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On the Production
by 井口健二
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■WIN WIN、よだかのほし、演劇1/演劇2、旅の贈りもの2、放課後ミッドナイターズ、東京スカイツリー、ウェイ・バック+特撮博物館
本は2006年の前作も手掛けた篠原高史と前田監督が執筆して
いる。前作同様、ファンタスティックと言える作品ではない
が、メルヘンな感じの物語にはなっていた。
それと今回もJR西日本の協力による車両の登場は鉄道マニ
アには垂涎のもので、特にサンダーバードではない特急雷鳥
が、JNRのロゴをつけて走ってきたシーンには思わず声が
出てしまった。
まあ前作同様のセンチメンタルなお話だが、鉄道ファンの目
も楽しませてくれるし、全体としてちょっと仕掛けがあるの
も楽しめる作品だった。
『放課後ミッドナイターズ』
1992年製作の『BANANA』が同年の広島国際アニメーションフ
ェスティバルで審査員特別賞を受賞し、同作はニューヨーク
MOMAのコレクションにも加えられているという竹清仁監督に
よる長編デビュー作。
名門小学校の放課後を舞台に、学校怪談の代表ともいえる走
り回る人体模型や、骨格標本が活躍するギャグアニメーショ
ン。因に本作には2008年の文化庁推薦を受けたオリジナル短
編があり、こちらはフランスCanal+が買い付けたそうだ。
そして本作は、長編デビュー作には異例の、日本、香港、シ
ンガポール、台湾、韓国での同時公開が決まっている。つま
り、それだけの注目作ということだ。
物語は人体模型のキュンストレーキと骨格標本のゴスが主人
公。2人は長年、子供たちを脅かしては、危ない理科室に勝
手に近づかないようにしていた。しかしそんな努力の甲斐も
なく身体は悪戯書きでぼろぼろだ。
しかも2人に一大事が到来する。理科室のある旧校舎の取り
壊しが決まり、2人も理科室と共に廃棄処分になってしまう
のだ。それを阻止するべく2人はある作戦に打って出る。折
しもその日は学校見学会、訪れた3人の幼稚園児に目を付け
た2人は…
基本的にギャグアニメは、ギャグの感性が合わないと悲惨な
思いになる。
しかし本作は、学校の怪談がベースのギャグも秀逸で、そこ
からの展開も上手く、さらに結末が見事に決まっていて、こ
れは文句の付けようのない作品だった。さすがに世間の評価
は狂いがなかったというところだ。
因に脚本は竹清監督と、『海猿』などの原作者で、内閣総理
大臣表彰となる海洋立国推進功労者表彰を受けている小森陽
一。声優は山寺宏一、田口浩正。その他に谷育子、茶風林ら
ベテランが脇を固めている。
アニメーションは日本の文化と言われて久しいが、オタク文
化の象徴のようでもあったアニメーションから一歩踏み出し
た新たな方向性のある作品。この夏これは見逃すことができ
ない作品だ。
『東京スカイツリー・世界一のひみつ』
今年5月に開業した世界一の電波塔の建設に関るドキュメン
タリー。
作品では「東京の守りバト」と自称する2羽の鳩を語り手と
して、彼らが鳥の領分に侵入したと主張する高層建造物の建
設に関るいろいろな謎が解明される。と言っても作品は、あ
くまでもお子様向けで説明も平易なのだが、これが意外と奥
深いものになっていた。
その内容は、スカイツリーの全体の形状に始まって、なぜ鉄
骨が円筒形なのかなど。それは今まで観ていたものが全く別
の側面を見せるものでもあって、その事実自体にも驚かされ
たが、それがまた子供にも判るように解説されていることに
も感心した。
さらにはゲイン塔と呼ばれるアンテナ部分の建設に関る技術
やそこで起きる様々な想定外の出来事。しかもクライマック
スでは2011年3月11日までやってくる。そのタイミングにも
驚かされる。
そして、高さが634mに達した日にその頂上に飛来した1羽の
鳩。その存在が本作の物語の全体を形成したと思われるが、
合成ではないその姿にちょっと神秘的なものも感じてしまう
光景も描き出される。
その一方で基礎工事に採用された特殊な構造や工事用機材の
数々。その運用の様子なども手際よく解説される。それらが
子供が観ていられる限界とも言える60分の上映時間の中で、
実に見事に描かれていた。
監督はNHK所属の野上純一、脚本は2008年1月紹介『死神
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07月15日(日)
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