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On the Production
by 井口健二
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■莫逆家族、アシュラ、籠釣瓶、恋に至る病、リンカーン/秘密の書、キック・オーバー、デンジャラス・ラン、トータル・リコール+Hobbit
けの映画として、これは多少無理があるとも感じられた。
実際にマドカが股間を抑えて驚愕するシーンには、別のこと
も想像してしまった。これが後半までの隠し技としても、も
う少し何かの工夫は必要だったのではないかな。そこが映画
監督としての腕の見せ所のようにも感じたものだ。
それにエンとマルの描き方があまりにステレオタイプなのも
気になるところで、これではこの2人の登場の意味がない。
どうせならツブラとエン、マドカとマルの関係も描いて、順
番に巡って万事収まるような展開もあると思えたが。
出演は、今年4月紹介『苦役列車』など出演の我妻三輪子、
2007年8月紹介『サッド・ヴァケイション』など青山真治監
督作品に常連の斉藤陽一郎、2009年7月紹介『悪夢のエレベ
ーター』などの佐津川愛美、2012年『ヒミズ』でヴェネツィ
ア映画祭主演賞受賞の染谷将太。なかなか気になる顔ぶれが
揃ったものだ。

『リンカーン/秘密の書』
          “Abraham Lincoln: Vampire Hunter”
今年5月紹介『ダーク・シャドウ』の脚本を担当したセス・
グレアム=スミスが原案と脚本、製作総指揮も務めたアクシ
ョン・ファンタシー。因にグレアム=スミスは、2009年発表
の“Pride and Prejudice and Zombies”も評判の作家だ。
物語の始りはリンカーンの幼少時代。奴隷を巡る争いで返り
討ちに遭い、その後に最愛の母親が謎の死を遂げる。しかし
その死がある人物に関わると知るリンカーンは復讐を誓い、
やがてその時が訪れる。
ところがその人物は不思議な力に守られ、何度倒しても起き
上がってきた。その急場を救ったのはヘンリーと名告る男。
そのヘンリーは、戦いの相手がヴァンパイアであることを教
える。そしてヘンリーの許でヴァンパイアハンターの訓練を
積んだリンカーンは、遂に母親の復讐を遂げるが、そこには
さらなる強大な敵が待ち構えていた。
奴隷制度が実はヴァンパイアに血を供給するための手段であ
り、南北戦争がその供給を絶つための戦いであった…という
かなり奇想天外な発想に基づく作品。しかもゲティスバーグ
の戦いが、いかに重要であったかが語られる。
そんなアメリカの歴史の闇が描かれた作品だが、映画の見所
は様々なアクションで、特に刃が銀でコーティングされた斧
をハンティングの武器とするリンカーンが華麗に斧を振り回
すシーンや、後半ではさらなるアクションが展開される。
これならアメリカの歴史を知らない日本人にも、充分に楽し
んでもらえる作品だ。
出演は、2005年5月に紹介した『愛についてのキンゼイ・リ
ポート』がデビュー作というベンジャミン・ウォーカー。他
に2011年11月紹介『デビルス・ダブル』などのドミニク・ク
ーパー、2012年公開『遊星からの物体X』などのメアリー・
エリザベス・ウィンステッド。
さらには2008年『ハートロッカー』などのアンソニー・マッ
キー、2010年『ツーリスト』などのルーカス・シーウェル、
2011年7月紹介『マーガレットと素敵な何か』などのマート
ン・ソーカス、スーパーモデルのエリン・ワッソンらが脇を
固めている。
製作はティム・バートン、監督は2008年『ウォンテッド』な
どのティムール・ベクマンベトフが担当した。
先月『声をかくす人』を紹介したところで、本作はちょうど
その始まりの辺りで終わるものだ。どうせなら暗殺事件との
関わりも描いて欲しかった感じもしたが、それはもっと大き
なタブーなのかな。

『キック・オーバー』“Get the Gringo”
1995年『ブレイブハート』でオスカー監督賞に輝いたメル・
ギブスンが俳優に専念し、メキシコの悪名高い刑務所を舞台
に描いたアクション作品。
主人公は、やばい金らしい大金を持ってパトカーに追われな
がら国境を突破、メキシコに逃亡したアメリカ人の男。しか
しメキシコの悪徳警官に捕まり、金は奪われ、自身は悪名高
きエル・プエブリート刑務所に放り込まれる。
その刑務所は、本来は外部との接触を許容することで犯罪者

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08月05日(日)
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