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On the Production
by 井口健二
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■ファイヤー・ウィズ…、ヒンデンブルグ、テッド、SUSHI GIRL、VANISHING POINT、さまよう獣、ディラン・ドック、ナンバーテン・ブルース
2008年12月に紹介したブリタニー・マーフィ主演『ラーメン
ガール』なんて作品もあるから、これは同様の少女が寿司修
行をする話かと思いきや…。ハミルの役柄も含めて何と言う
か、これは飛んでもない作品だった。
ハミル以外の出演は、2011年9月紹介『ファイナル・デッド
ブリッジ』などのトニー・トッド、1984年『ネバーエンディ
ング・ストーリー』のアトレイユ役で人気のあったノア・ハ
サウェイ、2001年『ドニー・ダーコ』などのジェイムズ・デ
ュヴォール。
他に、2008年4月紹介『シューテム・アップ』などのアンデ
ィ・マッケンジー、2010年4月紹介『アリス・イン・ワンダ
ーランド』に出演のコートニー・パーム。さらにマイクル・
ビーン、千葉真一、2010年『マチューテ』などのダニー・ト
レホらが脇を固めている。
脚本と監督は、ジョージ・A・ロメロ監督主催の短編ゾンビ
映画コンテストで、応募3000本の中から優秀作に選ばれたと
いうカーン・サクストン。他にも短編映画の受賞歴を重ねる
俊英の長編デビュー作のようだ。

『VANISHING POINT』
2000年に解散したブランキー・ジェット・シティという日本
のロックバンドのファイナルツアーを記録したドキュメンタ
リー作品。
僕は音楽も詳しくはないので、博多出身というこのバンドの
名前も知らなかった。資料を見るとテレビの「イカ天」から
出てきたとのことで、その番組は観ていた時期もあったが、
途中で観るのをやめてしまっており、このバンドはそれ以降
の出場なのかな。
いずれにしても、そのバンドの13年前の解散ツアーの模様が
描かれているものだ。それはすでに解散が発表されているの
だから、メムバーの間には意見の相違などもある訳で、その
中で共同作業を続けて行くというのがどういうことか、作品
はそんなことも含めた彼らの葛藤も映し出していた。
因に監督は、当初はファイナルコンサートのDVDを作成す
るために参加したようだが、以前からバンドとの付き合いが
あった監督は彼らの最後を見届けたいという思いで、それ以
前のツアーから記録を始めることにする。それは1台のヴィ
デオカメラを自ら担いで撮影しているものだ。
それでファイナルコンサートのDVDは当時発売されたよう
だが、撮影されたドキュメントはそのまま陽の目を見ること
はなかった。その理由は明らかではないが、その映像が13年
も経って公開される。なおバンドは今でも根強い人気がある
ようで、これはそのファンには最高のプレゼントだ。
特に日を追って変化して行く楽屋の雰囲気などは、成程こう
いうものなのかと、第三者が見ても興味の湧くものだし、こ
れはファンにはいろいろな意味で堪らない映像と言えるもの
かもしれない。そんな彼らの葛藤が見事に映し出されている
作品でもある。
それにしても、ここで映し出される楽屋やライヴの映像のク
リアさには驚かされた。これは途中のハイライトが映り込む
シーンで音声にノイズが入ることから、もしかすると家庭用
のヴィデオカメラで撮影されているかもしてないが、それが
HDの画面に見事にアップコンヴァージョンされている。
それに対してファイナルコンサートのシーンは、ここはプロ
機材で撮影されているはずだが、その画質がかなり劣ってい
るのは気になった。もしかするとここはDVDしか残ってい
なかったのかな。それならヴィデオとDVDの実力の差も見
えているのかもしれない。
とは言え、そこまでのドキュメンタリーの部分はかなり面白
く、部外者にも興味深いものになっていた。ただ監督の思い
入れたっぷりの字幕は、部外者としてはいささか気分を削が
れたもので、出来ることなら字幕抜きのヴァージョンでも観
たくなったものだ。

『さまよう獣』
2010年に製作費110万円で完成した『ふゆの獣』という作品
が第11回東京フィルメックスで最優秀作品賞を受賞している
内田伸輝監督による初の商業作品。
物語は、田舎道を走る乗合バスの車中から始まる。その車中
で持参の握り飯を食べる老婆の耳に、後部座席の女性から腹

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11月25日(日)
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