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On the Production
by 井口健二
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■トランボ、ニュースの真相、牙狼<GARO>-DIVINE FLAME-、知らない町、秘密 THE TOP SECRET
しれない。それはそれで良かったと言えることにもなるのだ
ろう。
とは言うものの特撮ファンの立場としては、セルタイプのア
ニメーションは、どう頑張っても実写の迫力には物足りない
と思ってしまうもので、早く実写特撮の世界に戻ってきて欲
しいという気分にはさせられた。
公開は5月21日より、東京は新宿バルト9他で、全国ロード
ショウとなる。
『知らない町』
2005年多摩美術大学卒業。卒業制作の作品がロッテルダム国
際映画祭に招待されたという大内伸悟監督による、2006年に
第2作を発表以来7年ぶりという新作。
最初に登場するのは廃品回収をしている男。男はあまり善良
ではないらしく、トラブルを起こしながら古びたソファーを
引き取る。そして友人の部屋に持ち込むが、そこに忘れ物を
探しているという女が現れる。
一方、若いカップルの男性がアルバイト先の先輩の命日の集
まりに先輩の彼女を招こうとしているが、過去に捉われたま
まの彼女はその誘いに応じようとしない。それでも男性の熱
意に墓参りは了承するが…。
ここから物語は有り勝ちな幽霊話になって行くのだが、最期
がちょっと捻られているのかな…?
でもそれが登場人物たちにどのような作用があったのか。そ
の辺をもう少し整理して明確にしていれば、それなりの作品
になったと思うのだが、最後が混乱というか描き切れていな
い感じなのが物足りなかった。
ただ上映前に監督の挨拶があったが、多少アヴァンギャルド
な趣を持たせたかったそうで、それはそうとしか言いようの
ない作品だが、この展開ならそうでない真面な作品の可能性
もあったと思えたものだ。
出演者は、日本のインディペンデント映画で活躍する俳優陣
が集結した感じで、2016年木村文洋監督『息衝く』などの柳
沢茂樹、2003年山下敦弘監督『バカのハコ船』などの細江祐
子、2013年2月紹介『旅立ちの島唄〜十五の春〜』などの松
浦祐也らが共演している。
プレス資料のプロダクションノートによると制作には3年が
費やされているようで、その理由がどこにあるのかはよく判
らないのだけれど、結局その辺の混乱が作品にも影響してし
まっているのかな。
アヴァンギャルドを標榜しても、そこにはそれなりの理論も
必要な訳で、物語の混乱をそこに持ってこられてもに何か面
はゆい感じもしてしまう。作品のテーマ自体は良いと思える
し、もっと真正面から取り組んで欲しかった。
結末で女性に与えられたであろうポジティヴな影響がもっと
明確に描かれていたら、それはそれなりに心に残る素敵な作
品になったとも思える。そんな作品を次回には期待したいも
のだ。
公開は6月11日より、東京はシアター・イメージフォーラム
(渋谷)にてレイトショーとなる。
『秘密 THE TOP SECRET』
2012年6月紹介『るろうに剣心』などの大友啓史監督が、実
はそれ以前から企画していたという清水玲子原作近未来SF
コミックスの実写映画化。
物語の背景は、MRIと称される死体の脳に残された記憶を
再生する技術が確立している時代。それは警察の犯罪捜査に
応用されて大きな成果を上げていたが、現場主義の刑事など
からは胡散臭い目で見られていた。
その技術は死体の脳を活性化して残留の記憶を所定の手段で
繋げられた捜査官の頭脳に投影するというもの。しかしそれ
は、犯罪行為を目の当たりにする捜査官には精神的な負担が
極めて大きなものだった。
そんな部署に1人のエリート刑事が赴任してくる。彼は大学
を優秀な成績で卒業し、正にMRIに憧れてその部署にやっ
てきたのだが…。その捜査では過去に何人もの捜査官が死亡
したり、発狂する事例も存在していた。
そして彼が最初に手掛けることになったのは、家族を惨殺し
て死刑になった父親の脳。事件では家族の1人が行方不明と
なっており、その行方をMRIで探ろうというものだった。
ところがそれが新たな犯罪をあぶりだす。
斯くしてその犯罪を追い始めた主人公らは、過去に何人もの
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04月24日(日)
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