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On the Production
by 井口健二
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■ユナイテッド、Green Days、ウォーキングデッド2、籠の中の乙女、アイアンガール、足立正生、スノーホワイト、アベンジャーズ+Mad Max
そこには映画のヴィデオなども持ち込まれるのだが、例えば
「ゾンビ」は「黄色い花」と言い換えられるなど、姉妹弟に
は外部の俗悪なものは排除されるように監督されている。そ
して姉妹弟には、犬歯が抜けたら家を出られると教えられて
いたが…
現代に生きる親たちが子供を不浄な世間から隔離したいとい
う気持ちを持つのは、自分も子育てをした親として理解でき
る。そんな人間の心の隙を突いた作品というところだろう。
それをファンタシーにせずにリアルに描き切った作品とも言
える。
脚本と監督は、1973年ギリシャ・アテネ生まれのヨルゴス・
ランティモス。長編の監督は3本目のようだが、2004年アテ
ネ・オリンピック開会式/閉会式の演出にも関ったそうだ。
そして昨年製作された新作“Alpeis”ではヴェネッツア映画
祭の脚本賞を受賞している。
因に監督は、本作のアイデアを「未来の家庭」について考え
ていたときに思いついたのだそうで、映画の中には多少その
ような雰囲気も感じられた気もする。ただしこの情報は映画
を見た後で知ったので定かではないが。
出演はいずれもギリシャの舞台出身で、監督の新作にも出演
しているアンゲリキ・パプーリァ、パンクバンドのボーカル
でもあるというマリア・ツォニ、自ら舞台演出も手掛けると
いうクリトス・パサリス。
他に、2006年12月紹介『パパにさよならできるまで』の演技
で映画祭の最優秀男優賞を受賞しているクリストス・ステル
ギオグルと、スイス出身のミシェル・ヴァレイ、監督の舞台
などに出演のアンア・カレジドゥらが脇を固めている。
かなり過激な内容で、嫌悪感を催す人もいるかも知れない。
が、僕が過去に見てきたその種の作品の中では最も納得して
観られた作品と言える。それは僕自身の気分的なものもある
かも知れないが。

『アイアン・ガール』
AV女優がアクション映画に挑戦したことでも話題になって
いるポスト・アポカリプス風の作品。
物語の背景は未来とも過去ともつかない終末世界。とある草
叢で1人の若い女性が3人の男に拉致されそうになったとこ
ろを、特異な衣装を身に纏った女戦士に救出される。そして
女性は女戦士を仲間たちの暮らす場所に連れて行く。
その場所では1人の老人によって率いられた数人の若い男女
が暮らしていたが、彼らの生活は辺りに徘徊する暴力集団に
よって脅かされていた。そこでグループの若者たちは女戦士
に戦い方の教えを請うが…
お話は極めて定番の善対悪の戦いを描くもので、そこに女戦
士の出自の謎などが絡むが、それもまた定番という感じのも
のだ。ただしワイアーなども使ったアクションはそれなりの
ものになっており、そこは主演女優もかなり頑張っていたよ
うだ。
主演はAV女優の明日花キララ。本作が上映されたカンヌ映
画祭の紹介記事ではヌード封印とされていたが、サーヴィス
ショットはあったようだ。共演は2010年8月紹介『ゴスロリ
処刑人』などの秋山莉奈、2011年2月紹介『ナナとカオル』
などの栩原楽人。
他に2008年4月紹介『ハブと拳骨』などの虎牙光輝、2008年
『炎神戦隊ゴーオンジャー』の古原靖久、2000年『未来戦隊
タイムレンジャー』の城戸裕次らが脇を固めている。
脚本と監督は、BSドラマやヴァラエティ番組、CMなどを
手掛けている長嶺正俊。アクション映画は初めてのようだ。
そこでアクション監督には1984年『宇宙刑事シャイダー』な
どの柴原孝典が招請されている。
また音楽は、ロックバンドCASCADEの楽曲のほぼ全てを手掛
けるギタリストのMASABHIが担当している。
ワイアーアクションはそれなりに処理されていたようだが、
それなら背景の高圧線も写らないようにして欲しかった。ま
た、ヒロインが避けた銃弾の弾着も欲しいなど、いろいろ注
文は付けたいところだが、取り敢えずは第2作を実現して貰
いたいものだ。

『美が私たちの決断をいっそう強めたのだろう/足立正生』
“Il se peut que la beauté ait renforcé notre

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06月03日(日)
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