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On the Production
by 井口健二
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■NAVY S、ヤクザみたいな恋人、SHERLOCK、そして友よ、ロマンチック・ヘブン、ディーパー・シェイド、SEX&禅、ビッグ・ボーイ、コナン
人公だったが、それは彼と親友の長年に渡る友情を検証する
ことにもなる。
1960年代、小学校に転校してきたロマの主人公を快く迎えた
のはその親友だけだった。そして1970年代、リヨンに集まっ
た男たちは、ドゴール政権の抑圧政策の下でギャング団とし
て生き残る術を見いだす。
映画の中で主人公がロマであることは明示されるが、その親
友もロマかどうかは最後まで解からなかった。しかし被差別
民であるロマの男たちの辿る人生が、壮絶かつ切なくも描か
れた作品だ。
出演は、2007年2月紹介『輝ける女たち』などのジェラール
・ランヴァンと、2011年11月紹介『ラスト・アサシン』など
のチェッキー・カリョ。
なお本作は、今年9月に東京・銀座テアトルシネマほかでの
日本公開も決定しているものだ。

『ロマンチック・ヘブン』“로맨틱헤븐”
5月26日から6月15日まで東京新宿K'sシネマで開催される
「真!韓国映画祭2012」で上映の13作品の中から、本作はD
VDを借りて鑑賞した。
映画は、幾つかの物語が並行するアンサンブル劇の構成で、
その始まりは天国で聴く音楽のCDを手に入れたタクシー運
転手の話。彼には入院中の祖父がいるが、その祖父はアルツ
ハイマーを発症。祖母ではない初恋の女性の名を呼び続けて
いる。
次は骨髄移植を待つ母親のいる女性の話。移植の血液型の合
致するドナーが見つかるが、そのドナーは殺人容疑で逃亡中
だった。そこで逃亡犯を追う刑事らに接近した彼女は徐々に
捜査に加わって行く。
そして妻に先立たれた弁護士の話。彼は妻が病室に持って行
ったハンドバッグを探しているが、妻の思い出の詰まったそ
のバッグが何故か見つからない。そして彼の許には、検事時
代に冤罪で刑務所に送ってしまった男も現れる。
これらのエピソードに、タクシー運転手が乗せた占い師の老
婆の話や、天国の作り主なども現れて、現世と天国を舞台に
した、神様が創造の7日目に作ったあるものを巡る物語が展
開されて行く。
監督は、2006年8月紹介『トンマッコルへようこそ』などの
製作・脚本家で、2010年5月紹介『グッドモーニング・プレ
ジデント』などのチャン・ジン。今までの作品と同様、物語
の設定ははかなり奇抜だが、そこに見事な人間味とユーモア
を織り込んでいる。
出演は、2001年『火山高』などのキム・スロ、ドラマ『コー
ヒープリンス1号店』などのキム・ドンウク、CMで人気の
キム・ジウォン、『グッドモーニング・プレジデント』など
のイ・スンジェ。
先に紹介した日本映画『スープ』とも似た世界観だが、物語
の展開の上手さでは本作品の方が多少優れているかな。特に
単純な3幕ものにせずに、並行して進む複数の物語が最後に
収斂して行く気持ちの良さは、アンサンブル劇の醍醐味とい
う感じもした。
これこそが映画を本当に判っている人の作品かも知れない。

『ディーパー・シェイド・ブルー』
              “A Deeper Shade of Blue”
サーフィン及びサーフボードの歴史を紹介するドキュメンタ
リー作品。1975年の“Tubular Swells”以来多数のサーフィ
ン映画を発表しているジャック・マッコイ監督作品で、本作
は昨年のサンタバーバラ国際映画祭でプレミア上映されてい
るようだ。
作品は全11章に分けられ、そこではハワイの古代史からサー
フボードの開発史。また著名サーファーの名鑑みたいなもの
や、ビッグ・ウェーブに挑んだ歴史。それに未来的な最新ボ
ードの紹介まで、正に総合雑誌的なサーフィンの紹介が行わ
れている。
この内容は、プレス資料に添えられた文章によるとサーフィ
ンに詳しい人には一方的な見方とする批判もあるようだが、
僕のようなサーフィンを知らないものには実に判りやすく楽
しめる作品だった。
そしてその中には、前回紹介『プリンセス・カイウラニ』の
王女が、ハワイ文化におけるサーフィン再興の立て役者とし
て紹介されていたり、また名鑑では、3月紹介『ソウル・サ

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05月27日(日)
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