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On the Production
by 井口健二
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■汚れた心、サニー 永遠の仲間たち、スープ、プレイ/獲物、愛の残像/灼熱の肌、ダーク・シャドウ、臍帯、MIB3
時間の流れを見せる工夫が欲しかった。
上記の韓国映画がそれをしっかり描いていたのと、その辺が
違うと感じてしまうところだ。
『プレイ/獲物』“La proie”
2009年6月紹介『96時間』や、2011年7月紹介『この愛の
ために撃て』などが注目されているフレンチ・サスペンスの
1本。
物語の中心は刑期満了を間近した強盗犯。しかし彼は奪った
金を1人で隠しているらしく、その隠し場所を探ろうと様々
な攻撃が仕掛けられ、それには看守たちも手を貸しているよ
うだ。そして彼は填められて刑期が延長されてしまう。
そんな彼の同房には冤罪を主張する性犯罪者がいたが、被害
者が訴えを取り下げてその男の釈放が決まる。その状況に主
人公は男を信用し、娘と暮らす妻の現住所を教えてある伝言
を頼むのだが…
その男が釈放された数日後、主人公の許へ憲兵隊を名告る男
性が現れ、男性は釈放された男には連続殺人犯の疑いが濃い
ことを告げる。この事態に主人公は急遽脱獄を敢行し、釈放
された男の行方を追うが、すでに男は娘を連れ去っていた。
そして脱獄した主人公の捜索には名うての女性刑事が起用さ
れる。
出演は、2005年1月紹介『ロング・エンゲージメント』など
に出演のアルベール・デュポンテル、2003年6月紹介『シェ
フと素顔と、おいしい時間』などに出演のアリス・タグリオ
ーニ。
さらに2009年7月紹介『幸せはシャンソニア劇場から』など
のステファン・デバク。先月紹介『ブラック・ブレッド』な
どのセルジ・ロペス、1998年『天使が見た夢』などのナター
シャ・レニエらが脇を固めている。
監督は、2008年12月紹介『ベンジャミン・バトン』のVFX
スーパーヴァイザーなどを務め、2008年には『ワン・ミス・
コール』でハリウッド映画の監督も手掛けたエリック・ヴァ
レット。
製作と脚本は、2005年11月紹介『エンパイア・オブ・ザ・ウ
ルフ』の原案と脚本を担当したリュック・ボッシ、共同脚本
にはテレビシリーズを数多く手掛けるローラン・ターナーが
参加している。
作品にはフランス映画らしい、ハリウッド作品とは違うテイ
ストもあり、それなりの見応えのある作品だった。
『愛の残像』“La frontière de l'aube”
『灼熱の肌』“Mentiras y gordas”
2006年11月紹介『恋人たちの失われた革命』などのフィリッ
プ・ガレル監督による2008年と2010年の作品。いずれも監督
の息子のルイ・ガレルが主演若しくはキーとなる役柄で出演
している。
前者では結果として2人の女性を愛することになる男の悲劇
が描かれる。主人公はルイ扮する若いカメラマン。彼は新人
女優のポートレートの撮影に呼ばれるが、やがて彼女と愛し
合うようになる。しかしその恋は悲劇で終る。
そしてその1年後、主人公は別の女性と愛し合うようになっ
ていたが…。モノクロームの画面の中で、正しくフランス・
ヌーヴェルヴァーグを思い出させるようなドラマが展開され
て行く。
共演は往年のアイドル歌手ジョニー・アリディの娘で2007年
2月紹介『石の微笑』などのローラ・スメットと、『恋人た
ちの…』や2006年12月紹介『マリー・アントワネット』にも
出演していたというクレマンティーヌ・ポワレツ。
かなり怪奇的な味付けもされた作品で、それを観客としてど
う取ればよいのか。そこには監督自身の悲恋の思い出も重な
っているようで、それを思うと痛々しい感じもしてくる作品
だ。
そして後者でも、ルイ扮する芸術家の悲劇的なシーンから開
幕する。その物語は芸術家の友人を語り手として進められ、
芸術家の妻の映画女優と、映画監督を目指している友人との
関係が悲劇を生み出して行く。
芸術家の妻役でモニカ・ベルッチが共演し、他に2010年11月
紹介『ヒアアフター』に出演のセリーヌ・サレット、また友
人役には『愛の残像』にも出演のジェローム・ロバールが扮
し、さらに監督の父のモーリス・ガレルも出ている。
両作共に、登場人物の死や死者の霊のようなものも描かれ、
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05月13日(日)
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