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On the Production
by 井口健二
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■クロニクル、陽だまりの彼女、ゴースト・エージェント、エリジウム、パッション、今日子と修一の場合、ハウス・オブ・カード、鷹の爪GO
働に耐えている。ところがその彼が作業中に放射線を浴び、
余命5日と診断される。そして彼には、エリジウムの医療装
置に掛かれば全治する病弱の娘を抱える幼馴染が居た。
一方、エリジウムの防衛を管理する女性長官は、地上から不
法に侵入したシャトルを迎撃するが、その手続きはエリジウ
ム政府との確執を生む。しかし侵入したシャトルの搭乗者の
1人は医療装置で劇的な回復をしていた。そしてその事実は
地上の人々に希望の火を灯すが…
共演は、『第9地区』にも出ていたシャールト・コプリー、
2001年『シティ・オブ・ゴッド』や2007年12月紹介『アイ・
アム・レジェンド』などのアリス・ブラガ、2006年6月紹介
『天国の口、終りの楽園』などのディエゴ・ルナ。芸達者な
顔ぶれがしっかりした人間ドラマを描き出している。
エンディングクレジットを見ていたら、concept designerの
欄にシド・ミードの名前があり、これは本物だという感じが
した。映画に登場するスペースコロニーには天井が無いが、
これは恐らくNASAなどの研究成果に基づくものなのだろう。
そんな現実感のある未来世界が展開されている作品だ。
『第9地区』と同様に脚本もブロムカンプが手掛けたものだ
が、解決策などには多少甘い感じはあるものの、これこそが
SFファンの観たいSF映画という感じもする。SFファン
にも、そうでない人にも存分に楽しめるという感じの作品に
なっていた。
少なくとも軌道上に浮かぶスペースコロニーの全容は、過去
の映画には登場していない雄大なもので、これだけでもSF
ファンの心を掴みそうだ。
今夏のSF映画は、スーパーヒーロー物やシリーズの新作が
並ぶ中で、新規の作品はなかなか結果が出せないでいたが、
最後に本格SF映画の大本命が登場してきたと言えそうだ。
『パッション』“Passion”
今秋リメイク版が公開される『キャリー』のオリジナル版の
監督としても知られるブライアン・デ・パルマ脚本・監督に
よる最新作。
登場するのは、ニューヨークに本社を置く世界的な広告代理
店のベルリン支社を統括するブロンドの女性レイチェルと、
彼女と二人三脚で斬新な広告戦略を打ち出している黒髪の女
性イザベル。しかしイザベルは某日本メーカーから受注した
新型スマートフォンの戦略に不満を持ち、助手を使って独自
に新たなPVを制作する。
そのPVはクライアントの評価も高く、プレゼンテーション
は成功となるが、その成果はレイチェルに独り占めされてし
まう。しかもレオチェルはそれを踏み台にニューヨーク本社
への復帰の道を開く。そんな仕打ちを受けたイザベルだが、
彼女自身のレイチェルへの忠誠心は揺らがなかった。ある出
来事が起きるまでは…。
出演は、レイチェル・マクアダムスとノオミ・ラパス。その
脇を2011年10月紹介『ブラディ・パーティ』などのカロリー
ネ・ヘルフルト、昨年1月紹介『シャーロック・ホームズ:
シャドウ・ゲーム』に出ていたポール・アンダースン。因に
マクアダムスとラパスも『シャドウ・ゲーム』の共演者だ。
物語は、2010年に発表されてアラン・コルノー監督の遺作と
なったフランス映画“Crime d'amour”に基づく。しかし主
人公らの年齢設定が異なりコミカルな風刺劇とされるオリジ
ナルに対して、本作の脚本も手掛けたデ・パルマは、それを
見事なサスペンスドラマに改作した。
しかもその作風は、ヒッチコックの再来と言われた1970年代
から80年代のデ・パルマが見事に復活しているものだ。特に
主演の1人にマクアダムスを配した辺りや、ラパスが遭遇す
る駐車場での出来事の演出などは、正しくサスペンス映画の
醍醐味といった感じの作品に仕上げられた。
今年7月に紹介した『サイド・エフェクト』の宣伝コピーで
は「ヒッチコック風」という言葉が使われていたが、そのと
きには何か違和感があった。しかし本作は本物。正にヒッチ
コックを髣髴とさせる映画だ。これにはさすがデ・パルマと
思わされた。
デ・パルマは1940年生まれ、1987年『アンタッチャブル』や
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08月20日(火)
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