけに止めてまずは普遍的
な話が展開される。出演は佐藤仁美、この後に主演作も控え
る中西美帆、2016年8月7日題名紹介『だれかの木琴』など
の小市慢太郎、宮崎美子。僕自身が襖、障子に座敷、廊下の
日本家屋で育ったもので、本作に登場する建物には懐かしさ
も感じた。昭和の時代を気持ち良く再現した作品にもなって
いる。静岡県で先行上映の後、東京は1月21日より有楽町ス
バル座他、全国順次ロードショウ。)
『息の跡』
(2012年1月紹介『桃まつり〜すき〜』の中で『the place
named』という作品が上映された小森はるか監督による長編
第1作。監督は2011年の震災以降、岩手県陸前高田市に移り
住んで制作を続けているという、震災後の人々に生活ぶりを
記録したドキュメンタリー。本作では、そんな被災地で大津
波防備のために新設される大堤防の中に埋め込まれてしまう
場所で種苗店を営む男性の姿が記録されている。その男性は
歴史に遡っての津波の検証を行う一方で、震災の記憶を英語
や中国語、スペイン語などで発信し続けてもいる。映画の内
容は確かに理解できる。だが監督の主張したいところが良く
判らない。出来るなら種苗店跡地の今が観たいものだ。公開
は2月にポレポレ東中野他、全国順次ロードショウ。)
『うさぎ追いし 山極勝三郎物語』
(1915年に東京帝大病理学研究室において人工癌の発生に成
功し、日本における癌研究の礎を築いた科学者の足跡を辿っ
た作品。ウサギの耳にタールを塗って癌を発生させたという
話は子供の頃に聞いていたが、それが山極勝三郎という人の
研究で、さらには世界初の快挙であり、ノーベル賞の候補に
もなっていたという事実は本作を観るまで知らなかった。そ
んな信州上田出身の偉人の姿が描かれる。出演は遠藤憲一、
水野真紀、2013年8月紹介『許されざる者』などの岡部尚。
他に豊原功補、北大路欣也、高橋惠子らが脇を固めている。
監督は2011年3月紹介『お菓子放浪記』などの近藤明男が担
当した。長野県で先行上映の後、東京は12月17日より有楽町
スバル座他、全国順次ロードショウ。)

[5]続きを読む

12月04日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る