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On the Production
by 井口健二
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■道、シグナル、ザ・マペッツ、崖っぷちの男、だれもがクジラを愛してる、ヘソモリ、この空の花、ブレーキ
その男は、ニューヨーク・マディソン街に建つ名門ルーズベ
ルト・ホテルの21階に部屋を取り、ルームサーヴィスで食事
の後、食器に付いた指紋を丁寧に拭い、「潔白な身で逝く」
という書き置きを残して窓の外に立つ。
その姿は直ちに通行人の目に止まって野次馬が集まり始め、
警察が出動し巨大エアマットなどの準備が始まる。一方、部
屋に入った警察に男は女性刑事の名前を告げる。彼女は自殺
阻止の説得役だったが、直前に起きた警官の自殺を阻止でき
なかった。
その経緯と書き置きの内容からマスコミも動き始め、路上や
上空からの報道合戦も開始される。そんな中、女性刑事が到
着して説得が始まるが、やがて男は宝石強盗などで検挙され
た元警察官と判明。そして男は「街の黒幕に填められた」と
主張し始める。
ところがその陰では別の事件も動き始めている。さらにその
事態に気付いた黒幕は警察に男の射殺を命じるよう画策を始
める。果たして窓際に立つ男の真の狙いは何なのか…事件は
思わぬ方向へと進んで行く。
『トランスフォーマーズ』の製作者でもあるロレンツォ・ボ
ナヴェンチュラは、警察で使われる原題名の言葉を耳にし、
その言葉から映画を作れないかと考えたのだそうだ。従って
本作の物語は全くのフィクション、そんな作り物の面白さに
溢れている。
そこには、警察内部の腐敗やそんな警察を牛耳る黒幕や、さ
らに『ミッション:インポッシブル』並の作戦なども登場し
て、正にとことん観客を楽しませる物語が展開されて行く。
これこそ娯楽映画の真骨頂という作品だ。
共演は、2011年6月紹介『スリー・デイズ』などのエリザベ
ス・バンクス、今年1月紹介『第九軍団のワシ』などのジェ
イミー・ベル。さらに2006年9月紹介『敬愛なるベートーヴ
ェン』などのエド・ハリス。
またテレビで人気を博し本作で映画デビューのジェネシス・
ロドリゲス、2010年2月紹介『ハート・ロッカー』などのア
ンソニー・マッキー、2005年11月紹介『サウンド・オブ・サ
ンダー』などのエド・バーンズらが脇を固めている。
脚本は、主にテレビで活躍するパブロ・F・フェンヤヴェン
シュ、監督はドキュメンタリー出身で本作で劇映画デビュー
を飾ったアスガー・レスが担当した。

『だれもがクジラを愛してる。』“Big Miracle”
1988年、アラスカ北極海の氷原で起きた実際の出来事に基づ
いた作品。
映画の物語は、アラスカの北極圏の町バローに駐在していた
レポーターが、氷原に閉じ込められた3頭のクジラを発見す
るところから始まる。
その様子は全国ネットのニュースでも紹介されるが、そこは
開氷面から8kmも離れ、肺呼吸のクジラはその間を潜水で抜
けることは出来なかった。しかも寒波の来襲で今開いている
部分も閉じてしまう恐れがあり、そうなるとクジラには窒息
死しかないのだ。
一方、バローの町の近郊では自然保護区を廃止して石油開発
を行う計画が進んでいた。そのため町に来ていた環境保護団
体の代表は、PRのチャンスとばかりクジラの救助を訴え、
その声は全国に広がり始める。
その救助の方法は、石油開発会社が所有する大型の砕氷機を
州兵が操縦するヘリコプターで現場まで運び、氷原に水路を
作るというものだったが…。環境保護団体と開発会社、それ
ぞれの思惑に大統領選挙を控えるホワイトハウスまでもが動
き始める。
出来事の結末は僕自身はっきり憶えていたが、そこまでの経
緯にこんなことがあったとは…。当時のアメリカ国内や世界
情勢なども絡んで壮大なヒューマンドラマが展開される。
出演は、ドリュー・バリモア、2011年1月紹介『お家をさが
そう』などのジョン・クラシンスキー、2010年11月紹介『バ
ーレスク』などのクリスティン・ベル、2007年4月紹介『ゾ
ディアック』などのダーモット・マロニー、2009年6月紹介
『3時10分、決断のとき』などのヴィネッサ・ショウ。
さらに本人は自然保護活動家だという1998年『プライベート
・ライアン』などのテッド・ダンソン、アラスカ・イヌピア

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04月29日(日)
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