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On the Production
by 井口健二
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■不思議惑星キン・ザ・ザ、リトル・ボーイ、MARS(マース)、神のゆらぎ
を繕う話。さらに別れた愛娘のために違法行為で金を作り、
その金を届けようとする男の話などが描かれる。
共演者にスターは居ないようだが、その内のアンヌ・ドルバ
ルはドラン監督の前作『マイ・マザー』と、本作の後に撮ら
れた『Mommy マミー』にも出演している。またロビン・アル
バートは本作で映画賞の助演男優賞候補になっている。
脚本は、本作の出演俳優でもあるガブリエル・サブーラン。
監督は、数多くのテレビシリーズを手掛け、監督第2作とな
る2010年“10 1/2”で数多くの賞に輝いたダニエル・グルー
が担当した。
最近に観た試写会では宗教に絡む作品が多くあるように感じ
られ、その動向が少し心配にもなっていたが、本作の中では
神を否定するような発言も見られ、その点では少しほっとし
た作品でもあった。
特にドランはゲイをカミングアウトしており、対して描かれ
る「エホバの証人」ではゲイを禁じているそうだから、その
辺は間違いのないところだろう。と言っても宗教関連は取る
人によって様々だから何とも言えないが。
ただ映画の構成はかなりトリッキーで、ドランはその点が気
に入ったのかな? それは時間軸をかなりいじくっており、
さらにそれが判った瞬間からまた別の興味が惹かれるなど、
相当に面白い作品に仕上げられている。
それは見事な作品だ。
公開は、7月16日より開催のカリテ・ファンタスティック!
シネマコレクション2016にてプレミア上映された後、全国順
次ロードショウが予定されている。

この週は他に
『ジャングル・ブック』“The Jungle Book”
(キプリング原作による児童文学の映画化。ディズニーでは
1967年にもアニメ化があるが、本作はその実写版というか、
主役の少年は実写だけどそれ以外の動物も背景も全てCGI
という作品。しかしこれにより原作の精神は完璧に映像化さ
れた言える。豪華な声優陣も聞きものだ。)
『イレブン・ミニッツ』“11 minut”
(上に書いた『神のゆらぎ』と同じく時間軸を色々いじった
アンサンブル劇。最後の纏まりは成程と思わせる。ただその
結末自体が個人的には多少好みではなかったかな? 巧みな
作劇ではあるし、試写室での評判も良いようで、それ自体を
楽しめればそれが良いのだろう。)
『花芯』
(瀬戸内寂聴が瀬戸内晴美時代の1957年に発表した作品の映
画化。原作の発表後は瀬戸内がしばらく文壇的沈黙を余儀な
くされたということだが、それは映画を観ていれば判るとこ
ろだ。でもまあ現在ならそうはならなかったろうし、むしろ
描かれた内容には現代女性の共感も呼びそうだ。)
『ヒップスター』“I Am Not a Hipster”
(サンディエゴのインディミュージシャンを描いた作品。僕
には音楽的なことは判らないが、描かれる父親との関係は、
自分も父親として考えるところはあるかな? それと肉親を
送らなかったことへの感情は、自分はちゃんと送れたとは言
え、理解できたように思えたものだ。)
『AMY エイミー』“Amy”
(2008年のグラミー賞で最優秀楽曲賞など5部門を受賞した
シンガーソングライター、エイミー・ワインハウスの生涯を
描いた2016年のオスカー長編ドキュメンタリー部門に輝いた
作品。驚くべき破滅的人生を描いた作品で、それがまた克明
にヴィデオに収められていたというのも驚く作品だ。)
『トリプル9 裏切りのコード』“Triple 9”
(警官の腐敗を描いく作品は、最近邦画でも北海道警の実話
に基づくとされる作品があったものだが、それにも増したア
メリカの警官の腐敗ぶりが描かれる。兎に角ひどい奴らで、
全く救いようがないのも見事。さらにオールスターキャスト
も見どころと言える作品だ。)
『チェブラーシカ動物園に行く/ちえりとチェリー』
(ロシアの人気キャラクターを、その生誕50周年の年に日本
で映画化した作品と、その新作を手掛けた日本人監督がロシ
ア人原作者の協力も得て作り上げた、人形アニメーションの
特性が見事に生かされた作品。昨年の東京国際映画祭で上映

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06月05日(日)
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