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On the Production
by 井口健二
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■ザ・タワー、愛のあしあと、NY恋人たちの2日間、アート・オブ・ラップ、ギャツビー、コンプライアンス、ごみアート、特別映像(AE,LR,MU)
これはまあ、スヌープ本人のファンには好適な作品で、彼の
楽曲が多数流れるなど音楽ファンにも聴きどころは満載の作
品にはなっているが、そうでない僕にはこんなものかなあと
いう感じの作品だった。
それに対して後者は、こちらも2011年7月紹介『アザー・ガ
イズ』のナレーションを務めるなど、俳優としても知られる
ラッパーのアイスTが初監督に挑んだ作品で、現代アメリカ
のラップ・シーンがアイスTならではの描き方で活写されて
いる。
そしてこの作品には、スヌープ・ドッグを始め、エミネム、
モス・デフ、アイス・キューブ。さらにプロデューサーのド
クター・ドレーなど、総勢47名もの代表的ラッパー及びその
関係者たちが登場して、ラップの魅力や現状について語り尽
くしている。
その中では、ドクター・ドレーが人気ラッパーの誕生の裏話
を語っていたり、さらにアイスT自身が舞台で歌詞を忘れて
しまった時の飛んでもない対処法を語るなど、音楽を知らな
くても興味の尽きない話題が登場するもので、僕は結構ニヤ
ニヤしながら観てしまったものだ。もちろんラップの作詞の
発想法などについても語られている
その一方で、1980年代に活躍した先駆者たちも登場し、その
歴史的な偉業にも目配りするなど、デビュー30周年を迎えた
というアイスTが、ラップへの愛を最大限に表現した作品と
も言えそうだ。そしてその気持ちが観客にも心地よく感じら
れる作品だった。
なお公開は、東京は渋谷シネマライズで7月27日から、2作
同時公開となっている。その他は全国順次公開だそうだ。

『華麗なるギャツビー』“The Great Gatsby”
1974年にロバート・レッドフォードの主演で映画化されたF
・スコット・フィッツジェラルドの原作を、オーストラリア
出身のバズ・ラーマン監督が、レオナルド・ディカプリオを
主演に迎えて3Dでリメイクした作品。
背景は禁酒法下、1922年のアメリカ東海岸。ニューヨークの
摩天楼から少し離れた邸宅街にその館は建っていた。その主
のジェイ・ギャツビーは毎夜その館でパーティを催し、そこ
にはニューヨークのセレブたちが集っていたが…
物語の語り手のニックはその隣家でその喧騒を聞きながら慎
ましく暮らしていた。しかしその彼に館への招待状が届く。
実は彼には資産家に嫁いだ従姉妹がいて、ギャツビーは彼女
に想いを寄せていたのだ。
こうしてニックは、それまで思いも掛けなかったセレブたち
のラヴアフェアへと巻き込まれて行く。
実は1974年の作品は観ていない。共演はミア・ファーロー、
ブルース・ダーンだから観ていてもおかしくはないのだが、
内容はそれなりに知っていたし当時は何となく食指が動かな
かったのだろう。
従って本稿ではオリジナルとの比較はできないが、本作では
正に絢爛豪華なパーティ・シーンなどが3Dで見事に描かれ
ているものだ。
それは舞い散る紙吹雪であったり、温室のように豪華に花の
飾られたニックのリヴィングルームであったりもするが、特
に遠くに浮かぶ緑色のランタンの灯りが、その距離感と共に
ギャツビーの心情を描いていたりもしていた。
共演は、キャリー・マリガン、トビー・マクガイア。マリガ
ンは何時ものように薄幸の女性の姿を見事に演じている。因
にアメリカの映画評で、セットや美術の豪華さが俳優の演技
を消しているというのがあったそうだが、今の時代にそれに
目を眩まされていては批評家失格だろう。
他に2011年11月紹介『アニマル・キングダム』などのジョエ
ル・エルガートン、2011年7月紹介『ランゴ』で声優を務め
たアイラ・フィッシャー、『欲望のバージニア』などのジェ
イスン・クラーク、それにオーストラリア出身で本作に大抜
擢されたエリザベス・デビッキらが脇を固めている。
実は披露試写は2Dで行われ、その際のエンドクレジットに
3D Conversionという項目があって、本作は撮影時から3D
なのに何故だろうと思っていた。しかし再度3Dの試写を観
に行ったら、途中に挿入されたニュースリールが見事に3D

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05月20日(月)
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