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On the Production
by 井口健二
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■聴こえてるふり、夏の祈り、ハンガーゲーム、東野圭吾“笑”、コッホ先生、強奪のトライアングル、プロメテウス、空飛ぶペンギン
主人公は今までに一度もモテたことがないという男性。しか
しどうしても好きな女性が現れ、モテたい一心のネットの検
索で怪しげな研究所に辿り着く。そして研究所の博士からモ
テるようになるスプレーを受け取るが…
出演は濱田岳、倉科カナ、津川雅彦。博士が『BTTF』のドク
そっくりなのは笑えたが、全体的には常識通りかな。後半に
は何かもう少し別の捻りが欲しかった感じだ。でも一般の観
客にはこれでも良いのかも。
第2笑「あるジーサンに線香を」
老人が掛り付けの医師から医療実験への協力を求められる。
それは特殊な手術による若返りの医療だった。その実験には
高額の報酬もあり、手術を受けた老人は見る見る若返り始め
る。そして医師からは日記を付けるように言われ…
出演は笹野高史、菅田将暉、AKB 48の宮澤佐江。他にムロツ
ヨシ、有森也実らが共演。題名から判るように『アルジャー
ノンに花束を』のパロディと言っていいのかな。これもテー
マを除けば常識的な展開で、それは観客には安心して観てい
られる作品だ。
第3笑「誘拐電話網」
夫婦で蕎麦屋を営む家に、突然「子供を誘拐したから、身代
金1000万円を払え」という電話が架かってくる。しかし夫婦
には子供はなく悪戯電話かと思った主人公に「電話は無作為
に架けた。子供が死ねばそれはお前たちのせいだ」と告げら
れる。
出演は三上博史、ミムラ。他に鷲尾真知子、石丸謙二郎らが
共演している。発端は『キングの身代金』だが、そこからの
展開はなかなか面白かった。特にクライマックスは良いし、
結末も笑えた。テーマがSFでない分、僕も気楽だったとも
言える。
脚本は、3作とも『世にも奇妙な物語』などのふじきみつ彦
が担当し、監督は、いずれもCM出身の水落豊、石井聡一、
それにCM出身で2011年2月紹介『高校デビュー』などの英
勉が担当した。
全体は脚本家も参加している『世にも奇妙な…』の乗りで、
それぞれの上映時間も23分程度なので気楽に観たい作品だろ
う。まあ正直なところはもう少し捻りや、深みも欲しいとこ
ろだが、今回の作品のコンセプトはそこにあるものではない
し、これはこれで充分だ。

『コッホ先生と僕らの革命』“Der ganz große Traum”
ワールドカップ3回優勝の強豪国ドイツにおけるサッカーの
創始者とされるコンラート・コッホの姿を描いた作品。
1874年、帝政ドイツの古都ブラウンシュヴァイクの名門カタ
リネウム校に1人の教師が赴任する。その学校は、帝政ドイ
ツの当時の風潮を色濃く反映し、生徒は教師に全く服従の世
界だった。
そんな中でイギリス帰りの教師は、自由な風を生徒の間に吹
き込もうとしていたが、生徒の中にも親に絶対服従の態度を
示す者もいた。それでも比較的に進歩的な校長の許、生徒の
意識改革を試みた教師は…
当時の帝政ドイツは、フランスとの戦いに勝利して軍事色が
強く、学校の体育授業は行進や器械体操など軍事教練的なも
のが中心だった。一方、次の敵はイギリスとの世論もあり、
そのためイギリス発祥のサッカーなどは嫌われるスポーツの
筆頭だったようだ。
そんな中でイギリス帰りの教師がサッカーを教え、仲間の大
切さやフェアプレーの精神を説いて行く。それ自体が危険を
伴う困難なものであったことは間違いない。そして教師と生
徒はその困難に立ち向かって行くことになる。
因に、実際のコンラート・コッホはイギリス帰りではなく、
軍医だった義理の父親を通じてサッカーを知り、体育教師の
協力も得て球技の普及に務めたようだ。しかし映画はコッホ
の教育方針などを明確にするため脚色されているものだ。
でもまあ、本作はドイツ映画であるから、帝政ドイツ当時の
風潮などは本作に描かれた通りであったのだろうし、そんな
中でサッカーを普及させた功績は充分に称えられるべきもの
と言える。
主演は、2005年3月紹介『ラヴェンダーの咲く庭で』などの
ダニエル・ブリュール。他に2010年9月紹介『白いリボン』
などのブルクハルト・クラウスナー、2005年5月紹介『ヒト

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07月08日(日)
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