ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459992hit]
■自由と壁とヒップホップ、セッションズ、ザ・イースト、ゆるせない逢いたい、グランド・イリュージョン
た後、本作にも登場するゴミを回収して再利用する活動家ら
と生活を共にし、その中から本作が誕生したとのことだ。
試写は上記の『セッションズ』と2本立てで行われて、続け
て観るとあまりに感動的だった上記の作品に比べてちょっと
作為が強いようにも感じられた。でも単独で観ればそんなこ
ともなくフィクションとして楽しめるものだと思われる。
それにしてもマーリングは、8月紹介作に続けて反体制的な
過激集団を描いた作品だが、彼女自身は脚本の執筆中から状
況が実社会に近づいていることに気がついたそうで、そんな
危機感が本作にも存分に描かれている。
公開は来年1月31日から東京は新宿シネマカリテにて。なお
シネマカリテはFOXサーチライトの常設スクリーンと紹介
されたもので、以後も順次アメリカの良心とも言える秀作群
を公開してくれるのかな。
『ゆるせない、逢いたい』
今年8月の同じ日付で紹介した『スクールガール・コンプレ
ックス−放送部篇−』の吉倉あおいと、『許されざる者』の
柳楽優弥の共演で、かなり社会性のあるテーマを持った青春
ドラマ。
主人公は、大会を目指してトレーニングに励む高校陸上部の
女子マラソンランナー。数年前に父親を交通事故で亡くし、
民事弁護士の母親と共に最近引っ越してきた彼女だったが、
それでも大会出場を目指せる位置にいるようだ。
そんな主人公が、引っ越しの段ボール箱の回収を切っ掛けに
古紙回収業の若者と付き合うようになる。それは多少厳格な
母親には内緒の冒険だった。ところが何度目かの夜のデート
で突然若者が彼女に襲い掛かる。
「デートレイプ」、その被害者になった我が娘を前に母親は
決然と警察へ被害を届け、間もなく若者は逮捕される。しか
し審判を傍聴する母親の前で若者は、初犯であり、反省して
いることを理由に保護観察処分の決定となる。
しかも若者の弁護人は母親に対して被害者と加害者の面会の
機会を求めてくる。それには当然拒否反応を示す母親だった
が。当事者である主人公は心と体の葛藤に苦しんでいた。そ
の末に彼女が出した結論は…
脚本と監督は、本作が商業作品デビューとなる金子純一。す
でに文化庁の育成プロジェクトへの抜擢や、短編作品では映
画祭での受賞歴もあるようだが、かなり微妙な問題を誠実に
捉えて、見事に描き切っている。
共演は、監督の作品は2度目という朝加真由美と、『スクー
ルガール・コンプレックス』にも出ていた新木優子。他に、
ダンカンらが脇を固めている。
少年犯罪の被害者と加害者の対話は海外では一般的に行われ
るようになってきているそうだが、日本では裁判所や法律上
の問題から、直接会うことができない仕組みになっているよ
うだ。
それに対してNPO法人「被害者加害者対話の会」の取り組
みがあり、その取材から本作が誕生している。それは確かに
微妙な問題を含むものだが、本作ではその点に関して被害者
=主人公の結論として見事なドラマを作り上げている。
これは、硬直化した裁判所や法律のあり方にも一石を投じる
作品になりそうだ。
なお、試写会では吉倉あおいの挨拶があったが、本人的にも
かなり納得の行く作品だったようだ。ただ実際の姿はもう少
し大人で、映画で感じた幼さは演技だったのかな。でもそれ
が映画では見事に活かされて、それも見事だった。
公開は11月16日から、東京はヒューマントラストシネマ渋谷
と新宿武蔵野館でロードショウされる。
『グランド・イリュージョン』“Now You See Me”
2010年10月紹介『ソーシャル・ネットワーク』でオスカー候
補のジェシー・アイゼンバーグと、2011年2月紹介『キッズ
・オールライト』で候補のマーク・ラファロの出演で、有り
得ない犯罪に挑むマジシャンと警察の攻防を描いた作品。
主人公は、ストリートでマジックを披露して生活費を稼いで
いる若者。そんな彼に占いカードの招待状が届く。そこには
アパートの部屋番号が記され、そこにたどり着いた若者は、
他に3人、計4人が召集されていたことを知る。
[5]続きを読む
10月06日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る