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On the Production
by 井口健二
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■第25回東京国際映画祭+臨時ニュース
1988年、ピノチェトによるチリの軍事独裁政権を国民投票に
より打倒した宣伝マンの姿を描いた作品。国民投票は国連の
主導で行われたが、反対派が過半数の国民は投票の公正性を
信じられず、75%が棄権を表明している。そんな状況下で見
事に国民の意識を高揚させ、政権打倒に導く宣伝戦略が展開
される。作品には当時の映像も駆使され、その映像の中に主
人公たちの姿が描かれる。なお、当時の映像の中にクリスト
ファー・リーヴの姿が見られるのも貴重だった。
『メイジーの知ったこと』“What Maisie Knew”
ミュージシャンの母親と実業家の父親の間に挟まれた少女の
物語。両親は喧嘩が絶えず遂に離婚となってしまうが、母親
はツアーで忙しく、父親も海外出張が続く。そこに実は父親
の愛人だった元のナニーと母親の新しい恋人が登場して…。
如何にもアメリカにありそうだが、他所から見ると常識外れ
な家庭が描かれる。それをまた上手く纏めるのがハリウッド
映画という感じの作品だ。出演者にも錚錚たる顔ぶれが揃っ
ていた。
* *
という以上15本のコンペティション作品だが、今年も僕は
事前試写の案内を貰えず、鑑賞は会期中となった。しかも、
今年は3D作品などの関係もあって、いわゆるマスコミ向け
の専用上映だけでは全作を鑑賞することが困難となった。し
かし一応は映画祭の顔であるコンペ作品だけは何とかしよう
と思い、かなりの無理をして制覇したものだ。
ただ、今年は紹介文にもある通りかなり不快な作品もあっ
て最初はメゲかけたりもしたが、何とか最後まで頑張れたも
のだ。なお紹介文は鑑賞順に掲載している。
それで映画祭の受賞は、
東京 サクラ グランプリ 『もうひとりの息子』
審査員特別賞 『未熟な犯罪者』
監督賞 ロレーヌ・レヴィ『もうひとりの息子』
女優賞 ネスリハン・アタギュル『天と地の間のどこか』
男優賞 ソ・ヨンジュ『未熟な犯罪者』
芸術貢献賞 『テセウスの船』
観客賞 『フラッシュバックメモリーズ 3D』
となったが、今年は概ね納得という感じの選出だった。
特にグランプリと監督賞の受賞は全く文句がない。ただ、
観客賞は如何にも俗受けを狙ったという感じの作品で、それ
が観客賞というのも納得できる結果だった。
なお、コンペ以外の13作品については後日改めて紹介する
予定です。
* *
その前に今回は臨時ニュースをひとつ。
俄には信じられない情報で、“Star Wars: Episode VII”
の2015年公開と、それに続く2作品の制作が発表された。
これは10月30日付でディズニー本社が発表したもので、同
社が40億5000万ドルを投じてジョージ・ルーカスが個人所有
するルーカスフィルムの買収に合意したもの。それに伴い同
社は『スター・ウォーズ』『インディ・ジョーンズ』などの
シリーズの全権利を獲得し、その権利に基づいて上記の公開
・制作を公式に発表したものだ。
元々『スター・ウォーズ』の全貌に関しては、3部作×3
で全9部作になるという情報が何度も紹介されていたものだ
が、1999年の『ファントム・メナス』公開の折にルーカスは
「そのような計画はない」と断言してしまっていた。これに
対して僕らは大きな失望感を味わったものだ。しかし今回の
発表で、その経緯がどうであれ、ついに長年の夢が叶うこと
になりそうだ。
なお詳細については未発表なので、これからも情報に目を
光らせていくことにしたい。
(この項は10月31日に更新しました)
10月28日(日)
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