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On the Production
by 井口健二
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■もうひとりのシェイクスピア、マリーゴールド・ホテル、009、フリーランサー、みせものやさん、阿賀に生きる、96時間リベンジ、PA4
ください。

『フリーランサーNY捜査線』“Freelancers”
ラッパーの50¢ことカーティス・ジャクスン主演、ロバー
ト・デ・ニーロ、フォレスト・ウィティカー共演によるNY
PDの警察官を描いた作品。
映画のプロローグは、幼い黒人の子供が車の中から暴行を受
ける人の姿を目撃しているシーン。その後には3人の若者が
逮捕され、裁判で有罪になるシーンが続く。ところが彼らは
検察官の温情で警察学校に入学が認められ、やがて卒業して
NYPDの警官となる。
そして警察バッジをもらった主人公らが、下町の分署に配属
され、歓迎パーティが開かれているところから物語は開幕す
る。そのパーティ会場には今は亡き主人公の父親の相棒だっ
たという刑事も来ており、テーブルに呼ばれた主人公は、父
親も加わっていたという組織に勧誘される。
その組織とは、刑事を頂点とする悪のピラミッドで、彼らは
押収された金や麻薬をくすねて多大な資金を作り、その影響
力は市長にも及ぶという。そして主人公の父親はかつてその
組織の中心だったというのだ。こうして悪の道に踏み込んだ
主人公は、徐々に父親の死の真相に近づいて行くが…
共演は、2008年8月紹介『かけひきは、恋のはじまり』など
のマルコム・グッドウィン、2010年8月紹介『食べて、祈っ
て、恋をして』などのライアン・オナン。他に、キューバ出
身モデルのアナベル・アコスタ、2010年12月紹介『トロン:
レガシー』などのボー・ガレットらが脇を固めている。
監督はジェシー・テレロ。ニューヨーク生れだが両親はドミ
ニカ出身で、ヒップホップ系のヴィデオアーチストとして、
50¢のヴィデオクリップなども手掛けているようだ。そし
て本作の製作も務めるジャクスンとは、すでに2010年にも長
編作品を発表している。
NYPDに巣食う悪の組織というのは、今までに何度も映画
で観てきたように思うが、本作でもその組織を巡る人間ドラ
マが巧みに描かれる。それにしても、これだけ執拗に描かれ
るというのは、やはりそれだけの実態があるということなの
かな。だとすればかなり恐ろしい話だ。
という作品だが、映画はジャクスン、デ・ニーロ、ウィティ
カーのまさに演技合戦という感じで、特にデ・ニーロの悪徳
刑事ぶりは、それこそ極め付きという感じのものになってい
る。それを楽しむ作品だ。

『ニッポンの、みせものやさん』
神社の祭礼や縁日などに出店する見世物小屋を、新人監督の
奥谷洋一郎が追ったドキュメンタリー。。
日本の見世物小屋の歴史は室町時代に始まると言われている
が、江戸後期には全国に300軒近くもあった小屋は、1950年
代には48軒、80年代には7件と減少し、90年代には4軒、そ
して2000年以降は、本作に登場する大寅興行社という1社の
みが興行を続けているそうだ。
本作の監督は2000年頃に、新宿花園神社で小屋掛けしていた
大寅興行社と出会い、交流を深め以来10年を費やして本作を
完成させている。
そのナレーションの口調からは、監督にそれ以前の見世物小
屋の体験はないようだが、そんな新鮮な目が見世物小屋の現
状をつぶさに記録しているものだ。
その中では、座長の女性が華やかだった昔話を語ったり、ま
た以前は覇権を競ったが、現在は廃業した一座の座長(こち
らも女性)が、小屋の入口で行っていた独特の口上を演じて
見せるシーンなども登場する。
そして現在の大寅興行社が行っている見世物の一部も撮影さ
れており、その中にはかなりグロテスクなものや迫力のもの
もあって、昔ながらの演目が連綿と行われている様子も紹介
されている。それは古臭くもあるが、それがまた良さでもあ
りそうだ。
先日テレビで、江戸時代の見世物小屋の話をやっていて、そ
こでは「おおいたち」というのが、大きな板に血が付いてい
るだけという、駄洒落のような演目も紹介されていたが、僕
自身の体験でも、昔地元の七夕祭りに来ていた見世物小屋に
は、結構その類のものがあったものだ。
中で印象に残っているのは、アルビノの男性が西洋人と称し

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10月21日(日)
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