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On the Production
by 井口健二
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■悪魔のいけにえ、ウォーム・ボディーズ、ダークスカイズ、ハートの問題、タイム スクープ ハンター、樹海のふたり、歌藝、ジンジャーの朝
た若き工場経営者で賑やかな家族が見舞いに来る。
そんな対称的な2人だったが、退院後に再会してお互いの存
在が重要であることに気づく。そして脚本家は経営者の家族
とも親しくなり、旅行にも同行するようになるが…
物語は多くのイタリアンコメディのように、騒々しくてドタ
バタしているが、その根幹は正しく「ハートの問題」であっ
て、結末には思わず居住まいを正すような人情味に溢れた感
動が待ち受けていた。
主演は、ウディ・アレンの2012年作品『ローマでアモーレ』
に出演のアントニオ・アルバネーゼと、2003年2月紹介『ピ
ノッキオ』などのキム・ロッシ・スチュワート。2人の掛け
合い漫才のような会話も絶妙の作品だ。
監督は、1993年『かぼちゃ大王』などのフランチェスカ・ア
ルキブージ。なお監督は、映画の演出には2人の主演俳優の
提案なども取り入れ、その完成には彼らの力が大きかったと
語っているようだ。本作は2009年の作品。
この他に「VIVA!ITALY」では、2007年1月紹介『幸せのちか
ら』以降はアメリカで活躍しているガブリエレ・ムッチーノ
監督が2001年に発表した『最後のキス』と、2001年『ぼくの
瞳の光』などのジュゼッペ・ピッチョーニ監督が1999年に発
表した『もうひとつの世界』という作品が上映される。
今回は試写スケジュールの都合で1作品しか観られず詳しい
紹介はできないものだが、いずれも本国では多数の賞に輝い
ている秀作のようだ。
イタリア映画の特にコメディには、ハリウッドやフランス映
画とも違う独特の味わいを感じるが、その泣き笑いの感覚は
何となく日本のコメディに通じているようにも思える。従っ
て本作は日本の観客には受け入れ易いと思うのだが。
それが今なかなか理解されないというのは、それを感じる日
本の笑いの文化が変質してしまっているのかな。僕はこの作
品で充分に泣き笑いさせて貰えたが、これを純粋に理解でき
ない人が増えているというのは気になるところだ。
『タイム スクープ ハンター−安土城 最後の1日−』
NHKで今年第5シーズンが放送されているSFシリーズの
映画版。
物語は、タイムマシンが開発された未来から歴史上の出来事
を記録する為に派遣されるジャーナリストが主人公。彼の担
当は史書には残らない庶民の姿を記録することであり、今回
の取材対象は、本能寺の変の後の京都御所で禁裏に避難した
民衆を救護した織田武士の姿だった。
ところがその武士に、本能寺を逃れてきた博多の豪商を警護
して送り返す任務が与えられる。こうして止む終えずその旅
に同行することになった主人公は、織田の居城だった安土城
の焼失という大事件に遭遇することになる。そしてそこには
歴史の陰に隠れた人々の姿があった。
僕が子供の頃にはNHKラジオで、毎年正月に放送される報
道局製作による架空実況中継の特別番組があって、定かには
覚えていないが、確かマラソン競技起源となったマラトンの
戦いの架空実況などを聞いた記憶がある。それは年イチのお
楽しみでもあったものだ。
そんな記憶もあっての親しみも感じる本作のテレビシリーズ
は、多分第2シーズン以降は全話を視聴している。従ってシ
リーズの構成なども知った上で観ている僕としては、レギュ
ラー陣の動きも理解できるし、少しアバウトな作り方なども
納得で楽しめる作品だった。
ただそれが、普段のシリーズを知らない観客にどう映るかは
多少不安にはなるが、テレビ放送より豪華なオープニングや
ゲスト俳優陣には思わずニヤリとした。特に、シリーズでは
モニター上にしか登場しない本部の情景が、いろいろ紹介さ
れるのもファンとしては面白かった。
出演は、要潤、杏のレギュラーに加えて、カンニング竹山、
宇津井健、夏帆らが本部要員。また時任三郎、上島竜兵、嶋
田久作、小島聖らが歴史上の人物として登場する。
脚本と監督は、シリーズを企画から立ち上げ、全作の脚本演
出を手掛ける中尾浩之。1998年のMTVコンテストでグランプ
リを獲得、2000年のカンヌ広告祭で、世界の新人監督8人の
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06月10日(月)
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