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On the Production
by 井口健二
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■造られた殺人、MICメン・イン・キャット、オー・マイ・ゼット!
公開は11月5日より、東京はシネマート新宿、大阪はシネマ
ート心斎橋にて、1週間限定レイトショウとなる。
その他の公開予定が発表されておらず、そのままDVDにな
るのかもしれないが、出来れば映画館で観て欲しい作品だ。
また舞台劇にしてさらに完成度を高めて欲しいとも思える。
いずれにしてもこの監督には注目したい。
この週は他に
『貌切り』
(1937年に起きた映画スター林長二郎に対する貌切り事件を
モティーフに、その事件を映画化しようとする監督らの企画
会議を描く舞台劇。さらにその中で行われるスタニスラフス
キーの演技論に基づくロールプレイと、それによる謎解きと
いう多層構造の作品。台詞の応酬が演劇の面白さを堪能させ
てくれる。公開は12月3日より新宿K's cinema、12月10日よ
り名古屋シネマスコーレ他、全国順次ロードショウ。)
『ハッピーログイン』“좋아해줘”
(韓国映画お得意のラヴコメだが、それぞれの条件が異なる
3組の男女のエピソードを独立、且つ、少し交差させて実に
巧みに描き込んでいる。有り勝ちな話だが捻り方が上手い。
チェ・ジウ、ユ・アイン、カン・ハヌル、イ・ミヨン、キム
・ジュヒョク、イ・ソムという各世代の代表とも言える韓流
スターの共演も魅力的だ。公開は10月15日より、東京は新宿
バルト9、大阪は梅田ブルク7などで限定ロードショウ。)
『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』
“Teatro alla scala il tempio delle meraviglie”
(18世紀に設立され、世界三大オペラハウスの一つとされる
劇場を描いたドキュメンタリー。2014/15年シーズンの幕開
け準備の様子を追いながら、ルキノ・ヴィスコンティ演出の
『椿姫』におけるマリア・カラスの名演の映像なども挿入さ
れ、その偉大な歴史が手際よく纏められている。1946年の再
開時の映像も貴重だ。公開は12月23日より、渋谷Bunkamura
ル・シネマ他にて、全国順次ロードショウ。)
『幸せなひとりぼっち』“En man som heter Ove”
(本国スウェーデンでは『フォースの覚醒』を抑えたという
ハートフルコメディ。妻に先立たれた壮年男性が、自らの行
く末を考えつつ周囲の問題に関って行く。ルールに厳格な様
子や国産車への拘りなど、頑固おやじの典型のような姿は、
日本でも共感を呼ぶかな。外国人の存在や介護の問題は日本
社会も直面している話題だが…。公開は12月17日より、新宿
シネマカリテ他にて、全国順次ロードショウ。)
『グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状』
“Das Grosse Museum”
(1891年開館というウィーンにある「美術史博物館」。その
栄華を極める建物が、2012年から2年に亙って行った大規模
な改修工事に密着したドキュメンタリー。建物の改修だけで
なく、並行して行われた所蔵品の修復の様子なども紹介され
る。過去の修復で失われた下絵の話なども興味深い。『バベ
ルの塔』の処遇も気になった。公開は11月26日より、ヒュー
マントラストシネマ有楽町他で、全国順次ロードショウ。)
『この世界の片隅に』
(2007年4月紹介『夕凪の街 桜の国』などのこうの史代が
2007〜09年に発表した漫画賞受賞作によるアニメーション。
昭和19〜20年の呉市を主な背景に、広島市から嫁いだ女性の
戦時下の日常が描かれる。トンネルを通る蒸気機関車など、
細かな描写が続く中、昭和20年8月6日に向けて進む日付が
緊張感を高める。クラウドファンディングにより製作された
作品で、公開は11月12日より全国ロードショウ。)
『疾風スプリンター』“破風”
(台湾で盛んに行われているという自転車ロードレースを描
いた作品。台湾各地や世界中で行われるレースの様子が、大
掛りなロケーションにより美しい景色と共に描かれる。ただ
競技のルールが以前に観た日本のレースとは異なるようで、
その辺が少し気になった。本作の方が単純で明快ではあるの
だが…。公開は2017年1月、東京は新宿武蔵野館他で、全国
ロードショウ。)
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10月09日(日)
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