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On the Production
by 井口健二
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■第191回(Transcendence,The Shining pq,Children of the Lamp,Morgaine,Atlantis: Revelation,True Skin,Shovel Ready,YUKIKAZE)
イリーン・メイゼル主宰のAmber Entertainmentの共同で進
める計画が発表された。
 物語は出版前なので明らかではないが、アトランティスが
実在した世界を背景にしたもので、原作は3部作が計画され
ているとのことだ。因に原作者の情報も発表されていなかっ
たが、某イギリス人作家のペンネームとの情報もあった。
 そしてこの映画化には、2002年9月紹介『ゴスフォード・
パーク』で米アカデミー賞脚本賞を受賞したジュリアン・フ
ラワーズが製作総指揮として参加。まだ執筆は始まっていな
いものの映画化の脚本はフラワーズの指揮下で進められるこ
とになっている。
 この計画も、製作者と脚本の動向以外はほとんど未確定の
状況だが、原作ものであるということではそれなりの安心感
もあるもので、期待は持ちたいものだ。
        *         *
 ここからはそれぞれ単発の計画で、ワーナーで2本のSF
映画の計画が進んでいる。
 1本目は“True Skin”と題されているもので、内容は近
未来を背景にした作品。実は先にスティーヴン・ズロテスク
という監督による短編映画があって、ズロテスクには長編版
の監督も期待されている。因にズロテスクには、2003年放送
のThe Rolling Stonesの特番でグラフィックFXのアーティ
ストを務めた記録があるようだ。
 そして今回の長編版の計画では、さらにタッカー・パース
ンズという脚本家の起用が発表されている。因にパースンズ
は、2月1日付第186回で紹介したブラックリストに、14世
紀のスコットランドの鯨捕りを描いた“Whalemen”という作
品が掲載されていたそうだ。
 2本目は原作もので、NYタイムズ紙の文化面編集者とい
うアダム・スタンバーグによる“Shovel Ready”と題された
小説の映画化を、2011年12月紹介『恋人たちのパレード』な
どの製作者アーウィン・ストフの許で進めることが発表され
た。
 物語は反ユートピアもので、ゴミ収集人から暗殺者にリク
ルートされた主人公が、暗殺のターゲットである若い女性を
保護することになってしまうというもの。因にこの原作は、
昨年8月に出版社に売られているが、まだ出版されたという
情報はないようだ。
        *         *
 そして最後にビッグニュースが飛び込んできた。
 日本SF作家クラブの会員で、第11代会長でもあった神林
長平が1984年から発表している『戦闘妖精・雪風』シリーズ
の実写による映画化がワーナーで進められ、その主演にトム
・クルーズの名前が挙がっているとのことだ。
 原作は1999年と2009年にも続編が発表されているが、実は
1999年はちょうど僕が日本SF大賞の選考委員をしていた時
で、選考会議でかなり議論した記憶がある。
 それで結局受賞は逃すのだが、その理由は神林作品がすで
に1995年に受賞を果たしており、同じ作家に2度目の受賞は
前例がなかったことと、作品がシリーズの途中でまだ完結し
ていないことが主な理由だった。しかしその理由を凌駕する
ハイレヴェルの作品で、選考に苦慮したことを思い出す。
 その作品がハリウッドで映画化されることになったものだ
が、製作者は上記の“Shovel Ready”と同じくアーウィン・
ストフ。ただし脚本や監督などは全く未定となっている。
 因にクルーズの新作“Oblivion”は未来物のSFで、さら
にその後には神林とも関係の深い桜坂洋の原作による“All
You Need Is Kill”(原作の帯には神林が推薦文を書いてい
る)が来年3月に全米公開となっており、クルーズとSFの
関係はしばらく続くことになりそうだ。

04月16日(火)
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