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On the Production
by 井口健二
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■キャリー、メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー、ザ・コール緊急通報指令室、ドラゴン・フォース、いとしきエブリデイ
変わったSF物だったが、今回は実話に基づく部分もあると
される実録作品だ。
共演は、2006年8月紹介『地獄の変異』などのモリス・チェ
スナット、2009年11月紹介『Dr.パルナサスの鏡』に出てい
たというマイクル・エクランド、スパイク・リー監督と多く
組んでいるマイクル・インペリオリらが脇を固めている。
車のトランクに閉じ込められるシチュエーションは映画でも
よくあるが、実は車のトランクには中からでも開けられる手
段が設けられている。ところが本作で主人公がそれを指示す
ると、それが無いという。それは犯人が先回りしてその手段
を除いていたもので、犯人が上手だった。
このように、本作の特に前半はその辺の駆け引きが実に巧み
で、観ていて思わず唸ってしまう展開だった。ただしそれが
後半に入ると少し緩くなって、その辺では少し心配にもなっ
たが、本作にはその心配を吹き飛ばすような仕掛けも設けら
れていた。
ブレスリンは、2010年5月紹介『ゾンビランド』などにも出
ていたが、『リトル・ミス・サンシャイン』の幼かった少女
が、本作では魅力的なティーネイジャーになった姿を見せて
くれる。そんな成長を見られるのも嬉しいものだ。
本作は、11月30日から全国公開される。
『ドラゴン・フォース』“鋼鉄飛龍”
1998年に円谷映像で製作された『仮面天使ロゼッタ』を始め
数多くのヒロインアクションを手掛けてきたプロデューサー
畑澤和也が中国に渡って総監督を務め、製作したアクション
アニメーション。
物語の背景は、異星人の侵略が始まっているかもしれない未
来の地球。その時代の地球はすでに世界国家が成立している
ようで、安定した状況下でその治安を守る世界警察には予算
の削減が突きつけられているらしい。
一方、天才科学者ドクターJは以前から異星人侵略の警鐘を
鳴らしていたが、世界警察でもそれを信じるものは少なかっ
た。しかし世界警察の長官だけはそれを信じ、ドクターJと
共に秘密部隊「ドラゴンフォース」を組織していたが…。
そんな時に地球規模の異変が起きる。それこそが異星人侵略
の証明になると考えたドクターJはドラゴンフォースに出動
を命じる。しかしその作戦は全て筒抜けになっており、さら
にドクターJ開発の武器が敵側にも装備されていた。
ドラゴンフォースは5人組で、試写会で配られるプレス資料
にはそれぞれのキャラクターの設定も紹介されていて、東映
の戦隊物を思わせる。他にも天才科学者や後方勤務の少女の
設定など、その体裁は類似するものだ。
実際に総監督の畑澤は、元東映で『仮面ライダー』や戦隊物
などを手掛けた故平山プロデューサーに師事していたという
から、その影響は強く感じられる。ただしそこに組織内部の
裏切りなどが絡むのは、案外目新しいのかな。
物語の原案は、畑澤と中国のトミー・ウォン。監督はウォン
が担当して、脚本もウォンとダイ・ジュンという名前になっ
ている。因に原案というクレジットは中国では無いようで、
総監督も含めて日本版だけの表記だそうだ。
その総監督の畑澤は2011年に中国広東省光州に渡り、本作を
制作した藍弧(ブルーアーク)で企画などに携わっていたと
のことだが、政治的な問題などもいろいろある中で苦労を重
ね、本作が生み出されているようだ。
その辺のことは、本作のオフィシャルサイトにも綴られてい
たが、海外でこのように頑張っている人の話は、本当に頭が
下がるものだ。なお、藍弧(ブルーアーク)ではすでに畑澤
原作・総指揮による『快来酷宝』という作品も本国で公開中
とされている。
ただし本作に関しては、内容的には明らかにプロローグで、
ここから話が始まる前哨戦。スケール的にはかなり大掛かり
な背景が描かれているもので、この続きは是非とも観てみた
い感じもした。
本作の公開は11月9日から、東京はオーディトリアム渋谷で
1週間限定のレイトショウの他、全国順次で行われる。
『いとしきエブリデイ』“Everyday”
2011年10月30日付「東京国際映画祭」で紹介した『トリシュ
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10月20日(日)
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