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On the Production
by 井口健二
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■ムーンライズK、ダイナソーP、世界にひとつの…、マキシマムB、ジョニー・トー、シャドー・ダンサー、ゴースト・フライト、ザ・マスター
それは小さな包みを、ラングレン扮するジャーマンと呼ばれ
る男に届けるだけのもの。しかしそれには大金が掛かってい
るらしい。そして仲間と一緒に運び屋を始めた途端、2人は
強力な敵に遭遇する。
一方、届け先のジャーマンも襲撃を受けており、そこには闇
の組織の主導権争いがあるようだ。そして主人公は、何とか
その包みをジャーマンに届けるべく、強力な敵に立ち向かっ
て行くことになるが…
共演は、2010年『沈黙の復讐』や、同年11月紹介『イップ・
マン/葉問』にも出演のダーレン・シャラヴィ、2011年4月
紹介『エンジェル・ウォーズ』に出演のほか数多くの作品で
女優のスタントダブルを務めるモニカ・グランダートン。
監督は、空手の黒帯を所有し、6月紹介『アメイジング・ス
パイダーマン』などのスタントマンを務めるジェシー・V・
ジョンスン(スタントマンの時はJ・Eと名乗るようだ)。
脚本は、今年ラングレンが主演した“One in the Chamber”
という作品にも参加のデレク・コルスタッド。
お話としては、包みの中身は大体そんなところこかなあ…と
思っていたが、それを届けるまでに主人公を待つ敵が、元特
殊部隊の兵士だったり、いろいろアメリカの現状を反映して
いるようで、アメリカ社会も大変なことになってきたなあ…
という感じだった。
それは兎も角、アクションのオースティンはまだまだ現役だ
が、『ユニソル』ではかなりやばそうな感じだったラングレ
ンが、本作ではしっかりアクションを演じているのは嬉しく
なった。ヴァン・ダムそうだったが、ヨレヨレも演技だった
のかな。
なお本作は、3月末に閉館する東京銀座のアクション映画専
門館シネパトス最後の上映作品の一本として、2月5日から
公開される。
『映画監督ジョニー・トー/香港ノワールに生きて』
“Johnnie Got His Gun!”
今年12月紹介『奪命金』などの香港映画監督ジョニー・トー
の映画制作現場をフランス人のイブ・モンマユー監督が撮影
したドキュメンタリー作品。
画面には、2003年の『PTU』から2011年『奪命金』までの
トー作品が登場し、各作品に出演したサイモン・ヤムやリッ
チー・レン、アンソニー・ウォン、レオン・カーフェイ、ル
イス・クーといった俳優たちが、撮影の舞台裏やセットの様
子などを紹介している。
その一方で、インタヴューを受けるトー監督の姿も随所に挿
入され、表舞台に出たがらない監督自身の映像はかなり貴重
なもののようだ。尤もその姿を撮るためにフランス人の監督
は8年を費やしているのだから、これは彼の粘りを最大限に
評価するべき作品だろう。
そしてそのインタヴューでは、トー監督自身が脚本から湧い
たイメージにぴったりのロケ地が見つかれば、撮影は半ば済
んだも同然と語っているように、その背景へのこだわりが紹
介される。また俳優たちからは、トー映画に何度も登場する
エレベーターの意外な所在や、飛んでもない場所に作られた
ホテルのセットなどが紹介される。
さらにトー監督のインタヴューでは、監督が好んで取り上げ
る香港の裏社会の状況や、俳優と香港警察との意外な繋がり
なども紹介される。特に1997年の香港返還以後の状況の変化
への言及では、映画だけではない香港の現状に対する監督の
思いなども感じられる。
また映画に対する発言では、子供の頃に観た映画の思い出か
らハリウッド映画に対する思いなども語られるが、その中で
1990年以降のアメリカ映画に対する発言は、その頃に始まっ
た中華圏監督のアメリカ進出に対し、香港での映画制作を守
り続けるトー監督の決意も汲み取れそうだ。
作品の中では、過去に観た名シーンの舞台裏が見られるのも
面白いし、観ていない作品でもそのバックステージの雰囲気
は興味深いものだ。また、監督や撮影監督が中国語でインタ
ヴューに答えるのに対して、俳優の多くが英語でいろいろな
説明を行っているのも興味深かった。
それにしても、フランスの作品なのに英語で付けられたこの
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12月30日(日)
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