ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459996hit]
■オン・ザ・ロード、素敵な相棒、風切羽、シェフ、恋のベビーカー大作戦、ジェリーフィッシュ、オーガストウォーズ、ワイルド・スピード6
の調理に口を出してしまう。しかもそこには彼が信頼する名
シェフが勤める店の先代オーナーが暮らしていた。一方その
名シェフも跡を継いだオーナーとの確執に悩んでいて…
パリの有名レストランの厨房を舞台にした作品では、2007年
6月に『レミーのおいしいレストラン』なども紹介している
が、ミシュランガイド(とは名指ししないが)の星の数が引
き起こす問題は、人情コメディには最適なようだ。
出演は、2009年公開の“Lucky Luke”でビリー・ザ・キッド
を演じたというミカエル・ユーン、そして名シェフ役にジャ
ン・レノ。
他に、2011年3月紹介『黄色い星の子供たち』などのラファ
エル・アゴゲ、2010年12月紹介『ナンネル・モーツァルト/
悲しみの旅路』などのサロメ・ステヴナン、同6月紹介『セ
ラフィーヌの庭』などのセルジュ・ラリヴィエール、2002年
12月紹介『ブラッディ・マロリー』などのジュリアン・ボワ
ッスリエらが脇を固めている。
脚本と監督は、俳優でもあるダニエル・コーエン。舞台では
二人芝居も得意だという監督が、ユーンとレノの2人を中心
に据えて、見事な作品を作り上げている。
因に本作の企画を進めていた当時は、上記の『レミー』以外
には高級レストランを舞台にした作品は少なかったそうで、
本作は「未開拓地」として取材からスタートしたそうだ。し
かし映画が完成時にはブームが到来していたとのことだ。
それにしても、映画には「分子料理」と称する得体の知れな
いものも登場するが、その他は正に高級レストランの厨房を
覗いているような雰囲気。美味しそうな料理のレシピなども
次々に紹介される。
しかもそこには伝統を重んじるあまり硬直化したシェフや、
そのレシピに果敢に挑戦する若手の姿などもあって、素敵な
人間ドラマが描かれていた。
なお今後もこのような形で、見逃した作品を紹介する機会が
ありそうだ。
『恋のベビーカー大作戦』
“La Strategie de la Poussette”
日本未公開の作品をwowowで放送する「W座からの招待状」
が、さらにその上映の場を映画館に広げて放送前に公開する
企画「旅するW座」の第4弾作品。
物語は、自分に自信がないために父親になることに踏み切れ
ない男性が主人公。とあるパーティで一目惚れをした女性と
交際を始めるが、彼女には子供が欲しいと願望があった。こ
のため2人は別離を余儀なくされてしまう。しかし主人公は
彼女への未練を断ち切れない。
そして1年後、主人公の許に突然赤ん坊が降ってくる。そし
て特定の期間、赤ん坊の面倒を見る羽目に陥った主人公は、
その赤ん坊を利用して別れた彼女に育メンをアピールする作
戦に出るが…。
作品は、今年初春にフランスで公開されて40万人の動員を記
録したそうだが、若い男性が赤ん坊の面倒を見る羽目に陥る
という物語は従来からいくつも知られているものだ。しかし
育メンブームと言われる日本ならさらに観客へのアピールも
し易いかな?
出演は、今年6月開催の「フランス映画祭2013」で『黒いス
ーツを着た男』が紹介されるラファエル・ペルソナーズと、
フランスではお天気お姉さんとしても人気の高いシャルロッ
ト・ルポン。他に2010年2月紹介『オーケストラ!』などの
フランソワ・ベルレアンらが脇を固めている。
脚本と監督は、2008年の「フランス映画祭」で『娼婦とニワ
トリ』という作品が紹介されているクレモン・ミッシェルの
作品。
自分自身が子供2人の子育てに協力したと思っている男性と
しては、主人公が育児に興味を持つまでの過程をもう少し詳
しく描いて欲しかった感じもするが、今の状況ではその必要
はないのかな?
まあこれで男性の育児への興味を喚起する程の野望を持った
作品という訳ではないのだろうが。
なお本作は「旅するW座」として、7月5日の名古屋シネマ
スコーレを皮切りに、松山、大阪、佐賀、宮古、浜松で各々
2回ずつ全12回が、金曜夜に無料上映されるとのこと。
残念ながらこの中に東京での上映は予定されていないが、実
[5]続きを読む
05月30日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る