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On the Production
by 井口健二
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■ミスワイフ、チリの闘い第1部〜第3部、湯を沸かすほどの熱い愛、PK
ただ最後はちょっとやり過ぎかな? 実は宣伝担当者からは
「結末には賛否両論がある」と聞かされたものだが、でも本
作はフィクションなのだからこれもありだろう。映画全体の
良さが、そんな気持ちにもさせてくれる作品だった。
公開は10月29日より、東京は新宿バルト9他で、全国ロード
ショウとなる。

『PK』“पीके”
2013年3月紹介『きっと、うまくいく』のラージクマール・
ヒラニ監督による2014年の作品で、インドでは歴代第1位、
全世界興収で1億ドルを突破したという大ヒット作。
英語版のウィキペディアによるとscience fiction comedyと
なっていて、映画の開幕では巨大なUFOから主人公が降り
てくる…。これは確かにscience fictionかな。そしてその
主人公が帰る術を無くして地上に取り残されるというのは、
『E.T.』と同じ展開だ。
ただし本作の主人公は地球人の男性と同じ姿で、最初は少し
問題ありだが、その後は地球人に紛れて暮らすことになる。
しかし根っから正直な主人公は世間に蔓延る「神様」の存在
を信じ、その力でUFOを呼び戻そうとするのだが…。因に
彼には相手の手を握るとその心が判る能力があるようだ。
一方、インドを離れたベルギーでは1人の女性が「神様」の
力で恋人との仲を裂かれようとしていた。そして「神様」の
予言の通りに恋人に裏切られた彼女は、傷心のまま帰国して
テレビ局で報道ディレクターを務めていた。その女性が街で
不思議な行動をする主人公=PKを目撃する。
その時、PKは「神様が行方不明」という人探しのチラシを
街人に配っていた。その姿に興味を惹かれた彼女はPKの取
材を始めるが、それは社会を動かす大事件になって行く。果
たしてPKは「神様」を制してUFOを呼び戻し、自分の星
に帰ることができるのか…
主演は、『きっと、うまくいく』と同じアーミル・カーン。
相手役に2013年3月紹介『命ある限り』などのアヌシュカ・
シャルマ。モデル出身の女優は『命ある限り』で助演女優賞
を受賞、本作の大ヒットで人気を不動にしたそうだ。
ウィキペディアでscience fictionとされている本作だが、
純粋に工学部出身者の目で観ると、科学的な興味では『きっ
と、うまくいく』の方が理解できるところは多かったかな。
その点では本作は、SFと言うよりはもっと精神的な分野に
根差した作品だ。
そしてその精神(宗教)に関しては、前半では少し自分の感
覚と合わない感じもしていた。しかし映画の後半で敵が明確
にされてからの展開は理解し易く、特にクライマックスへの
畳み込み方は、見事なエンターテインメントになっている。
その辺が宗教で混沌としている現代社会に適切なメッセージ
にもなっている作品だ。
とは言うものの、上映中は僕自身が何度も涙腺を刺激され、
そんな感動作と言える作品でもあった。
公開は10月29日より、東京はYEBISU GARDEN CINEMA、新宿シ
ネマカリテ他で、全国ロードショウとなる。

この週は他に
『仮面ライダーゴースト 100の眼魂とゴースト運命の瞬間』
『動物戦隊ジュウオウジャードキドキサーカスパニック!』
(先月記者会見の模様をお伝えした仮面ライダー生誕45周年
/スーパー戦隊シリーズ40作目の記念作品。どちらも公開時
放送中のキャラクターが登場するが、放送シリーズとの兼ね
合いで番外編のような作品になっている。ただしそれなりに
豪華な作りで物語も納得だし、ゲスト出演も楽しめた。)
『ぼくのおじさん』
(北杜夫の原作を2012年4月紹介『苦役列車』などの山下敦
弘監督が松田龍平の主演で映画化。大学で哲学の臨時講師を
しているおじさんを、小学生の甥が宿題の作文で描写する。
山下監督は先々週に題名紹介の『オーバー・フェンス』に続
いての作品で、精力的な活動ぶりに感服した。)
『われらが背きし者』“Our Kind of Traitor”
(2012年2月紹介『裏切りのサーカス』などのジョン・ル・
カレ原作、製作総指揮による英国MI6を題材にしたスパイ

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07月31日(日)
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