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On the Production
by 井口健二
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■箱入り息子の恋、はじまりのみち、殺人の告白、モスダイアリー、オブリビオン(追記)、クソすばらしいこの世界、キス我慢、シャニダール
が2002年に発表した日本未訳の原作小説に基づいている。
出演は、2007年『アレックス・ライダー』などのサラ・ボル
ジャー、今年2月紹介『コズモポリス』と4月紹介『アンチ
ヴァイラル』に出演のサラ・ガドン、2009年11月紹介『Dr.
パルナサスの鏡』などのリリー・コール。さらに昨年4月紹
介『君への誓い』などのスコット・スピードマンらが脇を固
めている。
物語は明らかにヴァンパイアものだが、展開上では主人公の
妄想とも取れるように描かれていて、それは監督自身が好き
な作品に『ローズマリーの赤ちゃん』や『シャイニング』を
挙げているのにも通じるようだ。
しかしそれは一方で中途半端な描き方にも通じてしまうもの
で、特に本作ではそれが若い女性を主人公にしていることで
倍加しているようにも感じられた。勿論それは僕が若い女性
の心理に疎いことにもよるが、その物足りなさがホラーとし
ての興味にも水を差している感じがした。
壁抜けや空中浮遊を描いているのだから、それならもっとヴ
ァンパイアの本質も描いた方が良かったのではないかな?
実際にこれでは日本の観客の中にはヴァンパイアと判らない
人も出てくるのではないかと心配もしてしまうところだ。
ゴシックロマン風の描き方などはかなり楽しめたし、最近の
アクション映画風ヴァンパイアものも食傷気味の中では、久
しぶりに本格風の感じもしていたので、その辺が多少残念な
感じもしてしまった。
『オブリビオン』“Oblivion”(追記)
4月30日付で1度紹介したが、その後に記者会見で質問もで
きたので、今回はその報告も含めて追記をさせてもらう。な
お、以下の記事ではかなりネタバレもありますので、読む人
は注意してください。
前回の記事では物語に気になるところがあると書いたが、試
写を見直した結果はOKだった。ただ、完成披露試写の時に
あったはずのシーンが見直した時にはなかったような気がし
て、その辺はちょっと気になっている。これは公開後に確認
することにしたい。
それで記者会見では、監督に『2001年宇宙の旅』との関連性
について訊いてみた。実はその前に監督は、本作の撮影にフ
ロント・プロジェクション技術を使ったことを話していて、
僕は『2001年』で実施されたその技術が再現されたことにも
興味が湧いていた。
それに対する監督の答えは「『2001年宇宙の旅』は、自分に
とって最も影響を受けた作品だ。今回の撮影でも、グリーン
バックなどの合成は使わず、できるだけカメラの中で映像が
作られるようにした」とのことだ。
また、「『2001年』で使われたフロントプロジェクションは
スチル映像だったが、今回は高精細のヴィデオ映像をプロン
トプロジェクションに採用し、これは21世紀の進化形だ」と
胸を張っていた。
この監督の発言の端々には『2001年』への心酔ぶりもはっき
りと伺えたもので、映画の中には『トップガン』へのオマー
ジュのようなシーンも見られるが、映画の全体は『2001年』
に捧げられたものだという感じは強く受けたものだ。
因に僕が目に留めた『2001年』からの影響と思われるシーン
は、登場する宇宙船の名前がディスカバリーであること、そ
の中では2人のパイロットだけが目覚めていて、他の乗員は
冷凍睡眠状態に置かれていること、さらにその冷凍睡眠カプ
セルの形状など。
また、映画に登場するドローンと呼ばれる無人機の正面デザ
インが『2001年』のワンマンポッドに似ていることや、地上
からビーコンが発射されたという展開。そして極めつけは、
最後に登場するスターチャイルドを思わせる主人公の姿など
だ。他にもいろいろあるが、これらは間違いなく『2001年宇
宙の旅』の要素が描かれていた。
2011年6月紹介『ツリー・オブ・ライフ』も『2001年』を想
起させる作品だったが、1968年の公開から45年を経て、その
影響力は益々大きくなっているようだ。
『クソすばらしいこの世界』
2010年1月紹介『桃まつり−うそ』で「きみをよんでるよ」
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05月10日(金)
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