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On the Production
by 井口健二
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■B・レガシー、フタバから遠く…、ビラルの世界、情熱のピアニズム、リヴィッド、恋と映画とウッディ・アレン、UVERworld、中国映画の全貌
結局はジャズを選び、14歳のときには地元で評判の即興演奏
家となって行く。その頃にはアメリカ人ジャズマンとの共演
も果たしている。
さらにその3年後には、パリでレコード製作を開始。1981年
から85年までの間に5枚のアルバムを録音。また81年にはパ
リ・ジャズフェスで演奏して、またたく間にスターの座を獲
得する。しかし彼はヨーロッパに飽きたらず、18歳でアメリ
カに渡り、さらに高みを目指して行くが。
作品は、かなり初期の頃から残されている映像や、さらに素
晴らしい録音に彩られて、ジャズと、女にも生きた彼の生涯
が綴られて行く。それは音楽映画として聞くにも充分な作品
になっている。
監督は、1994年『イル・ポスティーノ』などのマイクル・ラ
ザフォード。元々はドキュメンタリー出身の監督が、関係者
へのインタヴューなども織り込みながら、身長1mのピアニ
ストの生涯を見事に描き出している。
『リヴィッド』“Livide”
今年6月に開催された「フランス映画祭2012」での上映作品
中、唯一紹介できなかった作品。今回はその作品を、9月の
一般公開に向けてのマスコミ試写で観ることができた。
主人公は看護士の資格を持つ若い女性。彼女は研修のために
とある湊町に到着し、年配の女看護士が行う在宅老人の投薬
など介護に同行する。しかしその待ち合わせのバス停には、
多数の行方不明の子供を捜す張り紙があった。
そして主人公らが向かった3軒目は森に包まれた大邸宅。そ
こで輸血のみで生きながらえる老女は植物状態だが、老女の
遺言と財産によってその状態が保たれていた。そしてその邸
宅には、財宝が隠されているとの噂もあった。
一方、主人公は実はその湊町の出身で、恋人と再会した彼女
はその財宝の話をする。そしてその情報は恋人を一獲千金の
夢に駆り立て、恋人の弟も加えた3人は深夜の邸宅に忍び込
むが…。そこには世にも怪奇な出来事が待ち構えていた。
映画の途中には、年配の女看護士が拉致した少女を処理する
シーンなども挿入され、それは邸宅の秘密に繋がっているよ
うなのだが、その辺の説明が今いちピンとこない。その邸宅
の主にはそれなりの理由もあるようなのだが。
でもまあそれはそれとして、最後にはかなりシュールな展開
もあって、何というかニヤリとするお話が展開されていた。
脚本と監督は、2007年『屋敷女』のアレクサンドル・パステ
ィロ&ジュリアン・モーリー。前作が海外で評判を得た2人
組には、『ハロウィン』『ヘルレイザー』などの新作も依頼
されたがいずれも頓挫し、制約の少ないフランスに戻って本
作を完成させたものだ。
出演は、2011年1月紹介『ゲンスブールと女たち』に出てい
たというクロエ・クールー。1991年生まれの新星がヒロイン
を務める。
他にセザール賞受賞者のカトリーヌ・ジャコブ、マルセイユ
国立バレエの芸術監督も務めたマリ=クロード・ピエトラガ
ラ、本作でスカウトされた撮影当時14歳のクロエ・マルク。
さらにフェリックス・モアティ、ジェレミー・カポーヌ、そ
して『屋敷女』のベアトリス・ダルらが脇を固めている。
『サスペリア』を想起させるバレエとホラーの組み合わせな
どダリオ・アルジェントへの傾倒も見られ、ユーロホラーの
新たな担い手となる意欲も満々な作品のようだ。
『恋と映画とウッディ・アレン』
“Woody Allen: A Documentary”
1965年『何かいいことないか子猫チャン』の脚本・出演から
2011年『ミッドナイト・イン・パリ』まで、45年に亙るアレ
ンの映画人生と、それ以前のギャグライターやスタンダップ
・コメディアンに遡るアレンの半生を、アレン自身への密着
取材や初めて紹介される撮影風景なども含めて描いたPBS
制作のドキュメンタリー。
僕自身のアレン体験は、『何かいいことないか子猫チャン』
は観ているが当時は意識していなかった。しかし、1973年の
『スリーパー』の公開の時は、アメリカで話題のウッディ・
アレンの作品として意識して試写会に駆けつけたものだ。
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08月12日(日)
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