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On the Production
by 井口健二
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■ソウルガールズ、ビューティフル・クリーチャーズ、地球防衛未亡人、FLU運命の36時間、スノーピアサー+Oscar Animation
作品では、最初の方で森次晃嗣演じる司令官が役名も同じら
しい壇蜜に向かって「ダン隊員」と呼びかけるシーンがある
など、全編がオマージュというかパロディに溢れている。
そこに三角諸島とか、その他にも微妙な地名や人名が飛び出
して、怪獣ファンならずとも思わず唸ってしまうパロディの
連続となる。しかもそれらが河崎作品特有のゆる〜いタッチ
で展開される。
その一方で怪獣との戦闘シーンや、眠った怪獣の移送シーン
などは、正しく円谷特撮そのままの映像が再現され、それは
往年の特撮ファンの心も鷲掴みにするものだ。これが王道の
パロディと呼びたい作品になっていた。
ただのおふざけをパロディと称しているのとはそこが違う。
河崎監督には心から拍手を贈りたい。
公開は2月8日から、東京は角川シネマ新宿他、全国順次で
行われる。
『FLU運命の36時間』“감기”
最強の致死率に変異した鳥インフルエンザと対決する人々を
描いたパニック作品。
ソウル郊外の街ブンダンに密入国の労働者を運んでいた男が
原因不明のウイルスに感染して死亡する。それから24時間の
内にブンタンの病院では男と同じ症状の患者が急増し、それ
は感染速度毎秒3.4人、致死率100%の変異型鳥インフルエン
ザと判明するが…。
危険を喚起しようとする医師団に対して優柔不断な政府の対
応は後手に回り、ついに史上初のブンダン地区封鎖の事態に
なる。しかもアメリカの医師の指示で設置した隔離キャンプ
はさらに罹病者の増加を招く。
そして住民たちの不満が暴動に発展し、封鎖線の強行突破を
しようとした時、感染病の世界蔓延を恐れたアメリカ政府代
表は韓国軍の指揮権を剥奪。ブンダン地区の消滅を目論んだ
爆撃命令を発動する。
この流れにブンダン地区の救急隊員の男性と、彼に関わりを
持った女性医師にその1人娘。さらに抗体を持っているらし
い密入国者の男性の行方などが絡んで、封鎖地区とその外部
との激しい攻防戦が繰り広げられる。
脚本と監督は2003年9月紹介『MUSA−武士−』、2005年
3月紹介『英語完全征服』などのキム・ソンス。いろいろな
題材に挑んできた監督だが、本作は2003年製作の『英語…』
以来となる10年ぶりの監督復帰作だそうだ。
出演は、今年5月紹介『依頼人』などのチャン・ヒョクと、
2012年3月紹介『ミッドナイトFM』などのスエ。そのスエ
とテレビドラマで共演し本作が映画デビューの子役パク・ミ
ナ、さらに『MUSA』や2011年2月紹介『生き残るための
3つの取引』などのユ・ヘジンらが脇を固めている。
「ブンダン地区封鎖」のシーンなどはかなり大掛かりな撮影
が敢行されている作品で、そこにアクションやサスペンス、
それに愛する人のために命を賭ける人々の人間ドラマも巧み
に織り込まれている。かなり骨太な作品だった。
ただ政治家の動きなどはステレオタイプ気味だが、まあどこ
の国でもそれが政治家なのだろうし、日本映画と同じステレ
オタイプなのは、他の登場人物を際立たせる方策でもあるの
だろう。
それにしても、駐留米軍が韓国軍を掌握してしまう辺りは、
さすがまだ戦時国という印象だが、確か日本の自衛隊も緊急
時には駐留米軍の指揮下に入ることになっているはずで、こ
の事態は日本で起きても同じことになりそうだ。
そんなことを考えながら心して観るべき作品だろう。
公開は、東京では12月14日からシネマート新宿、大阪は21日
からシネマート心斎橋、以後全国順次ロードショウとなる。
『スノーピアサー』“설국열차”
2009年8月紹介『母なる証明』や2006年7月紹介『グエムル
−漢江の怪物−』などのポン・ジュノ監督の新作で、本ペー
ジの製作ニュースで2006年8月1日付の第116回に紹介した
フランスのコミックス“Le transperceneige”の映画化。
物語の背景は、地球温暖化の解消策が暴走して極端に寒冷化
した近未来の地球。一方その世界には、地球一周の鉄道網が
敷設され、そこには車内だけで全てが賄える自給自足の特急
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11月17日(日)
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