ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460102hit]

■バトルシップ、君への誓い、バッド・ティーチャー、紙兎ロペ、屋根裏部屋のマリアたち、ワンドゥギ、ムサン日記、タイタンの逆襲
うが、現場の教師に観せたら…意外と共感も得られるものか
も知れない。そんな正に教育現場の本音が描かれている感じ
の作品でもある。
僕自身も最初の内はオイオイという感じで観ていたが、最後
には主人公に拍手を贈りたくもなった。そんな下手をすれば
反感を買ってしまうような主人公を、ディアスが絶妙のバラ
ンスで演じていた。

『紙兎ロペ』
『三丁目の夕日』などの制作会社のROBOTと映画館チェーン
のTOHOシネマズの共同企画「GIFT MOVIE PROJECT」の第1弾
として、2009年〜2011年に全国のTOHOシネマズで上映された
ショートアニメーションシリーズの長編劇場版。
下町を舞台に、シリーズでは映画館に着くまでのてんやわん
やを綴っているという主人公のペーパークラフト兎ロペと、
その兄貴分の栗鼠のアキラ先輩が、夏休み最後の1日を巡っ
て大冒険を繰り広げる。
その日は朝から学校のプールに侵入し、ラジオ体操にも参加
した2匹だったが、突然アキラ先輩が夏休みの宿題で一番手
間の掛かる自由研究に着手していないことを思い出す。しか
もアキラ先輩は、壊してしまった姉貴のピアスをその日の内
に直すことも厳命されていた。
そんな2匹は、まずは自由研究としてツチノコの捕獲を目指
すことにするのだが、その途中で宝石の付いたピアスも入手
してしまう。しかしそれは彼らを大変な冒険に巻き込むこと
になる。
とまあお話は在来りなものだし、キャラクターもペーパーク
ラフトというアイデアは面白いが、アニメーションがCGI
ならもっと克明にもできるはずで、特に優れているという感
じではない。
しかし本作の魅力はそこにあるのではなく、ロペとアキラ先
輩の何とも言えない掛け合いが、いわゆる漫才調でもなく、
子供同士の自然な会話という感じで、そのムードが懐かしい
というか堪らないものになっていた。
でも多分実際の子供はこんな会話はしないのだろうが、その
雰囲気が何ともほのぼのとして良い感じなのだ。それにアク
ションの絡むギャグもなかなか秀逸だった。
僕自身は最寄りのシネコンがユナイテッドシネマズなので、
本作のオリジナルのショートアニメーションは観たことがな
かったが、このムードでしかも映画館に行こうという内容が
上映されたら、映画の鑑賞前には気分が良いだろうとは想像
できたものだ。
声優は、ロペ、アキラ先輩などメインのキャラクターは監督
でもある内山勇士が1人で演じており、他にAKB48の篠
田麻里子、ふかわりょう、バカリズムなどがゲスト出演して
いた。因に篠田はシリーズにも出演していたそうだ。
脚本と監督は、内山と「星新一ショートショート劇場」など
の青池良輔。その他に内山はキャラクターデザインと声を担
当し、青池はアニメーション演出とアートディレクションを
担当している。

『屋根裏部屋のマリアたち』“Les femmes du 6ème étage”
パリのアパルトマンを舞台に、その地上階に暮らす富裕層の
主人と、屋根裏部屋に住むスペインから出稼ぎに来ているメ
イドたちの交流を描いたヒューマンドラマ。
物語の時代は1962年。主人公は祖父が創業した証券会社を運
営する金融マンの男性。その主人公はパリのアパルトマンに
妻と共に暮らしていたが、少し前まで女主人として君臨して
いた姑が亡くなり、妻はその痕跡を消そうと躍起になってい
るところだ。
そして結婚以前からいたフランス人メイドを追い出し、その
後釜にスペインから来たばかりの若い女性を雇い入れる。そ
の女性は同じ建物の屋根裏部屋に、他の出稼ぎのメイドたち
と共に暮らしていた。
そんなある日、母親の部屋を片づけていた妻は、夫に家財を
屋根裏部屋に運んでくれるよう依頼する。そして初めて屋根
裏部屋に足を踏み入れた主人公は、そこにいたメイドたちの
暮らしに目を見張る。
当時のフランスは、アルジェリア戦争が終結し、パリには隣
国スペインからフランコ政権の弾圧を逃れた人々が多数流入
していた。しかしブルジョアの主人公たちにはそのような認

[5]続きを読む

04月08日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る