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On the Production
by 井口健二
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■サバイビング・P、カレ・ブラン、探偵ヨンゴン、ノー・ワン・リヴズ、ジャーニー、タイガー、アニメミライ2013、オズはじまりの戦い
プロローグは、森の中を逃げる若い女性の姿。彼女は誘拐拉
致の被害者のようだ。続いて物語は凶悪な窃盗集団の犯行を
描き、その1人が酒場で目を付けたカップルに襲い掛かる。
しかしそれが飛んでもない結果を生むことになる。
と書くと大体話は読めてしまいそうだが、映画はその予想を
上回る強烈さで進行する。何しろ男が滅法強い。それは本来
は犯罪者である人物だが、その男が凶悪な強盗団に向かって
容赦なしの鉄槌を加えて行く。
ここで相手も凶悪な犯罪集団だから、殺されたって自業自得
ということで、観客は男の犯行を良心の呵責なく楽しめると
いう寸法の作品だ。しかもその犯行はあまり残酷でもないか
ら、ある種痛快にも観ていられる。
出演は、2012年9月紹介『推理作家ポー最後の5日間』など
のルーク・エヴァンスと、8月紹介『ヴァンパイア』などの
アデレイド・クレメンス。
他に、TVの『スター・トレック:エンタープライズ』など
のデレク・マジャル、2011年6月紹介『スーパー8』に出て
いたというボウ・ナップ、2009年『トランスフォーマー/リ
ベンジ』などのアメリカ・オリーヴァらが脇を固めている。
なお本作は、昨年12月紹介『サイレント・ハウス』、1月紹
介『ダーク・タイド』などと共に、「渋谷ミッドナイト・マ
ッドネス」の1本として公開されるもので、その中ではもう
1本『エリア52』“Crawlspace”という作品も試写が行わ
れた。
この作品は、突然危機状態が報告されたオーストラリア駐留
の米軍基地を舞台に、そこに突入した特殊部隊が思わぬ敵に
遭遇するというもの。その敵は邦題にも暗示されているもの
だが、映画はちょっと捻りが効かされていた。
出演は、TV『CSI:マイアミ』などのアンバー・クレイ
トンと、昨年5月紹介『アイアン・スカイ』に出ていたとい
うペータ・サージェント。
因にこの作品の原案・脚本・製作・監督・プロダクションデ
ザインを手掛けたジャスティン・ディックスは、『スター・
ウォーズ/エピソード1』から、昨年5月紹介『ラブド・ワ
ンズ』まで関わったという人で、監督は本作がデビュー作。
『ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン』
“Don't Stop Believin': Everyman's Journey”
1973年に活動を開始したアメリカのロックバンドが、新たな
ヴォーカルを迎え入れるまでを描いたドキュメンタリー。
バンドには、元はスティーヴ・ペリーというカリスマと言わ
れたヴォーカリストがいて、絶大な人気を誇っていた。しか
し1998年にペリーが脱退。以後は2人のヴォーカルを迎える
がいずれも短期で脱退してバンドは停滞していた。
そしてバンドは1年間の活動停止を宣言。新たなヴォーカリ
スト探しが行われる。そこでは世界中にごまんとあるジャー
ニーのトリビュートバンドの検索に始まり、徐々に範囲を広
げながら探索が続けられる。
そして、インターネットのYoutubeに映像がアップされてい
た1人のヴォーカリストが発見される。彼の名前はアーネル
・ピネダ。何と彼はフィリピン・マニラに住むスラム街出身
のアジア人だった。
前回紹介の『シュガーマン』も奇跡のような歌手の姿が描か
れていたが、本作のピネダも負けず劣らずだろう。もっとも
Youtubeというとジャスティン・ビーバーもいるから、最早
奇跡とも呼べないのかな。
とは言うものの、長い歴史を持つアメリカの人気ロックバン
ドにアジア人が参加するのだから、その緊張感などは尋常で
はないはずで、映画はその辺も丁寧に伝えてくれている。た
だし本人はずっと試用期間と思っていたようだが。
それでも南米のチリで始まったコンサートは熱狂的に迎えら
れ、全米を回ってついにハリウッドボウルへと辿り着く。そ
こはファンも評論家も最も厳しい評価を下す場所なのだそう
だ。そこに待っていたのは…
これもまた感動的な展開へと映画は進んで行く。それは外部
から見れば当然のことのようにも見えるが、実際にそれを受
け入れるバンドのメムバーや、さらに彼らを取り囲むファン
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02月28日(木)
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