ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459982hit]

■エンダーのゲーム、リディック/GB、仮面ティーチャー、大人ドロップ、ハンガーゲーム2、神さまがくれた娘、くもりときどきミートB
その状況は今もそれほど変わっていないとも言えそうだし、
そんな問題意識は何となく汲み取れる作品だ。もっともその
解決策はあまりに短絡的で、それがどうこうと言えるほどの
ものではないが。
ジャニーズマニアの観客層には、これで充分と言える作品だ
ろう。
公開は2月22日から全国ロードショウとなるようだ。

『大人ドロップ』
2005年のデビュー作「さよなら アメリカ」で芥川賞候補に
なった樋口直哉が、2007年に発表した同名小説の映画化。
主人公は夏休みを控えた男子の高校3年生。彼は教室ではす
ぐ前に座る女子に何かとちょっかいを出されているが、そん
な彼が親友に頼まれ、すぐ前に座る女子の親友であるクラス
メートとのデートをセッティングする。
ところがWデートになるはずだったその休日は、彼の親友の
いらぬ作戦で失敗に終ってしまう。実は主人公と級友の女子
は転校生同士で、以前は親しかったが最近は疎遠だった。そ
の関係がこれで決定的になってしまう。
そしてそのまま夏休みに突入してしまうのだが、突然主人公
に級友の女子が学校を辞め、急遽遠くに引っ越すという情報
がもたらされる。その話に突然胸にモヤモヤの立ち上がる主
人公だったが…
大人の階段の一歩手前。しかもその階段を登ってしまって良
いか逡巡している若者の姿が、暖かく、優しく、柔らかく描
かれている。そしてそれは、すでに大人になってしまった自
分には何とも懐かしく感じられる作品だった。
出演は、2010年9月紹介『信さん』や2012年10月紹介『横道
世之介』などの池松壮亮、2012年12月紹介『さよならドビュ
ッシー』やテレビ『あまちゃん』などの橋本愛。
それに2005年2月紹介『ZOO/カザリとヨーコ』に主演の
小林涼子、2010年1月紹介『桃まつり−うそ/カノジョは大
丈夫』に主演の前野朋哉。さらに諏訪太朗、香椎由宇らが脇
を固めている。
脚本と監督は、今年9月紹介『ケンとメリー・雨上がりの星
空に』と同時公開された『風俗行ったら人生変わったwww』
などの飯塚健。先の作品も暖かく、優しく、柔らかい感じだ
ったが、本作もその色調は変わっていない。
本作は一般的にはファンタシーとは呼ばないだろう。ただし
これは映画だけのものかもしれないが、どことなくファンタ
スティックなムードも感じられ、それは好ましくも感じられ
る作品だった。
因に原作者のデビュー作は、安部公房の「箱男」へのオマー
ジュ作品だそうで、本作の原作にも同じようなムードは漂っ
ているのかもしれない。だとしたらこの映画化の演出は見事
としか言いようのないものになっている。
それに若い4人の俳優と、ベテラン俳優たちの演技の噛み合
わせも上手く演出されている作品だった。
それにしても、最近の学園ものは何かと殺伐とした作品が多
い中で、このような作品を観せて貰えるのは本当にホッとし
て嬉しく感じられたものだ。
なお公開は4月4日からと紹介されたが、まだ劇場などは決
まっていないようで、それが報告されたら追加情報として掲
載することにしたい。

『ハンガーゲーム2』
          “The Hunger Games: Catching Fire”
アメリカでは『トゥワイライト』サーガを上回るヒットとさ
れる2012年7月紹介作品の続編。
圧政を敷く執権者が民衆の不満を逸らす目的で実施するハン
ガーゲーム。前作で第12居住区からそのゲームの代表に選ば
れた妹に代って志願出場し、見事にゲームに勝利した主人公
は、今や民衆のアイドルとなっている。
しかし主人公の勝利はゲームの欠陥も露呈し、このため主人
公は民衆の叛旗のシンボルにもなり始める。そこで執政者に
は主人公を公然と抹殺する必要が生じていた。その方策とし
て執政者が目論んだのは…
第75回を迎える大会を25回ごとの記念大会とし、過去の勝者
たちを集めた特別ゲームを実施すること。それは新たに作ら
れた競技場で行われ、そこには以前とは異なる死の罠が仕掛
けられている。
そして主人公を抹殺するための陰謀も張り巡らされていた。

[5]続きを読む

12月08日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る