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On the Production
by 井口健二
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■記者会見(アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅)、ペット、 みかんの丘、とうもろこしの島、クズとブスとゲス
奥田監督自身が演じるのは、女性を薬で眠らせて裸の写真を
撮り、それをネタに女性を強請って生計を立てているという
ゲスな男。そんな男が1人の女性をカモにしたところから話
が始まる。
実はその女がヤクザの店で働く商売女で、男は逆に落とし前
として大金を要求されたのだ。そこで男は大麻を売って金を
得ようとし、行きつけのバーのマスターに強引に大麻の売人
を手配させるのだが…。
そんな話に恋人との真っ当な生活を目指していたものの、生
来のクズな性分から上手くいかない男と、その恋人(ブス)
が絡まり合い、物語は思いも掛けない壮絶な展開へと雪崩れ
込んで行く。
共演は奥田作品には常連の板橋駿谷と、オーディションで選
ばれ本格的な映画出演は初めてという岩田恵里。それに北野
武作品の常連の芦川誠らが脇を固めている。
なお本作では奥田が俳優として昨年の東京フィルメックスで
スペシャルメンションを受賞したそうだ。
何せ上映時間の長い作品だし、題名のセンスにも疑問が生じ
たもので、中々観るタイミングに苦慮していたが、先に観た
人たちからは「題名の割にはよかったよ」と聞かされ、スケ
ジュールを調整した。
それで観ての感想は、確かに評判通りの作品で、上映時間も
長くは感じさせなかった。内容的にもかなりギリギリの線を
狙ってきた作品で、これは評価するべきものだろう。それは
勿論、顰蹙を買うことも覚悟の上の作品だ。
それが題名にも出ていることは、確信犯的に疑いようのない
ものでもある。ただ題名に関しては、ブスとゲスを入れ替え
た方が、略称がKGBとなって笑えるのかなとも思ったが、
まあそんなことはどうでもいいことだ。
公開は7月30日より、東京は渋谷ユーロスペース他で、全国
順次ロードショウとなる。
この週は他に
『ストリート・オーケストラ』
“Tudo Que Aprendemos Juntos”
(ブラジルのファヴェーラで子供たちに音楽を教えるヴァイ
オリニストの話。物語は有り勝ちだが、ファヴェーラの風景
が雰囲気を出していた。ただ、出だしの演奏をしない理由や
最期に練習できた理由は、もう少し説明が欲しかった?)
『キング・オブ・エジプト』“Gods of Egypt”
(2004年『アイ,ロボット』などのアレックス・プロイアス
監督がエジプト神話に挑んだ作品。僕は監督のSF的世界観
が好きだが、古代エジプトではちょっと違うかな。ただ神々
の身長が3m近いのは異星人説にも通じて面白かった。)
『シーモアさんと、大人のための人生入門』
“Seymour: An Introduction”
(イーサン・ホークがドキュメンタリーの初監督に挑んだ作
品。達人の発言には何につけて深いものを感じるが、本作も
そんな至言に満ちている。ただ、日本でも人気の某演奏家に
対する評価にはニヤリとさせられた。)
『ダンスの時間』
(これもまた達人の話。新江ノ島水族館などでダンスの指導
をする様子が描かれるが、その練習の手法なども注目に値す
るもので、全てが納得でき、また勉強になる作品だった。こ
の人のことをもっと知りたくなった。)
『ティエリー・トグルドーの憂鬱』“La loi du marché”
(海外の映画祭などで注目された作品のようだが、最近の映
画祭向きというか、確かに以前の映画では描かなかった作品
であることは言えるだろう。ただ僕自身は苦手とするもの。
それが受けていることは認識するが…。)
『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』
“La canción del mar”
(米アカデミー賞で長編アニメーション賞にノミネートされ
たアイルランド作品。正にメルヒェンという感じの作品で、
日本のジブリ作品にも通じるところがあるかな。近年のディ
ズニーでは観られないアニメーション世界が広がる。)
『はじまりはヒップホップ』“Hip Hop-eration”
(平均年齢80歳以上でヒップ・ホップダンスの世界大会に挑
んだチームの奮闘ぶりを描いたドキュメンタリー。日本でも
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06月26日(日)
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