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On the Production
by 井口健二
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■アンタッチャブルズ、キング・オブ・M、ヒステリア、ロイヤル・アフェア、旅立ちの島唄、セデック・バレ、ヒッチコック、恋する歯車
ところがその旅先で、さらに精神の不安定が高じた国王は、
ドイツの新進の医師の治療を受けることになり、医師は国王
との信頼を築いて行く。しかしその医師は、匿名で啓蒙思想
の本も執筆する野心家だった。
こうしてデンマーク王朝に入り込んだ医師は、徐々に国体を
変えて行く策謀を巡らすが…。同時に彼は、孤独を託つ王妃
カロリーネにも近づいて行き、それは大きな落とし穴となっ
てしまう。
時代は絶対王朝時代の末期。各国の民衆の意識も高まる中、
デンマークでは当時最も急進的とされる改革が進められた。
しかしその改革は復古派の反撃に遭いあえなく挫折。だが、
そこにはしっかりとした種も蒔かれていた。
そんな出来事が王妃の赤裸々な回想によって綴られて行く。
出演は2006年11月紹介『007/カジノ・ロワイヤル』など
のマッツ・ミケルセン、先月紹介『アンナ・カレーニナ』に
も出演のアリシア・ヴィカンダー、本作でベルリン国際映画
祭主演男優賞(銀熊賞)受賞のミケル・フォルスガード。
脚本と監督は、2009年10月紹介『ミレニアム/ドラゴン・タ
トゥーの女』(スウェーデン版)の脚本を手掛けたニコライ
・アーセル。なお脚本は、『ミレニアム』でもコンビのラス
マス・ヘイスターバングと共に執筆している。
因に本作は、デンマークの作家Bodil Steensen-Lethによる
“Prinsesse af blodet”という小説の映画化とされている
ものだが、内容的には別の作品による部分が多いそうだ。
『旅立ちの島唄〜十五の春〜』
沖縄本島から東に350kmの太平洋上に浮かぶ南大東島を舞台
にした少女たちの旅立ちの物語。
サトウキビの栽培を主産業とする南大東島には、約1400人の
島民が暮らしている。しかし島には高等学校がなく、中学を
卒業する子供たちが進学するためには15歳の春に島を出なく
てはならない。そのため島の少女民謡グループ・ボロジノ娘
は毎年そのメムバーが入れ替っていた。
そして物語は、そのボロジノ娘のリーダー役が主人公に引き
継がれるところから始まり、そこから1年後の主人公の旅立
ちまでが語られて行く。しかも主人公の母親は、姉の進学時
に島を離れたまま戻ろうとせず、彼女の家は父親との2人暮
らしだった。
もちろんその旅立ちは、新たな夢や希望へ門出でもあるのだ
が、様々な理由で島を出られない者との確執や切ない恋心な
ども描かれる。また映画では、20km離れた北大東島との親善
競技大会の様子や、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)
に揺れる島の経済の実情なども語られる。
さらにクレーンに吊られケージで乗り降りする定期船の様子
や、小型船をそのまま吊り上げて上陸する様子など、話には
聞いていても目の当たりにすることは滅多にない離島の風景
なども描かれていた。
出演は、2009年7月紹介『女の子ものがたり』などの三吉彩
花。本作では三線の演奏や島唄にも挑戦している。また、小
林薫と大竹しのぶが主人公の両親を演じ、さらに昨年11月紹
介『青木ケ原』などの早織、舞台女優の立石凉子らが脇を固
めている。
脚本と監督は、2007年1月紹介『キトキト!』(大竹しのぶ
が母親役を演じていた)などの吉田康弘。監督は昨年9月紹
介『黄金を抱いて翔べ』(監督・井筒和幸)の脚本家でもあ
るが、自身の監督では地方の文化に根ざした作品が得意のよ
うだ。
映画に登場する南大東島は、気候も温暖そうで住みやすそう
な感じだが、屋根の平たい家屋には台風の通り道であること
も理解されるし、何より15歳で島を出なくてはならない現実
というのも重く感じられるところだ。
上映後に宣伝の人に聞いたら、高等学校の無い離島は全国で
200ヶ所もあるのだそうで、そんな現実の厳しさも教えられ
る作品だった。
『セデック・バレ太陽旗』“賽檮·巴萊・太陽旗”
『セデック・バレ虹の橋』“賽檮·巴萊・彩虹橋”
1930年、日本統治下の台湾中部で発生した台湾原住民による
最大規模の抗日暴動事件「霧社事件」の全貌を、2009年9月
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02月05日(火)
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