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On the Production
by 井口健二
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■ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅、きょうのキラ君、ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男
に取り組んだとのことで、その間の調査の詳細さを現すかの
ように、エンドクレジットには時代考証として各大学の先生
など多数の名前が連ねられていた。
出演はマコノヒーの他に、2015年3月紹介『ジュピター』な
どのググ・ンバータ=ロー、2013年8月紹介『ハウス・オブ
・カード 野望の階段』などのマハーシャラ・アリ、2010年
4月紹介『小さな命が呼ぶとき』などのケリー・ラッセル。
正直に言ってアメリカ合衆国の裏面史など、興味は湧き難い
かもしれない。しかし南北戦争が北軍の勝利に終った後も、
巧妙に奴隷制度を存続させていた南部諸州の富農の姿などは
是非とも知っておきたかった事実だ。その他にも続いていた
人種差別の実態などは、正にアメリカの黒歴史と言えるもの
で、その真実が描かれたことでは画期的な作品と言える。
上映時間2時間40分は長丁場だが、その分詳細に物事を理解
できる。恐らく今後はこの種の作品が増えてくると思われ、
映画ファンにはその嚆矢となる作品として是非とも押さえて
おきたいものだ。
公開は2月4日より、東京は新宿武蔵野館、ヒューマントラ
スト・シネマ渋谷他にて、全国順次ロードショウとなる。

この週は他に
『壊れた心』“Pusong Wasak”
(一昨年の東京国際映画祭コンペティション部門で上映され
た作品。2014年11月2日付の記事を読んで貰っても良いが、
2年経って作品を観直して朧気ながらストーリーは理解でき
たかな。でもまあそれはどうでも良くて、結局これはクリス
トファー・ドイルの撮影を楽しむものだろう。それは主演の
浅野忠信による自撮りも含めて、かなり強烈な印象を与えて
くれる。因に本作の日本公開は目途が立っていなかったが、
今回はクラウドファウンディングの実施により資金が集まり
実現したものだそうだ。公開は1月7日〜27日に渋谷ユーロ
スペースにて上映の他、全国順次ロードショウ。)
『A.I. love you』
(偶然ダウンロードしたA.I.アプリが持ち主の人生を変えて
行くというお話。出演は9月4日題名紹介『金メダル男』な
どの森川葵。他に上杉柊平、中村アン、NONSTYLE石田明。そ
してA.I.の声を斎藤工が演じている。同旨の作品では2014年
4月紹介『her/世界でひとつの彼女』が思い浮かぶが、斎
藤はスカーレット・ヨハンソンに勝てているかな? それは
ともかく、本作はSF範疇に入る作品だとは思うが、内容は
かなり掟破り。それが活きているかというとそれほどでもな
いのが少し残念。あと一捻りあれば…。公開は12月10日より
東京は新宿武蔵野館他にて、全国順次ロードショウ。)
『変魚路』
(1989年『ウンタマギルー』で各国映画祭で受賞を果たした
高嶺剛監督による18年ぶりの新作。大体監督自身が「変な映
画」と称しているくらいの、上記『壊れた心』に続く解釈不
能の作品で、こういう作品もたまにはあるさという感じだ。
取り敢えずの物語は、死にぞこないのものばかりが暮らす村
を運営する主人公が、ご禁制の媚薬を盗んだとの嫌疑を掛け
られて村を脱出。それを追う女たちや村の男たちが繰り広げ
るロードムーヴィというのだが…。中には結構手の込んだ映
像もあったりして、それはそれなりの雰囲気も醸し出してい
る。公開は1月14日より、東京はシアター・イメージフォー
ラム他にて、全国順次ロードショウ。)
『ブラインド・マッサージ』“推拿”
(2010年7月紹介『スプリング・フィーバー』などのロウ・
イエ監督によるベルリン映画祭銀熊賞受賞作品。中国で20万
部発行のベストセラーとなったビー・フェイユィの同名原作
に基づき、南京のマッサージ院で働く盲人マッサージ師たち
の愛憎劇が描かれる。いやあ、とにかく凄い。盲人を描いた
作品は2008年8月紹介『ブラインドネス』などいろいろある
が、本作では正に盲人の心をなぞれるような気分にさせてく
れたもので、これは全く信じられないような感覚だった。も
ちろんそれは現実の盲人の心には及ばないものだろうが、僕
がこんな感覚を味わった映画は初めてなのは確かだ。公開は

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11月27日(日)
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